目次
・シングルデラックス
・サンライズツイン・シャワー室
・シングル・ソロ
・シングルツイン・車いす対応設備
・ノビノビ座席・共用設備
・【番外】e5489で予約時の注意事項
285系「サンライズ出雲・瀬戸」 – シングル・ソロ
かつて多客期に運行されていた臨時列車「サンライズゆめ」号の発車案内(左/上)と、字幕の様子(右/下)です。
東京~広島・下関で年末年始などを中心に運行され、字幕は汎用の「特急+行き先」を表示していました。1998年から毎年運行されていましたが、2009年を最後に設定されていません(→「備考」も参照)。
【備考:なぜサンライズ「ゆめ」号なのか→不明】
結局分かりませんでした。以下は興味のある方だけどうぞ。
(以後無駄話)
かつて東京~下関には、寝台特急「あさかぜ」(※2005年廃止)が毎日運行されていました。ゆえに同じ区間を走るなら「サンライズあさかぜ」となっても良さそうなところ、なぜ「サンライズゆめ」なのか?という疑問が生まれ(図書館などにも足を運んで)調べてみたものです。
一部には「夜見ている夢」が由来とする説もあるようですが公式情報ではなく、当時の文献や雑誌にも「ゆめ」の由来についての直接的な記載は(私の調べた限り)見当たりませんでした。
(こたつ記事の締めあるあるの)「結局分かりませんでした」で締めなければならないのは、常に正しい情報掲載を心がけている善良なサイト管理者として忸怩たる思いです。ご存知の方は、公的な情報源を添えてぜひご教示ください。
余談ですがwayback machineで2000年代前半の個人サイト・掲示板その他をいろいろ掘り起こしてみたところ、「サンライズあさかぜ」にならなかった理由として
・「サンライズゆめ」の東京~大阪のダイヤはかつての急行「銀河」81・82号で、「あさかぜ」の関連列車とは必ずしも言い切れないため
・東京~下関という運転区間が「あさかぜ」とカブったのは全くの偶然で、最初から「あさかぜ」の関連列車という趣旨ではなかったため
・本当は「サンライズあさかぜ」にしたかったが、“大人の事情”があったため
(※そしてなぜ「ゆめ」なのかは、結局誰も分からず)
などの説・考察(主義・主張とも言う)が提唱されていました。いずれも読み物程度に記載します。
モケット
(左)寝台 (中)カーペット (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日時:2023年7月上旬
場所:予讃線 高松駅ほか
備考
「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」の総称として285系という表現を用いる場合があります。
B寝台「シングル」2階 通路
1・2・5~7号車
または8・9・12~14号車
…「備考」で飛ばし過ぎました。いい加減、当ページ本題の「シングル」を見ていきましょう。2階へ上がる階段(左/上)と、2階通路の様子(右/下)です。
「シングル」は2階建てになっており、通路も2階と1階で完全に独立しています。
B寝台「シングル」2階
2階の「シングル」の全景です。
個室内の付帯設備は、コントロールパネル、ゴミ袋、コンセント、荷物置き場など。B寝台の個室として一夜を過ごすには十分な設備と空間に感じます。
ベッドのアップ(左/上)と、反対側のテーブル、鏡など(右/下)の様子。
限られた空間ゆえ、室内の大半をベッドが占める「シングル」ですが、よく見るとベッド脇には小物置き場然としたスペースが。B寝台ながら小物置き場というゆとりのスペースがあるのはこの「シングル」の“売り”と言えるかもしれません。
また、写真は(私が喫煙者ゆえ)喫煙室で撮影していますが、灰皿は(右/下)の鏡前のところに収納されています。
天井周り(左/上)とコントロールパネル(右/下)の様子。
2階ゆえ天井は湾曲していますが、一番高いところは180cm程度の上下幅(※但し手持ちのメジャーで適当に測った限りなので誤差はあるかも)が確保されていました。大人の男性でも、ほぼ無理なく個室内で立ち上がれる水準です。
