24系25形 四国遍路の駅「オハネフの宿」 デュエット下段

目次

デュエット下段・共用トイレ・シャワー
デュエット上段・洗面台・車掌室
開放型B寝台
開放型B寝台 洗面台・車掌室
「オハネフの宿」へのアクセス
「内野々集落センター」バス停からの徒歩ルート

24系25形 四国遍路の駅「オハネフの宿」 – デュエット下段・共用トイレ・シャワー

かつて>>「阿久根ツーリングSTAYtion」(鹿児島県阿久根市)で使用されていた24系25形2両を香川県観音寺市に移設してオープンした宿泊施設が、この四国遍路の駅「オハネフの宿」(以後「オハネフの宿」)です。

移設にあたっては、香川県でうどん屋を営んでいた有志がクラウドファンディングで資金調達を行い、2021年に香川県内観音寺市内に移設。2年に渡る整備ののち、2023年4月から満を持して「オハネフの宿」として営業を開始しました。

「日本唯一のデュエットの保存車」という点で、車内マニア的にも決して無視できない「オハネフの宿」。さっそく車内を見ていきましょう。

モケット

(↑)デュエット

撮影日時・場所

撮影日:2023年7月

撮影場所:香川県観音寺市 四国遍路の駅「 オハネフの宿」敷地内

備考

・編集の都合上、「オハネフの宿」と略して記載する場合があります。

・撮影・掲載にあたっては、ブルートレインのオーナー様より許諾を得た上で行っています。

・>>24系25形「阿久根ツーリングSTAYtion」の項も併せてご覧ください。

「デュエット」外観 オハネフ25 2209

宿泊料金:1室12,000円(2024年3月現在)

ではまず、B寝台2人用個室「デュエット」を備えるオハネフ25 2209から。(左)が全景、(右)が車番のアップ。ヘッドマークは「なは」を掲出しています。

(左)写真手前には客車に上がるステップが設けられていますが、こちらは非常口的な扱いとのこと。基本は、写真奥の反対側にある貫通路から出入りします。

【補足:オハネフ25 2209の車歴】

日 時内 容
1977/12/08オハネフ25 209(開放型B寝台)として落成
品 川に配置
「はやぶさ」「富士」「出雲」などで運用
1986/11熊 本へ転属
「はやぶさ」「富士」「なは」などで運用
1991/03鹿児島へ転属
「はやぶさ」「富士」「なは」などで運用
1991/12B寝台2人用個室「デュエット」に改造
オハネフ25 2209となる
改造後は「なは」で運用
2004/03熊 本へ転属 「なは」で運用
2008/03寝台特急「なは」廃止 定期運用消滅
2008/12/30 
2009/01/25「阿久根ツーリングSTAYtion」として
阿久根駅前で宿泊施設として開業
2014/05頃「阿久根ツーリングSTAYtion」営業休止
2021/04香川県内(現在の場所)に移設
参考HP:https://www5.big.or.jp/~hagi/rail/lexp/24/

「デュエット」のロゴ・行先表示(左)と夕暮れ時間帯の車体側面(右)の様子。

行先表示は、この客車が移設された香川県観音寺にちなんで「なは 観音寺行き」を掲出。オーナー氏によると、この字幕は有志の方が作成し寄贈したものだそうです。

【補足:☆の数と個室の定員】

「デュエット」のロゴ脇には2つ重なった「☆」がありますが、この「☆」は個室の定員を示したものです。

JR九州所属の「デュエット」及びこのロゴがペイントされた車両は「なは」用のオハネフ25 2106・2108・2209の3両しかなく、現役当時から非常に貴重な存在でした。

デュエット 通路

「デュエット」の車内に入ります。まずは通路の全景(左/上)と通路部分の天井(右/下)から。

通路はベージュを基調としたシックなデザインですが、廊下部分や照明まわりに(「デュエット」の改造種車となった)開放型B寝台の面影がチラチラと垣間見えるのは面白いところです。

