24系25形「北斗星スクエア」 Bコンパートメント(宿泊部分) 編

目次

ロビー室・シャワー
ソロ下段・洗面台
ソロ上段・デッキ
Bコンパートメント(宿泊部分)
Bコンパートメント(洗面台・デッキ)
チェックイン方法・トイレ・その他
「北斗星スクエア」へのアクセス・食料調達事情

24系25形 「北斗星スクエア」 – Bコンパートメント(オハネフ25 2)

夕暮れどき(左/上)と、海霧に包まれる早朝の様子(右/下)。

モケット

(左)B寝台 (右)カーペット

撮影日時・場所

撮影日:2023年5月

撮影場所:北海道北斗市 「北斗星スクエア」敷地内

備考

・>>24系25形「北斗星」の項も併せてご覧ください。当ページで紹介する車両の現役時代の様子がご覧いただけます。

「Bコンパートメント」外観 オハネフ25 2

続いてこのページでは、「北斗星スクエア」で宿泊用に使用されている「Bコンパートメント」のオハネフ25 2を見ていきます。

車体帯が金帯であることを除けば一見“ごく普通の24系25形”ですが、豪雪地帯・寒冷地を走る「北斗星」での運用に備え、乗降用ドアが(オリジナルの折り戸から)引き戸に改造されているのが特徴です。

【補足:オハネフ25 2の車歴】

日 時内 容
1974/03/18落成 向日町に配置
「あかつき」「彗星」などで運用
1980/10青 森へ転属
「ゆうづる」「日本海」などで運用
1987/03札 幌へ転属
「北斗星」運行開始準備
1988/03「北斗星」運行開始
「北斗星」1・2号・「はまなす」で運用

(※1989年3月改正以降は、隔日で「北斗星」
3・4号でも運用)
1997/「Bコンパートメント」に改造

改造後は「はまなす」運用から外れる
2009/03/15「北斗星」1往復化
以後JR東日本車との混結で運用
2015/03/14寝台特急「北斗星」定期運用廃止
2015/04/05 
2016/07北海道北斗市茂辺地の廃校跡地に移設
「北斗星広場」として保存活動開始
2022/04宿泊施設「北斗星スクエア」として営業開始
参考HP:https://www5.big.or.jp/~hagi/rail/lexp/24/

「Bコンパートメント」通路

「Bコンパートメント」の車内に入ります。(左/上)が通路の全景、(右/下)が通路の補助いすになります。

この「Bコンパートメント」は通常の開放型B寝台に扉をつけたもので、「北斗星」の最末期は1号車に連結されていました。「北斗星スクエア」では1ボックス=1部屋として使用されており、各ボックスの定員は2名です。

【コラム:現役時代の「Bコンパートメント」】

「北斗星」の現役時代、個室入口の扉は通常は開放状態で固定されており、寝台券の発売も個室単位ではなく(通常の開放型B寝台と同じ)寝台単位でした。

「Bコンパートメント」を個室として利用するには、「4人で1ボックスを申し込む」「検札時に車掌に申し出て扉の固定を解除してもらう」必要があります。

「Bコンパートメント」を「個室寝台」として扱う文献やWebページがありますが、上記の事情から「開放型B寝台の一類型」と言った方が適切かもしれません。

通路の天井(左/上)と窓まわりの様子(右/下)。

「北斗星」への改造時に通路床のカーペット化などが施されているものの、基本的には登場当初からの雰囲気をよく残しているように感じます。

「Bコンパートメント」全景

ボックス内の全景。「Bコンパートメント」は扉がついているのが最大の特徴と言っても過言ではなく、寝台まわりの設備は“普通の開放型B寝台”と大差ありません。

各ボックスには「北斗星スクエア」への移設後にコンセント(2口)が設けられ、電源確保の心配がないのはありがたいところです。また小型のゴミ箱の設置もあり、小さいゴミはこちらで処分できます。

