目次
・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
24系25形「北斗星」 – 食堂車・ロビーカー・シャワー
食堂車「グランシャリオ」の外観。
「グランシャリオ」のスシ24形500番台は特急用の485系列の食堂車(サシ481)を改造したもので、他の他の客車に比べるとやや車高が低いなどの特徴がありました(→「備考」も参照)。
【備考:なぜ「北斗星」の食堂車は特急用車からの転用なのか?】
「北斗星」の食堂車「グランシャリオ」には、(“24系の食堂車”であるオシ24形ではなく)特急用の485系列の食堂車を改造したスシ24形500番台が使用されていました。
そもそもオシ24形は5両(改造編入を含めても10両)しか製造されておらず、分割民営化後は大半がJR九州に承継されていました。JR東日本に承継されたオシ24形もあるにはあったのですが、当時はいずれも「はやぶさ」「あさかぜ」などで日々フル稼働中。従って、「北斗星」に回せるオシ24形は当時全くなかったのです。
おりしも1980年代は特急の食堂車が全廃された時期で、特に485系列の食堂車(サシ481/489)が大量に“余って”いました。そこでこれらを「北斗星」に活用することになり、1988~1989年にかけて登場したのがこのスシ24形500番台です。
同車は1988年のデビュー後、2015年の廃止まで(サシ481/489時代を遥かに上回る)実に27年間「グランシャリオ」として活躍。“特急の食堂車出身”の車両としては、最後まで現役を続行しました。
モケット
(左)JR北海道ロビー室ソファ
(中)JR東日本食堂車カーペット
(下)JR東日本食堂車椅子
撮影日時・場所
撮影日時:2001~2014年
場所:「北斗星」 車内 上野駅ほか
備考
・>>24系25形「北斗星スクエア」 B寝台ソロの項目も併せてご覧ください。
・号車番号は2008年3月15日改正後の「北斗星」1往復運転時を基準に記載しています。
7号車 食堂車「グランシャリオ」 入口・通路
「グランシャリオ」の上野寄り入口。
ドアは金色の豪華なデザインで、改造された時期(1988~1989年)ゆえかややバブリーな雰囲気すら感じます。また、取材時は12月中旬だったためか入口にクリスマスリースがかけられていました(右)。
変わって札幌寄りの入口(左)と、通路にある手洗い台の様子(右)。
厨房がある関係で、通路は片側に寄せられていました。化粧板の濃い木目調に赤いカーペットと、レトロなラグジュアリーを感じる通路です。
7号車 JR東日本車 食堂車「グランシャリオ」
取材車:スシ24-507
「グランシャリオ」車内の全景。写真は上野方を向いた様子です。
4人掛けと2人掛けのテーブルが左右に並ぶ食堂車は、かつて「トワイライトエクスプレス」などでも見られた“定番”のスタイルでした。色使いからか、他の豪華寝台列車と比べてやや小ざっぱりした雰囲気ですが、窓上の間接照明など“凝った要素”も垣間見えるのは面白いところです。
4人掛け(左/上)と2人掛け(右/下)のそれぞれアップ。
テーブルの一人当たりの専有面積は、正直そこまで大きくはありません。特に「フランス料理」コースの時は、皿数がどうしても多いため窮屈に感じた記憶があります。
テーブルランプのアップ(左/上)。
かつては異なるデザイン(後述)でしたが、2000年代後半に写真のタイプに交換されたようです。クリスマス前の12月には、台座部分に赤いリボンがつけられるなど季節の装飾がされていました(右/下)。
厨房の入口(左/上)と、デッキとの仕切り扉(右/下)。
厨房入口脇にはレジがあり、パブタイム・朝食の会計のほかシャワーカードの販売もこちらで行われていました。
天井(左/上)と、2000年代中盤まで見られたテーブルランプ(右/下)。
このテーブルランプは2007年に撮影したもの。その後2011年に乗車した時点は、上で掲載のタイプに変わっていました。テーブルランプとは関係ありませんが、当時は各テーブルに花瓶(但し、造花か生花かは不明)も備わっていたようです。
6号車 JR北海道車 ロビー室 ①
取材車:スハネ25-502
>>「北斗星スクエア」ロビー室・シャワー編 の項目も併せてご覧ください。
続いて6号車の半室ロビー室を見ていきます。まずは上野方向を向いての全景から。
JR北海道所属車のロビーは見ての通り半室となっており、残りのスペースは「ソロ」が8部屋となっていました。後述するJR東日本所属車の全室ロビーカーと比べると、どうしてもやや狭いのは否めません。
札幌方向を向いての全景(左/上)と、ソファ周り(右/下)のアップ。
(左/上)の写真奥にはシャワーと公衆電話のブースが備わります。ロビー室としての定員は実質窓側の丸椅子3名・ソファ10名程度が限界で、深夜までいつも混み合っていました。
テレビ・ゴミ箱・自動販売機など(左/上)と、丸椅子側の窓(右/下)。
奥の台に設置された液晶テレビは、車内サービスの映画を放映するためのもの。テレビの音量はかなり絞られており、何度か観察した限りでも映画の音声はほとんど聞こえませんでした。
余談ですが、この「映画」はA寝台の>>ロイヤル・>>ツインデラックスでは個室内のテレビで視聴することができます。
6号車 JR北海道車 ロビー室 ②
取材車:スハネ25-503
続いて、スハネ24 503のロビー室。
一見普通のロビー室ですが、スハネ24 503は501・502とは内装が全く異なります。503は改造時期が(501・502よりも1年遅い)1989年、改造元の車両は(501・502は24系なのに対し)14系と、ちょっとした“異端児”とも言える存在でした。
