目次
・A寝台
・B寝台ソロ
・B寝台
・館内設備
・「ブルートレインあけぼの」へのアクセス
24系「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」


夜の小坂駅にたたずむ「ブルートレインあけぼの」。
ホーム側の行先字幕はこの施設名の「あけぼの」のほか、「ゆうづる」など青森にゆかりのあるブルートレインのそれを掲出しているようです。
モケット


(左)モケット (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2024年06月
撮影場所:24系25形「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」車内
備考
特にありません。
B寝台「ソロ」 外観


続いてB寝台「ソロ」を見ていきます。
保存車にはオハネ24 555が選定されました。1991年に「ソロ」化改造を受けて以降、2015年の廃車までの24年間を「あけぼの」一筋で過ごした車両です。


デッキ(左/上)と、ドア上の「ソロ B寝台」表記のアップ(右/下)。
小坂駅はホームと客車の間のすき間がやや大きいためか、見ての通りすべての客車に渡り板が設置されています。
【補足:オハネ24 555の車歴】
日 時 | 内 容 |
---|---|
1973/09/11 | 開放型B寝台オハネ24 42として 富士重工で落成 向日町に配置 「あかつき」「彗星」などで運用 |
1975/03 | 品 川へ転属 「はやぶさ」「富士」「出雲」などで運用 |
1976/10 | 青 森へ転属 「ゆうづる」「日本海」などで運用 |
1982/11/15 | 秋 田へ転属 「あけぼの」「出羽」「ゆうづる」で運用 |
1988/03/13 | 青 森へ転属 「あけぼの」「日本海」「出羽」で運用 |
1991/07/10 | B寝台個室「ソロ」に改造 オハネ24 555となる 改造後は「あけぼの」で運用 |
2014/03/13 | 寝台特急「あけぼの」 定期運用終了 臨時化 |
2015/01/04 | 臨時寝台特急「あけぼの」 実質的な最終運行日 |
2015/04/03 | 廃 車 |
2015/05/ | 小坂鉄道レールパークに 他3両の客車とともに搬入 |
2015/10/31 | 「ブルートレインあけぼの」として 宿泊営業開始 |
B寝台「ソロ」 通路


B寝台「ソロ」通路の様子。
車両中央を通路が突っ切り、個室は左右に配置されています。現代で言うところの「>>サンライズ出雲・瀬戸 ソロ」に近い構造ですが、いわゆるブルートレインの「ソロ」としては珍しいタイプでした(→「備考」)。
【備考:「あけぼの」には珍車あり?】
「あけぼの」に導入された「通路を中央に通し、寝台を線路と並行に配置するタイプのソロ」は、全国的にも珍しい存在だったりします。
採用例はJR西日本の「なは」「あかつき」程度で、JR東日本所属車では「あけぼの」が唯一の存在でした。
なお、ブルートレインの「ソロ」で圧倒的に主流だったのは>>このタイプ(「ブルートレインたらぎ」の項)です。
B寝台「ソロ」 下段個室入口


下段個室のドア。
ドアはグリーンとベージュの2種類があり、交互に配されています。
B寝台「ソロ」下段 室内

下段個室の全景。
個室部分は完全に2階建て構造のため、下段個室の天井はご覧の通りかなり低くなっています。加えて上段個室の階段の張り出しもあり、特に着座での利用時に圧迫感があるのは否めません。


着座姿勢で見た個室内の様子(左/上)と、ベッド部分のアップ(右/下)。
主な付帯設備は引出式のテーブル・鏡・ごみ箱など。また、灰皿も現役当時から変わらず設置されていますが、小坂鉄道レールパークの車両内は全て禁煙です。喫煙所が外にあるので、スモーカーの方はそちらを利用するようにしましょう。
ベッドは現役時代と同じく固め基調で、保存開始から9年経過(2024年現在)しているとは思えないほど良い状態でした。


個室奥側から撮影した様子(左/上)と、上段個室の階段の張り出し(右/下)。
奥には着脱式の背もたれが置いてあり、昼間の時間帯はこれを寝台におくことで、ちょっとしたソファのような使い方ができます。


個室内にセットされている毛布類(左/上)と、窓上照明のアップ(右/下)。
毛布カバー・枕カバー・シーツ類はフロント脇の休憩スペースに用意されており、宿泊者はセルフサービスでセットして利用します。


個室内の照明スイッチ類(左/上)と足元灯(右/下)。
【備考:「ソロ」のコンセント事情】
この「ソロ」の個室内にはコンセントがありません。
駅舎には共用のテーブルタップが設けられていますが、気になる方はモバイルバッテリーなど「個室内でも充電できるモノ」も持っていくと間違いなさそうです。


夜間のベッドメーキング状態(左/上)と、「ソロ」下段のカギの様子(右/下)。
2020年以前の営業時・現役当時はナンバーロック式の鍵でしたが、2024年の営業再開後はシリンダー錠式に変更されています。下段個室は黄色のタグがついており、分かりにくいですがシール下に小さく書いてある「5」が部屋番号です。
なお防犯上の観点から「ソロ」の各部屋は全て施錠されており、自分の部屋以外には立入できません。
B寝台「ソロ」上段 個室入口