「Bコンパートメント」下段

下段寝台の全景(左/上)と寝台表面のアップ(右/下)。内部の詰め物の状態は非常に良く、適度にハリがあるため寝心地は存外悪くありませんでした。

寝台モケットは濃いめのピンク色です。「北斗星」の現役時代はもう少し明るい色だったように記憶しているのですが、これは長年保存されている以上仕方ないところでしょうか。

寝具類をセットした様子(左/上)。シーツ・枕・毛布に加えて、通路上の荷物スペース(後述)大型の掛け布団があります。もこもこしていてとても暖かい(語彙力)ので、必要に応じて利用しましょう。

(右/下)は寝台のカーテンを閉めた様子。寝台のカーテンは遮光式です。閉めると「真っ暗」とまではいかないものの、それなりには暗くなりました(→「備考」も参照)

【備考:北斗星スクエアの照明事情】

「北斗星スクエア」では、夜の車内減光がありません。深夜でも車内は煌々と明かりがついているので、就寝時は寝台カーテンを閉めて寝ることをお勧めします。

「Bコンパートメント」上段

変わって上段寝台の様子。全景(左/上)と表面のアップ(右/下)です。

「北斗星スクエア」では寝具類が下段寝台にセットされているものの、上段寝台で就寝しても特に問題ないそうです。あえて上段寝台を体験してみるのも面白いかもしれません。

「Bコンパートメント」比較

下段(左/上)と上段(右/下)を、それぞれ正面から見た様子。

下段寝台は中央部が微妙に盛り上がる構造なのに対し、上段寝台は逆に中央がフラットな作りをしているのが分かります。実際に横たわると下段は固め基調、上段はやわらかめ基調(単なる詰め物のヘタリかもしれませんが)と寝心地もかなり異なります。宿泊時に比較してみるのも面白いかもしれません。

「Bコンパートメント」寝台まわりの設備

通路側のテーブル(左/上)と、寝台上の小物置き場(右/下)。

一般的な開放型B寝台のテーブルは「通路側に収納・展開時は天板をクルッと回す・寝台仕切り部分で天板を支持」(>>参考する構造です。しかし「Bコンパートメント」では扉があるため、この構造のままではテーブルが設置できません。

そこで「Bコンパートメント」では、「寝台側に収納・展開時は天板を引き起こす・支え棒で天板を支持」という独自の構造を採用。これにより、「テーブル」と「扉」が両立されています。

これは「Bコンパートメントならではの仕様」なので、訪れた際にはぜひ見てみてください。

読書灯(左/上)と非常呼び出しボタン(右/下)の様子。

読書灯の照度は2段階に調整できます。また、非常呼び出しボタンは「ソロ」室内にも同じものがありますが、現在も使用できるのでしょうか。

「Bコンパートメントテーブルと灰皿

窓際にはテーブル・灰皿のほか、2口コンセントとゴミ箱(先述)が設けられています。

「北斗星スクエア」の車内は全面禁煙なので、この灰皿はあくまで“見て楽しむ”だけにしましょう。灰皿には「JNR」マークもきれいな状態で残っています。

「Bコンパートメント天井周り

寝台ボックス部の天井(左/上)と、通路上のスペースを利用した荷物置き場(右/下)。

よく見ると写真左側の寝台と荷物置き場の間には、仕切りが増設されています。JR北海道の「Bコンパートメント」独自の仕様ですが、設置された経緯は私の調べた限りでは不明でした(→「参考」も参照)

【参考:Bコンパートメントの仕切り】

wayback machineで見つけた昔の某個人サイトに、

この仕切り左右の上段寝台を完全に隔絶する防犯上の理由で設置(意訳)

という旨の“考察”がありました。荷物置き場を這って反対側の寝台へ行くことは、確かに不可能ではありません。

ただ公式情報ではないこと、(防犯上の理由という割には)JR北海道の「Bコンパートメント」車以外での採用例がないことから、当サイトではあくまで参考として記載します。

「Bコンパートメント寝台ハシゴ

寝台ハシゴ(左/上)と、ハシゴ部分の表記(右/下)。

このハシゴは「北斗星スクエア」では基本的に格納されているものの、必要に応じて展開・使用することができます。もっとも私が宿泊したボックスのそれは、経年からかややガタつきが見られました。使用する際は丁寧に扱いましょう。