各個室のドア(左/上)の様子。

現役~阿久根ツーリングSTAYtion時代は、この場所に部屋番号を記した金属製のプレートがついていましたが、現在は撤去されたようです。私の取材時は、マジックで部屋番号を書いた紙で代用していました。

(右/下)は個室ドアのナンバーロック。機器は残っていますが使用はできず、現在のところ個室には事実上カギがありません(→「補足」も参照)

【補足:個室ドアのカギについて】

このナンバーロックは、JR九州からの譲渡時に配線が切られてしまったらしく、「阿久根ツーリングSTAYtion」時代から個室にカギはかかりませんでした。

個室ドアについている簡易なロックでドアを固定することはできますが、外からでも簡単に開錠できるため、完全な施錠はできません。

なお、オーナーの方に伺ったところこのロックは壊れやすく、個室から出られなくなる場合があるため使わないでほしいとのことでした。

2023年7月現在

デュエット 下段

「デュエット」の下段の全景。

かつて全国で見られたブルートレインの「個室」としては比較的“オーソドックス”な構造で、レール方向と垂直に2つのベッドが並ぶ形式です。

ベッドの全景(左/上)と、正面から見た様子(右/下)。

寝台の横幅はB寝台標準の70cmです。広々とは程遠いですが、B寝台として一晩を過ごすなら悪くはありません。

ベッド奥には一見まくらのようなものが置いてありますが、これは寝台上に座るときに使うクッションです(後述)。

リネン類をセットしていない状態の寝台全景(左/上)と、正面から見た様子(右/下)。

個室内は、左右に上段のベッドが張り出している関係で一見窮屈に見えますが、中央部分の天井高は2m弱あり、大人の男性でも安心して立ち上がることができます。
一人での利用はもちろん、二人での利用も「窮屈」を感じることはほぼなさそうでした。

ベッドサイドのテーブル・ランプ

ベッド間のサイドテーブル・照明操作パネル(左/上)。

サイドテーブル真下にはゴミ箱がありますが、現在はゴミ箱としては使用されていません。ゴミは各自持ち帰りが基本とのことなので、誤って捨てないよう注意しましょう。

照明操作パネルは「オハネフの宿」でも稼働中です(右/下)。個室内のほぼ全ての照明がここから全て操作でき、パネルにはアラーム時計も内蔵。もっとも私の取材時は時計が止まっており、(ゆえにアラーム機能も当然)使用できませんでした。

ベッドサイドのランプ(左/上)と、壁灯(右/下)のアップ。

ベッドサイドのランプは先述の照明操作パネルから操作できず、ランプからぶら下がっているヒモを引いて入切するタイプです。

現役時代・>>24系25形 阿久根ツーリングSTAYtion時代とは異なるデザインですが、阿久根での保存時代は「カサが外れている」「そもそも点かない」など、故障したままのランプが散見されました。

従って、「オハネフの宿」への移設時に全交換されたものと思われます。

背もたれ

ベッド上のクッションの様子(左/上)。

上で紹介したベッドの写真では、いかにも「まくら」の位置に配されていましたが、実際は寝台上に座るときに背もたれとして使うクッションす。

(右/下)のように、「まくら」としては非常に高いので注意してください。就寝前は、どの位置なら眠れそうかという「身体のポジショニング」を吟味されることをお勧めします(→「補足」も参照)

【補足:このクッション、意外と大きい】

このクッションの全長は20cm以上あります。
寝台の全長は192.5cmなので、特に背の高い人は頭の位置によって足が通路側の壁に当たってしまう可能性も考慮に入れておきましょう。

デュエット 下段 – 個室の扉

個室ドアを内部から見た様子(左/上)とドアノブのアップ(右/下)。

ドア右側の壁がヘコんでいる(=切り欠き)のは、ドアノブが入るスペースを確保するためのもの。こういった細かい造形が見ていて面白いのです(笑)。

デュエット 下段 – その他の設備

デュエット下段の天井(左/上)と照明スイッチ(右/下)の様子。

天井には照明のほか、空調の吹き出し口・通風孔などが備わります。空調は一括調整ですが、寒い場合は吹き出し口を閉めることで調整可能です。

壁部分のコートかけ・鏡(左/上)と廊下上スペースを使用した荷物置き場(右/下)。

この廊下上の荷物置き場、開口部は狭いですが中で広くなります。そのため、中でモノが散乱したりするといろいろ面倒です(実体験)。
置くのはキャリーケースなど、大物だけにしておくと無難かもしれません。

