目次
・デュエット下段・共用トイレ・シャワー
・デュエット上段・洗面台・車掌室
・開放型B寝台
・開放型B寝台 洗面台・車掌室
・「オハネフの宿」へのアクセス
・「内野々集落センター」バス停からの徒歩ルート
24系25形 四国遍路の駅「オハネフの宿」 – 開放型B寝台
「オハネフの宿」入口にあるパネル看板の様子。
このパネル看板は、車両修繕ボランティアの有志が作成したものとのこと。記念撮影に使えるほか、号車札を模したプレートを入れることで日付も表示できる仕組みです。
裏手は、よく見ると開放型B寝台の寝台ボックスを模した作りに(右)。前面の作り込みといい、芸の細かさを感じます。
モケット
(左)開放型B寝台 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2023年7月
撮影場所:香川県観音寺市 四国遍路の駅「 オハネフの宿」敷地内
備考
・編集の都合上、「オハネフの宿」と略して記載する場合があります。
・撮影・掲載にあたっては、ブルートレインのオーナー様より許諾を得た上で行っています。
・>>24系25形「阿久根ツーリングSTAYtion」の項も併せてご覧ください。
開放型B寝台 外観 オハネフ25 206
宿泊料金:1席5,000円(2024年3月現在)
続いて開放型B寝台のオハネフ25 206を見ていきます。この車両は>>阿久根ツーリングSTAYtion時代、宿泊用ではない「談話室」として使用されていましたが「オハネフの宿」では宿泊可能になりました。
ヘッドマーク・行先表示とも「瀬戸」を掲出しており、行先はやはり「観音寺」行き。どちらも有志の方が作成して、「オハネフの宿」に寄贈したものだそうです。
【補足:オハネフ25 206の車歴】
日 時 | 内 容 |
---|---|
1977/12/08 | 落成 品 川に配置 「はやぶさ」「富士」「出雲」などで運用 |
1986/11/01 | 熊 本へ転属 「はやぶさ」「富士」「なは」などで運用 |
2005/03/01 | 「はやぶさ」「富士」14系化 以後「なは」のみで運用 |
2008/03 | 寝台特急「なは」廃止 定期運用消滅 |
2008/12/30 | 廃 車 |
2009/01/25 | 「阿久根ツーリングSTAYtion」として 阿久根駅前で宿泊施設として開業 |
2014/05頃 | 「阿久根ツーリングSTAYtion」営業休止 |
2021/04 | 香川県内(現在の場所)に移設 |
ドア上の「B寝台」「3つ星(★★★)」(左/上)と、ヘッドマーク部分のアップ(右/下)。
ヘッドマークは先述の通り、いわば「模造品」ですが違和感なく仕上がっていると感じます。
開放型B寝台 車内
さてようやく車内です。全景(左/上)と、通路の天井を見上げた様子(右/下)。
オハネフ25 206はJR九州時代に内装のリニューアルを受けていますが、その内容は「寝台モケットの換装」「床のカーペット化」程度の簡素なものでした。
そのため他のブルトレ宿と比べて、寝台モケットを除けばデビュー時からの雰囲気がよく残った車両であるように感じます。寝台モケットを除けば、ですが…(笑)。
減光中(左/上)と非常灯のみを点灯させた様子(右/下)。
深夜帯は(左/上)のように通路の照明を暗くし、また寝台ボックス部天井の照明も蛍光灯から電球に切り換えることで、就寝中の利用者に配慮していました(→「備考」も参照)。
また、非常灯のみの点灯状態は、「蓄電池スイッチ 入」(平たく言うと、車両の「元電源スイッチ」に相当)「照明 切」状態で見ることができます。営業運転中、この状態で走ることはほぼなかったように記憶しています。
【備考:寝台ボックス部天井の照明】
現役時代の減光中は寝台ボックス部が真っ暗だったにも関わらず、そこから電球色の照明が洩れているのに違和感を感じた方もいらっしゃると思うので解説します。
オーナーの方に聞いたところ「寝台ボックス部天井の電球は、照明スイッチとは別のスイッチから点灯・消灯を設定できる」のだそうです。
現役時代、寝台ボックス部天井の照明は、深夜は完全に消灯していましたが、当時はその“別のスイッチ”を「切」側で運用していたのでしょう。
開放型B寝台 全景
開放型B寝台の全景。
寝台モケットはえらくビビッドかつド派手ですが、これは同社の883系「ソニック」(リニューアル前)と同一のモノです。1990年代後半にJR九州の14・24系に行われた更新工事で、一部の車両がこのモケットに換装されました。
なお、この鮮烈な柄のモケットは「オハネフの宿」の開放型B寝台のほか、>>ブルートレインたらぎの「ソロ」でも拝むことができます。
開放型B寝台 下段
閑話休題。下段寝台から見ていきます。比較用に、リネン類をセットした状態(左/上)とない状態(右/下)をご紹介します。
基本的に現役時代~>>阿久根ツーリングSTAYtion時代そのままであり、「オハネフの宿」への移設に際して変わった点は見受けられませんでした。
ちなみに「オハネフの宿」ではリネンはシーツと掛け布団のみとなり、枕はありません。気になる方は自分で持参するか、手持ちのタオルを巻くなどして代用することになります。