B寝台「シングル」1階 通路
続いて1階へ。階段部分(左/上)と通路の様子(右/下)です。
特筆すべきは、通路の天井がゆるやかなドーム状を描いていることでしょうか。一般に2階建て車両の1階は、フラットな天井ゆえどこか沈んだ雰囲気を感じる例が多いのですが、285系の場合はそれがずいぶん軽減できているように感じます。
B寝台「シングル」1階
変わって1階の「シングル」全景。
付帯設備は先に紹介した上段と全く同じです。一応、2階・1階で専有スペースは同一になるよう設計されているようですが、視覚的には2階の方が広く感じます。
1階は車体の「スソ」部分に位置する(=車体の横幅が狭い)ため2階と同じスペースを…というのは難しいところですが、1階・2階どちらが良いかは好みが分かれるところかもしれません。
ベッド(左/上)と窓まわりのそれぞれアップ(右/下)。
足元の幅、ベッド脇の小物スペースなどは2階のそれより狭めになっていますが、これは1階の限られた横幅ゆえ仕方ないところでしょうか。
天井高は2階と同じく180cm程度が確保されており、2階・1階で極力サービス格差が出ないよう設計されているようです。
テーブル周り(左/上)と空調の吹き出し口(右/下)。
こちらも例によって喫煙室で撮影しているため、鏡下に引き出し式の灰皿が設けられています。
1階の天井(左/上)と寝具類のアップ(右/下)。
1階席ながら天井はわずかに丸みを帯びており、階下席特有の圧迫感はほとんど感じません。
B寝台「シングル」平屋
「シングル」の個室は基本的に車両の2階建て部分に設けられていますが、台車上のスペースを活用した(言うなれば)「平屋」のシングルが一部に存在します。
実際に乗ってみて感じた「台車の真上なのでやや揺れやすく、レールのジョイント音も大きめ」「ドア脇なので駅到着前はドア越しにもざわついているのが分かる」というのを差し引いても、天井高は2m以上あり、上下幅のゆとりは285系の中でもズバ抜けたものとなっています。
この平屋「シングル」は他の「シングル」と共通の枠で発売されているため、乗れるかは運の要素が強いのが現実です。どうしても「平屋」で一夜を過ごしたい場合は、窓口で“指名買い”しましょう。もっとも、「知る人ぞ知る個室」ゆえなかなか取れませんが…(→「備考」も参照)。
【備考:平屋「シングル」の座席番号】
平屋シングルの座席番号は以下になります。
・下りサンライズ瀬戸/上りサンライズ出雲
1号車1番、2・6号車13・14番、5号車11・12番、7号車11番
・下りサンライズ出雲/上りサンライズ瀬戸
8号車1番、9・13号車13・14番、12号車11・12番、14号車11番
※6・13号車のみ喫煙、他は禁煙
平屋「シングル」の個室内(左/上)と、窓周りのアップ(右/下)。
窓が平面であること、室内が全て直線で構成されており、曲線が多用されている2階・1階席とはかなり印象が変わって見えます。
個室内の付帯設備は2階・1階「シングル」と同一ですが、実際に一晩過ごしてみた感想は「シングルとはもはや別のクラス」と言っても過言ではないように感じました。
3・10号車 B寝台「ソロ」通路 全景
続いて3・10号車の「ソロ」を見ていきます。通路全景(左/上)と天井の様子(右/下)。
3・10号車はモーターのある電動車となっています。そのため、床下にモーター等の設置スペースを確保するために車体の作りは通常の平屋構造とし、その範囲内で1階・2階の個室を設置した構造になっているのが特徴です。
3・10号車 B寝台「ソロ」1階
「ソロ」1階の全景。
床下に走行機器がある車両で採用した2階建て構造ゆえ仕方ありませんが、個室内ははっきり言って「狭い」です。隣接する2階の個室内階段が大きく張り出している(写真右側)のもあって、圧迫感も相当と言わざるを得ません。
寝台幅こそB寝台標準の70cm(→「備考」も参照)ですが、同じB寝台ながら「シングル」との設備差は歴然としています。それゆえか、この「ソロ」は「シングル」よりやや安めの寝台料金(「ソロ」は6,600円、「シングル」は7,700円)となっています。
