目次
・シングルデラックス
・サンライズツイン・シャワー室
・シングル・ソロ
・シングルツイン・車いす対応設備
・ノビノビ座席・共用設備
・【番外】e5489で予約時の注意事項
285系「サンライズ出雲・瀬戸」


日本唯一の定期寝台特急となって久しい、285系「サンライズ出雲・瀬戸」。ミサワホームが参画した先進的な内装と、「夜明け」をイメージした明るい塗色をひっさげて1998年にデビューしました。
東京~出雲市(サンライズ出雲)、東京~高松・琴平(サンライズ瀬戸)で運用されており、2023年現在もデイリー運行を守り続けています。
近年は「日本唯一の定期寝台列車」という希少性からか、発売と同時に売り切れとなることも多いとのこと。登場から25年が経つ現在も、その人気は衰えていないということなのでしょう。
写真は「サンライズ瀬戸」で高松駅に到着した時の様子(左/上)。285系の愛称は「サンライズエクスプレス」となっており、車体や前面にもそのロゴが貼られています(右/下)。
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(左)寝台 (中)カーペット (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日時:2023年
場所:予讃線 高松駅ほか
備考
「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」の総称として285系という表現を用いる場合があります。
A寝台「シングルデラックス」通路
4・11号車


まずは285系の最上位クラス「シングルデラックス」を有する4(11)号車から見ていきます。通路の全景(左/上)と、通路天井(右/下)の様子。
通路部分(南側)は平屋建てですが、個室部分(北側)は2階建てです。このページで紹介する「シングルデラックス」は2階にあり、1階はB寝台の「サンライズツイン」となっています。


2階の「シングルデラックス」へ上がるアプローチ(左/上)と、通路の案内図(右/下)。
4(11)号車には「シングルデラックス」の利用者専用のシャワーブースが設けられており、シャワーの利用料金・アメニティ類は寝台料金に含まれています。シャワーは別料金が基本のサンライズ出雲・瀬戸で、「シングルデラックス」ならではの特典と言えそうです(→「備考」も参照)。
【備考:意外と厳しいサンライズのシャワー事情】
「シングルデラックス」以外の個室・ノビノビ座席でシャワーを利用したい場合は、別途シャワーカード(330円)を専用の自販機(3・10号車)で購入することになります。
しかし、このシャワーカードは各列車先着20人まで。従って1編成158人が定員のサンライズ出雲・瀬戸では、まさに“争奪戦”となります。私が何度か乗った限りでも、始発駅発車前での完売はもはや常態化していました。
最初からシャワーが確約された状態でゆったり個室へ直行できるのは、いわば「シングルデラックスのステータス」と言っても決して過言ではないかもしれません。
A寝台


「シングルデラックス」個室内(左/上)と、ベッド部分から見た様子(右/下)。
内装の設計にはミサワホームが携わっており、良い意味で鉄道車両らしくない雰囲気に仕上がっているように感じます。

個室内の全景。
個室内の設備は、ベッド周りに照明などの調節パネル・アラーム時計・荷物置き場、通路側にデスク・洗面台・鏡・コンセントとなっています(→「備考」も参照)。
デスクの下部分には、ビジネスホテルならいかにも中に冷蔵庫とグラスが入っていそうな感じの扉がありますが(笑)、実際は空調関係のようで開けることはできませんでした。
【備考:かつてはあったテレビ】
かつては展開式の液晶テレビが設けられており、衛星放送が視聴可能でした。2010年のBSデジタル放送移行に伴って撤去されています。
なお、撤去前の様子は当ページ後半でご紹介しています。


寝台の全景(左/上)と寝具類をセットした様子(右/下)。
寝台幅は85cmで、大人の男性でもゆったり横になれる幅が確保されています。また、「シングルデラックス」の掛け布団は羽毛布団とのこと。他方、他の個室やノビノビ座席は単に“毛布にカバーをかけたもの”が使用されています。
これを知らないまま「シングルデラックス」に乗車した私は、「サンライズの毛布にしては、やけに重いし暖かいな」くらいにしか思わなかったのですが、サイト製作にあたって調べてみたらそういうことでした(苦笑)。
次は羽毛布団のありがたみを感じながら「シングルデラックス」を満喫したいところです。


入口方向に向けてのアングル(左/上)と、ベッド下のフットライト(右/下)。


ベッドサイドにあるコントロールパネル(左/上)と、昔あった衛星放送のテレビ跡(右/下)。
テレビ跡はベニヤのような当て板が貼られており、予備知識がなければここにかつてテレビがあったとは分からないほどになっています。木目の塗装も合わせ…たのでしょうが、よく見ると若干ズレていますねぇ(苦笑)。
テーブル周り


ベッドと反対側に位置するテーブルの正面(左/上)と斜め撮り(右/下)。
デスク周りには照明とコンセントがあり、書き物その他の作業が可能です。ただコンセントは「テーブルでの使用」「洗面台での使用」どちらの用途にも対応した結果、ここになったのだろうなというどうも中途半端な位置なのは否めない気がします(→「備考」も参照)。
なお、デスクの椅子はリニューアル工事前(2014年~2016年施工)は、現在と異なるデザインの椅子が使用されていました。こちらは後ほど別項にて紹介します。
【備考:シングルデラックスのコンセント事情】
シングルデラックスのコンセントは、上写真のそれが室内唯一のコンセントとなります。
「ベッドに寝転び、充電しながらスマホを使いたい」「カメラなど複数の端末を充電したい」などの場合には、延長コードなどを持参されると便利かもしれません。