転落防止サクのアップ(左/上)と、下段寝台のアップ(右/下)。
転落防止サクは一部立て付けが悪くなっているものがあったものの、現在でも展開できました。
通路側の展開式テーブル(左/上)と、上段寝台下にあるコートかけの様子。
開放型B寝台は一人当たりの専有面積は決して広くないものの、このように様々な用途に対応する付帯設備が散りばめてあるのが面白いところです。
開放型B寝台 上段
続いて上段寝台の様子。全景(左/上)と寝台のアップ(右/下)になります。
寝台部分の天井(左/上)と、通路上スペースを利用した荷物置き場(右/下)の様子。
荷物置き場は寝台1ボックス分の全幅があるため、大型のキャリーケースなどは必要に応じて(他の人と相席にならないのが前提ですが)こちらに上げておくと寝台スペースを広々使えそうです。
寝台ハシゴ
上段寝台へのハシゴの様子です。
「オハネフの宿」では、基本は(左/上)のように格納されており、上段寝台に上がる場合は(右/下)のように展開して使用します。
読書灯・安全サク表記
各寝台に備わる読書灯(左/上)と、読書灯下の「安全サクの使い方」表記のアップ(右/下)。
読書灯は現在も稼働していますが、JR東日本の24系で見られたような「照度2段階調節」機能はなく、こちらは単に「点灯」「消灯」のみとなっています。
テーブル・栓抜き
窓際のテーブル・灰皿(左/上)と、センヌキのアップ(右/下)。
なお、「オハネフの宿」の車内は禁煙です。センヌキは現在も使用できますが、灰皿はあくまで「展示品」として楽しみましょう(→「余談」も参照)。
【余談:センヌキについて】
センヌキは、かつて瓶飲料が主流だった昭和時代の名残とも言えるものです。国鉄時代の急行型・寝台車にはほぼ必ず設置されていました。
「オハネフの宿」では、車内での飲食が(座席やその他備品を汚さない範囲で)認められています(2023年7月現在)。従って「瓶飲料を持っていき、このセンヌキで開けて飲む」という経験が、令和の今日でも体験可能。これは「オハネフの宿」の特筆すべきポイントと言っても過言ではないでしょう。
なお、初めてこの「センヌキ」を使う場合は、開栓に若干の習熟が必要だったりします。開栓を試みる過程で瓶がどうしても振られるため、(私の実体験として)炭酸の瓶飲料は念のため避けた方が無難かもしれません。
その他の車内設備
通路の窓(左/上)とコンセント(右/下)の様子。
開放型B寝台にも「オハネフの宿」への移設時にコンセントが設置されました。もっとも、通路に1口×2か所と「開放型B寝台全体で2か所のみ」です。他の利用者と譲り合って使用するか、テーブルタップなどを持参した方が無難かもしれません。
通路の灰皿(左/上)と椅子(右/下)の様子。
灰皿に貼られている「灰皿使用不可」の表記は、各所の特徴から>>阿久根ツーリングSTAYtion時代(灰皿の写真掲載あり)に貼付されたもののようです。
JR九州所属のブルートレインは、禁煙車として使用される車両は灰皿が撤去されていました。従って、(引退から15年が経つ現在は「タバコ臭さ」は全く感じないものの)このオハネフ25 206は現役時代は喫煙車として使用されていたものと思われます。
非常用ハンマー入れ(左/上)と、通路突き当たりのSOSボタンなど(右/下)。
非常用ハンマーの扉には、オハネフ25 206の現役時代に貼り付けられたと思われる「封印」がまだ残っています。この車両が引退した2008年当時のものと思われますが、それから15年(2023年現在)。さすがにハンコや日付印などは、完全に消えてしまっていました。
デッキと客室の仕切扉
デッキと客室の仕切扉の全景(左/上)と、「オハネフ25 206」車両銘板のアップ(右/上)。
法令上は「建造物」となる保存車ゆえ、「非常口」のピクトグラムこそ追加されていますがそれ以外は現役当時そのままです。
このページは6ページ構成です。次は>>開放型B寝台 洗面台・車掌室 編です。
目次
・デュエット下段・共用トイレ・シャワー
・デュエット上段・洗面台・車掌室
・開放型B寝台
・開放型B寝台 洗面台・車掌室
・「オハネフの宿」へのアクセス
・「内野々集落センター」バス停からの徒歩ルート
概説
デビュー年:2023年4月(「オハネフの宿」としてのデビュー)
「四国遍路の駅『オハネフの宿』」とは、香川県観音寺市内で運営されている宿泊施設。
かつてNPO法人BigUpが運営していた宿泊施設「阿久根ツーリングSTAYtion」(2008~2014年)で使用されていた客車を、クラウドファンディングによる資金調達で香川県内に移設したもの。
客車は「阿久根ツーリングSTAYtion」が2014年5月頃に閉館して以降、長らく阿久根駅前に放置されていたが、2021年にクラウドファンディングの成立により、相次いで香川県内に移設。2年間の整備を経て2023年4月8日から宿泊受付を開始した。
宿泊料金は開放型B寝台が5,000円、「デュエット」1室が12,000円。2024年2月現在、予約受付は電話のみ。予約受付期間(不定期に営業しない日場合あり)の告知・受付開始のお知らせは、全て公式X(Twitter)で行われる。