上段個室に移ります。上段個室への入口全景(左/上)と階段のアップ(右/下)。
上段個室は「通路から2段上がったところで左右に分かれる構造」で、階段は2部屋で共用します。踊り場の照明は非常に明るく、階段足元の照度は十分確保されているように感じました。
B寝台「ソロ」上段 室内

上段個室の全景。
部屋に入って「ん?何かが足りないな」と思ったのですが、かつてあった>>転落防止ヒモが消えていました。各所のHPや旅行記を見る限り、2024年の営業再開にあたって行われた整備時に撤去されたようです。
マットレスはデフォルトで写真のように折りたたまれており、就寝時に展開して使用します(→次項)。


マットレスの展開状態(左/上)と、個室内にもある階段の様子(右/下)。
階段は通路~踊り場の2段に加え、上段個室に入ってからも3段あります。マットレスは個室内の階段の真上に張り出す構造なので、部屋を出入りする際は必ず折りたたみましょう。
…というか個室の入口ドアは内側に開く構造のため、マットレスを展開したままでの出入りは現実的に不可能です(苦笑)。
【備考:「ソロ」上段から望む夜空は格別です】
「ソロ」の上段は、
・夜は個室内の照明を全て消すと、寝っ転がったまま星空を眺められる
・次第に明るくなっていく明け方の空を、暖かい布団にくるまって望める
など眺望が非常に優れています。上段と下段は好みが分かれますが、私はこのタイプの「ソロ」であれば、迷うことなく‟上段派”です。皆様はいかがでしょうか。


個室内の設備類全景(左/上)と、テーブル、ゴミ箱、灰皿(使用不可)などの様子(右/下)。
室内には、現役時代にはなかった通風孔(左/上)が。これは他の「ブルトレの宿」でも見られるもので、建造物・旅館業法に適合するための改造と思われます。


個室内の照明スイッチ類(左/上)と、個室の入口ドアを内部から見た様子(右/下)。
先述のように、個室の入口ドアは内側に向かって開く構造です。シーツや毛布のセット後は(実体験として)出入りが少々面倒になるので、ベッドメーキングは就寝前ギリギリまで待った方が良いかもしれません。


例によってベッドメーキング状態(左/上)と、鍵のアップ(右/下)。
黄色いタグの下段個室に対し、上段は緑色のタグとなっています。
(参考)B寝台「ソロ」上段 2020年以前


2020年以前は、ご覧のように転落防止ヒモが残っていました(左/上)。
ヒモ自体は2024年の営業再開前に撤去されたようですが、現在もヒモ固定用の金具の跡が残っています(右/下)。
B寝台「ソロ」 洗面台


「ソロ」の洗面台・トイレ部分の全景(左/上)と、天井のアップ(右/下)。
設備維持のためか、トイレは施錠されて使用停止となっていました。また、洗面台スペースは本棚スペースに転用されています(→次項)。


洗面台向かい側のトイレ間の冷水器(左/上)と、本棚スペース(右/下)。
本棚スペースには「やこうれっしゃ文庫」の名前がついており、ブルートレインの絵本や鉄道雑誌が設置されていました。私の取材時は、絵本が子どもたちに大人気だったようです。
このページは5ページ構成です。次は>>B寝台 編です。
目次
・A寝台
・B寝台ソロ
・B寝台
・館内設備
・「ブルートレインあけぼの」へのアクセス
概説
デビュー年:2015年10月(小坂鉄道レールパークでの営業開始)
「ブルートレインあけぼの」とは、秋田県鹿角群小坂町に存在する「小坂鉄道レールパーク」の宿泊施設。かつて「あけぼの」として使用されていた寝台車3両と電源車1両を譲り受け、2015年10月より宿泊施設としての営業を開始した。
編成は4両で、開放型B寝台、B寝台「ソロ」、A寝台「シングルデラックス」及び電源車1両で組成。宿泊可能なのは「ソロ」「シングルデラックス」で、開放型B寝台は談話室兼食事スペースとして用いられている。
小坂鉄道レールパーク内の車両展示場(ホーム突端)に展示されているが、週末・繁忙期を中心に乗車体験イベントが行われている。小坂駅構内の往復250m程度ではあるが、実際に走る寝台車は本施設が唯一。
毛布、シーツは宿泊料金に含まれているほか、小坂鉄道レールパーク内にシャワー施設があり、宿泊者は無料で利用可能。
2020年以降、新型コロナウイルス及び客車老朽化を理由に営業を中止していたが、整備を経て2024年4月から再開。現在は基本的に土日のみの営業となっている。予約は電話受付のみ。車両保全のため冬季は休業となるほか、整備などで不定期に営業休止となる場合がある。
このページは5ページ構成です。次は>>B寝台 編です。