ベッド脇の鏡(左/上)と携帯充電用のコンセント(右/下)。

携帯電話コンセントは各部屋1口設けられています。>>24系25形 阿久根ツーリングSTAYtion時代にはなかったため、「オハネフの宿」への移設時に新設されたものと思われます。

廊下の設備

廊下回りの様子を紹介。広告枠には、オーナー氏やボランティアの方々が収集したという鉄道資料館などのパンフレットが入っていました(左/上)。

また廊下には、「携帯充電用」と書かれたコンセントが2か所設けられています(右/下)。「デュエット」は各個室にコンセントがあるので、出番は少なそうですが…(笑)。

廊下突き当たりの非常ボタンなど(左/上)。「オハネフの宿」に限らず、この手の保存車は法律上「建物」の扱いとなるようです。そのため一般的なビルの中でも見かけるような「非常口」のピクトグラムが追設されています。

また、車掌室側にあったデッキと客室の仕切扉は撤去されています(右/下)。阿久根ツーリングSTAYtion時代には存在していたと記憶しているのですが、「オハネフの宿」への移設時に撤去されたのでしょうか。

共用トイレ・シャワー

「オハネフの宿」客車後ろにあるビニールハウス内には、宿泊者向けのシャワー・共用トイレの設備があります。いずれも男女共用です。

(左/上)がシャワー室の全景、(右/下)が内部。いずれも仮設ですが、できたばかりということもあってか非常にきれいでした(→「備考」も参照)

【備考:「オハネフの宿」のシャワー事情】

シャワーについて、オーナー氏に伺ったところ「宿泊者は自由に使ってよいが、シャワーを利用する場合は一声かけてほしい」とのことでした。

利用状況の把握のほか、オーナー氏側で元のスイッチを入れないと、シャワーの温水が出ない設備上の理由のようです。

共用トイレ・洗面台の様子。ブルートレイン上のトイレは使用できないため、トイレはこちらのみとなります。

一見では工事現場などで見かけるそれですが、こちらも清潔に維持されていました。

【参考:その他の提供アメニティ・サービス】

設 備有無設 備有無
シャワーパジャマ×
ボディーソープ電子レンジ×
シャンプー×冷蔵庫-(要相談)
リンス×ポット×
歯ブラシ×トイレ
(男女共用)
シーツ手洗い場
(石鹸あり)
※2023年7月現在

このページは6ページ構成です。次は>>デュエット上段・洗面台 編です。

目次

デュエット下段・共用トイレ・シャワー
デュエット上段・洗面台・車掌室
開放型B寝台
開放型B寝台 洗面台・車掌室
「オハネフの宿」へのアクセス
「内野々集落センター」バス停からの徒歩ルート

概説

デビュー年:2023年4月(「オハネフの宿」としてのデビュー)

「四国遍路の駅『オハネフの宿』」とは、香川県観音寺市内で運営されている宿泊施設。

かつてNPO法人BigUpが運営していた宿泊施設「阿久根ツーリングSTAYtion」(2008~2014年)で使用されていた客車を、クラウドファンディングによる資金調達で香川県内に移設したもの。

客車は「阿久根ツーリングSTAYtion」が2014年5月頃に閉館して以降、長らく阿久根駅前に放置されていたが、2021年にクラウドファンディングの成立により、相次いで香川県内に移設。2年間の整備を経て2023年4月8日から宿泊受付を開始した。

宿泊料金は開放型B寝台が5,000円、「デュエット」1室が12,000円。2024年2月現在、予約受付は電話のみ。予約受付期間(不定期に営業しない日場合あり)の告知・受付開始のお知らせは、全て公式X(Twitter)で行われる。

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