「Bコンパートメント個室の扉

では、「Bコンパートメント」最大の特徴でもある「入口の扉」を見ていきましょう。写真は扉の全景(左/上)とナンバーロック(右/下)のアップになります。

「北斗星」現役時代にここを“個室”として利用する場合は、ナンバーロックで外から施錠できました。現在このナンバーロックは使用されておらず、外から鍵をかけることはできません

「Bコンパートメント」内部から扉を見た様子(左/上)と、内部から見た鍵部分のアップ(右/下)。

現役時代は一切目隠しがなかったこの扉ですが、「北斗星スクエア」への移設後にレースカーテンが新設されています。このレースカーテンは突っ張り棒で下がっているだけなので、開け閉めの際は丁寧に扱いましょう。

「Bコンパートメント空調室

「北斗星スクエア」では、Bコンパートメントの各1区画を「空調室として、空調機器を設置しています(左/上)。

「北斗星」の現役時代にはなかった「空調室」のピクトグラムが、一見では全く違和感ない仕上がりなのは面白いところです。なお、空調の設定は1両おきの一括調整のみなので、設定を変更する場合は他の宿泊者に十分配慮しましょう。

また室外機・排水の配管は、入口側とは反対側の目立たない箇所に引き通されていました(右/下)。

「Bコンパートメント」その他の設備

通路奥の非常灯用設備など(左/上)。「北斗星スクエア」の移設時に、「非常口」のピクトグラム・防犯カメラが設置されている他は大きな変化はなさそうです。

「禁煙」プレートの脇には、何やらスイッチが(右/下)。よく見ると「セコム非常通報用」と書いてあります。これを押すとセコムが駆けつけてくれるのでしょうか。

無人運営ながら、防犯設備が充実しているのは「北斗星スクエア」の特長と言えそうです。

窓間にそなわる「非常脱出ハンマー」の蓋(左/上)と、車掌室側の仕切り扉の様子(右/下)。

アメニティ類

各寝台には、人数分のアメニティグッズがトートバッグ一つにまとめて置かれています。

アメニティ類は「バスタオル」「ハンドタオル」「足ふき用タオル」「紙コップ」「歯ブラシ」「使い捨てスリッパ」となっており、これに加えてフロント棟のカウンターに「ヘアブラシ」「カミソリ」「綿棒」「コットン」が準備されています。

この手のブルートレイン保存宿にしては、珍しいほどにアメニティ類が充実しているのも「北斗星スクエア」の強みと言えそうです。なお、このトートバッグは持ち帰り禁止なので、誤って持ち帰らないよう注意しましょう。

このページは7ページ構成です。次は>>Bコンパートメント(洗面台・デッキ) 編です。

目次

ロビー室・シャワー
ソロ下段・洗面台
ソロ上段・デッキ
Bコンパートメント(宿泊部分)
Bコンパートメント(洗面台・デッキ)
チェックイン方法・トイレ・その他
「北斗星スクエア」へのアクセス・食料調達事情

概説

デビュー年:2022年4月(宿泊施設としての営業開始)

「北斗星スクエア」とは、北海道北斗市茂辺地で運営されている宿泊施設。

かつて「北斗星」で運用されていたロビー室・「ソロ」合造車(スハネ25 501)・Bコンパートメント(オハネフ25 2)を有志が引退後に引き取り、同所へ2016年に移設。移設に伴う資金は、クラウドファンディングにより調達された。その後、車両の保存活動を経て2022年4月から宿泊施設「北斗星スクエア」として営業を開始している。

宿泊できるのはBコンパートメントのみで、寝台1ボックスの定員は2名まで。寝台1ボックスにつき、「ソロ」1部屋が「鍵のかかるロッカー」として割り当てられている。旅館業の許可申請上、「ソロ」の個室に宿泊することはできない。

宿泊料金は時期や人数により変動する。予約受付は楽天トラベルから受け付けており、各種クレジット決済のほか楽天ポイントでも支払可。スタッフは常駐しておらず、基本的に現地はセルフサービスとなっている。

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