テーブル上の紙コップ(左/上)と、灰皿(右/下)の様子。
灰皿は「シングルデラックス」の全6室のうち、喫煙可能な3室のテーブル下に設置。寝タバコによる火災の危険性を考えると、ベッド脇ではなくテーブルに灰皿を配したのは理に適っているように感じます。
洗面台


続いて洗面台の様子。全景(左/上)とシンクの(右/下)です。
全景はえらくローアングルから撮影していますが、こうしないと私自身が鏡に映り込んでしまうので勘弁してください(笑)。洗面台はボタンで冷水/温水が切り替えられる自動水栓となっており、歯磨きなどの冷水、洗顔時の温水どちらにも対応しています。
なお蛇口脇の注意書きによると飲料水ではないようなので、誤って飲まないよう注意しましょう。


コンセントのアップ(左/上)と、洗面台脇の照明・タオルかけの様子(右/下)。
コンセントのアンペア数は、なぜか15Aと一般家庭並みなのが面白いところです。最近の新幹線(N700系・E5系など)にあるスマホ充電用コンセントのアンペアが2Aなのを考えても、そのアンペア数はズバ抜けて大きいものとなっています。
(推測ですが)ヘアドライヤーの中には最大出力で12A近く消費するものがあるため、一晩を過ごして身だしなみを整える需要を想定しての仕様なのでしょう。「サンライズ出雲・瀬戸」のシャワー室内にもドライヤーはありますが、マイドライヤーを使いたい方でも十分安心なアンペアと言えそうです。
その他の個室内設備


天井の様子(左/上)と、天井の空調吹き出し口・煙探知機の様子(右/下)。
2階建て車両ゆえ天井は湾曲していますが、(手持ちのメジャーで雑に測ったところ)個室内の高さは1.8mほどありました。大人の男性でも、よほど背が高くない限りは個室内で立ち上がることが可能です。上下幅が大きいためか、個室内にいて圧迫感を感じることは全くありませんでした。


入口ドアの全景(左/上)と、ドアノブのアップ(右/下)。
個室外側の鍵はナンバーロックですが、内側は単なるサムターンがついているのみのシンプルな構造です。ドアはオートロックではないので、個室に入ったら必ず鍵をかけるようにしましょう。
浴衣・アメニティ類


浴衣・寝具類のアップ(左/上)と、アメニティグッズ類を展開した様子(右/下)。
アメニティグッズの中身は長いので以下にまとめておきます(→「備考」も参照)。私が乗車した時はPOLAやKOSEがメインでしたが、時期によっては資生堂のアメニティが入っている場合もあるようです。
【備考:シングルデラックスのアメニティ一覧】
・シューポリッシュ(靴磨き)
・サニタリーバッグ(ゴミ袋)
・歯ブラシ
・カミソリ
・ヘアブラシ
・シェービングフォーム(KOSE)
・洗顔フォーム(KOSE)
・ポケットティッシュ
・綿棒・ガーゼ・ヘアゴム
・シャンプー・リンス(KOSE)
・ヘアスタイリング剤(POLA)
・シャワーキャップ
・JRロゴ入りの固形石鹸
※時期により内容やブランドは異なる場合あり
(懐)テレビと椅子


既に撤去されたテレビ(左/上)と、リニューアル工事前の椅子の様子(右/下)。
こちらの椅子は、背もたれ部分が単なる板張りとなっていました。各所のデザインから、リニューアルに伴って椅子は完全に交換されたものと思われます。
おまけ

「シングルデラックス」の夜(左/上)と、出発後の車内放送・おやすみ放送の映像(右/下)。
乗車時にたまたま撮影していた動画を5分程度でまとめています。写真だけでは伝わらない、「サンライズ出雲・瀬戸」の雰囲気をぜひご覧ください。
このページは6ページ構成です。次は>>サンライズツイン・シャワー室 編です。
目次
・シングルデラックス
・サンライズツイン・シャワー室
・シングル・ソロ
・シングルツイン・車いす対応設備
・ノビノビ座席・共用設備
・【番外】e5489で予約時の注意事項
概説
デビュー年:1998年
JR東海と西日本が共同開発して1998年にデビュー。1967年に登場した581系以来、実に31年ぶりに製造された寝台“電車”である。
編成は7両でオール2階建て。1~3・5~7号車がB1(シングル・ソロ)、5号車がノビノビ座席、4号車がA1(シングルデラックス)、B2(サンライズツイン)を連結しており、様々な需要に対応。
2014~2016年にリニューアル工事が行われ、全トイレの洋式化や内装のマイナーチェンジが行われた。
現在は「サンライズ出雲」(東京~出雲市)「サンライズ瀬戸」(東京~高松・琴平)で運用。その他、臨時列車として「サンライズゆめ」(東京~広島・下関)、「サンライズ出雲93号」(京都~出雲市)などに使用された実績がある。