【備考:「ソロ」の寝台幅は70cm…ではなかった】
非常に狭い「ソロ」のベッド幅は、B寝台標準の70cmということに“一応”なっています。
ただ、よく見ると階段の張り出し部分からベッドが狭くなっているのに注目。ここから奥の寝台幅はなんと56cmとなっており、かつて「蚕棚」と呼ばれた10・20系の52cmにあと一歩まで迫る水準です。
それゆえ就寝時は「ベッド幅がより広い、入口側を頭にして寝る」のが推奨されており、後述するコントロールパネルの位置も「ソロ」は入口側に配置されています。
なお一般的には「進行方向に足を向ける」と寝心地が良いとされていますが、「ソロ」でこれらが両立可能なのは下り(出雲市・高松方面)の場合1階席、上り(東京方面)の場合2階席となります。予約時の参考として記載します。
個室内(左/上)と空調の吹き出し口のアップ(右/下)。
窓枠は一部が幅広(写真奥)となっており、スマホや飲み物程度の小物類であれば置けるようになっています。推奨されている「入口側を頭にして寝る」状態で使うにはいささか不便な位置ですが、個室内に小物スペースらしい場所は皆無なので有効に活用しましょう。
入口脇のコンセント・カップ(左/上)と、コントロールパネルの様子(右/下)。
コントロールパネルは「ソロ」の場合、個室入口側の設置です。
余談ですが、「シングル」だと個室奥にコントロールパネルがあります。どうやら285系は全体的に「コントロールパネルのある方向(=推奨された)頭の方向」なのかもしれません。
3・10号車 B寝台「ソロ」2階
変わって「ソロ」2階を見ていきます。
個室内に階段があり上るとすぐベッドという、本当に「寝るだけの空間」です。
ベッドの転落防止柵(左/上)と階段のアップ(右/下)。
2階も、例によって「入口側を頭にして寝る」想定の作りです。枕の位置に寝台と同じモケットの転落防止用の仕切りが設けられているのは、2階ならではの仕様と言えるでしょう。
枕側の各種設備類(左/上)と、奥にある荷物スぺース(右/下)。
荷物スペースは「ソロ」2階のみの設備です。もっとも、見ての通りリュックサック一つかお土産の紙袋程度の大きさなので、キャリーケースなど大荷物の場合はやや厳しそうに感じました(→「備考」も参照)。
【備考:キャリーケースで「ソロ」に乗るなら大きさに注意】
「ソロ」の場合、入口扉とベッドまでの幅は下段で23~24cm、上段の場合は27~28cm程度となります(※管理人による実測のため誤差あり)。そのため、キャリーケースなどを持って「ソロ」に乗る場合は、キャリーケース本体の奥行きの幅に注意してください。
「サンライズ出雲・瀬戸」のデッキには荷物置き場がないため、「荷物が個室内に収まるサイズであること」は必須の条件となります。
一つの目安として、100席以上の航空機に機内持ち込みが可能な「3辺の合計が115cm以下(55×40×25cm以下)」が「ソロ」でもギリギリ入るサイズであることが多いです。但し、あくまで目安なのでそこはご承知おきください。
このページは5ページ構成です。次は>>シングルツイン・車いす対応設備 編です。
目次
・シングルデラックス
・サンライズツイン・シャワー室
・シングル・ソロ
・シングルツイン・車いす対応設備
・ノビノビ座席・共用設備
・【番外】e5489で予約時の注意事項
概説
デビュー年:1998年
JR東海と西日本が共同開発して1998年にデビュー。1967年に登場した581系以来、実に31年ぶりに製造された寝台“電車”である。
編成は7両でオール2階建て。1~3・5~7号車がB1(シングル・ソロ)、5号車がノビノビ座席、4号車がA1(シングルデラックス)、B2(サンライズツイン)を連結しており、様々な需要に対応。
2014~2016年にリニューアル工事が行われ、全トイレの洋式化や内装のマイナーチェンジが行われた。
現在は「サンライズ出雲」(東京~出雲市)「サンライズ瀬戸」(東京~高松・琴平)で運用。その他、臨時列車として「サンライズゆめ」(東京~広島・下関)、「サンライズ出雲93号」(京都~出雲市)などに使用された実績がある。