車内を反対から見た様子(左/上:札幌方面を向いて撮影)と丸椅子(右/下)のアップ。
映画のテレビが501・502とは反対側に設置、丸椅子も肘掛け部分が強調されたデザインなど、内装の違いは一目瞭然でした。
ソファ(左/上)と、壁際の写真(右/下)のそれぞれアップ。
この写真は大沼国立公園を映したものらしく、後ろから蛍光灯で照らす電照式です。末期は見ての通り近づいても大沼と判別するのは難しいほどに色あせていましたが、特に交換されることなく引退までそのままでした。
スハネ25-503のデッキ(左/上)と自動販売機(右/下)の様子。
503のみ、自動販売機はドア脇のデッキに設置されていました。
【番外】スハネ25 501・502と503の内装の違い
501・502と503の内装の違いを以下のマトリクスで紹介します。
作成にあたっては各種文献やファンサイトを入念に確認していますが、間違いやその他の相違点などありましたらぜひご教示いただけますと幸いです。
内装\車両 | 501・502 | 503 |
---|---|---|
照 明 | 電球色 シャンデリア | 蛍光灯 間接照明 |
丸椅子の肘掛け | なし | あり |
ソファの座面 | 平坦 | アンティーク風 (凹凸がある) |
公衆電話 | 上野寄り | 札幌寄り |
映画TV | 上野寄り | 札幌寄り |
マガジンラック | 公衆電話 ブース脇 | 丸椅子側の 窓下 |
「ソロ」との仕切扉 | 自動 | 手動 |
自動販売機 | ロビー室内 | デッキ |
ミニロビーの窓 | 1,180mm | 1,580mm |
内装\車両 | 501・502 | 503 |
6号車 JR北海道車 シャワー
>>24系25形「北斗星スクエア」ロビー室・シャワー 編 の項目も併せてご覧ください。
続いてロビー室併設のシャワーブースを見ていきます。
ブースは「A」「B」の2部屋があり、3号車の食堂車で事前にシャワーカードを購入(320円)して利用します。中にはボディーソープ・シャンプーなどのアメニティが一切ないため、持ち合わせのない利用者向けにシャワーセット(430円)も販売されていました(→「備考」も参照)。
【備考:「北斗星」のシャワー事情】
「北斗星」のシャワーでは、食堂車の係員からシャワーカードを購入して利用します。購入時に利用時間帯とブースが指定され、時間帯は「(夕方の)発車から23:00」「翌朝6:00~8:30」の中から30分刻みでした。
ただ、シャワーの予約は先着順ゆえ“いい時間帯”は発車前から埋まり始めます。早めに買わないと、“発車後すぐシャワー”などヘンピな時間帯しか確保できないことも(実体験として)少なくありませんでした。
現代の「>>サンライズ瀬戸・出雲」のように“個々人の都合のいい時間帯に行って“順番待ち”をする必要はないものの、この「北斗星方式(勝手に命名)」も一長一短だったように感じます。
シャワーカードの機器類(左/上)とドライヤー(右/下)のアップ。
この部分は更衣室を兼ねており、鏡、小物入れ、ドライヤーがコンパクトに収まっていました。
更衣室足元にある温風器(左/上)と、シャワーブース内の様子(右/下)。
写真にはありませんが、温風器が備わる更衣室の床には足ふきタオルが敷かれていました(→「備考」も参照)。
【備考:「北斗星」シャワー室の足ふきタオル事情】
更衣室の床面には、足ふき用にバスタオル然とした大型のタオルが敷いてあります。ただ利用者ごとの交換はなく、特に遅い時間はタオルが水でベチャベチャになっているのが“あるある”でした。
前に使った人の髪の毛が更衣室内・シャワーブース内に残っていることも多く、清潔感が気になる方はなるべく早めの時間を抑えるなど工夫されていたようです。
余談ですが、後年の「>>サンライズ瀬戸・出雲」では更衣室の床がスノコ状となり水はけが良くなっています。またシャワー室内の水気(と髪の毛類も)を吹き飛ばす「シャワールーム洗浄」も装備されており、上記のような心配は比較的少なくなりました。
(参考)ロビーカー
取材車:オハ25 503(→「備考」も参照)
JR東日本が保有していた「北斗星」のロビー。こちらは1両まるごとがロビーとなっており、通称「ロビーカー」と呼ばれていました。
車内は、丸椅子と向かい合わせのソファを千鳥状に配置しています。
【備考:今でも保存されている全室ロビーカー】
茨城県の>>ヒロサワ・レールパークには、写真のオハ25 503が保存されています。基本は車体のみの展示ですが、不定期に車内見学会なども行われているようです。
ソファ部分のアップ。
座ったまま景色が見えるよう、丸椅子は360°回転可能な構造になっています。もっとも、写真のように斜めがけにすると足元は物凄く狭いことになりますが…(苦笑)。
ロビーカー内のマガジンラック(左/上)と、車体側面の「LOBBY CAR」ロゴ(右/下)の様子。
私の取材時は、時刻表が1冊あったほかはJR北海道の車内誌がぎっしり詰まっていました。またロビーカーのロゴは流星をあしらった「北斗星」らしいデザインですが、これはJR東日本所属車でのみ見られたものです(→「備考」も参照)。
【備考:JR北海道ロビーカーのロゴ事情】
かつてJR北海道に1両だけ存在(オハ25 551)した全室ロビーカーは、ドア脇に「Lobby Car」の文字があるだけで流星ロゴはありませんでした。
なお全室ロビーカーが1両だけ製造された経緯は>>こちら(「北斗星スクエア」の項)、>>こちら(「北斗星」B寝台ソロ)の項で記載していますので併せてご覧ください。
シャワーセット
食堂車で販売されていたシャワーセットの様子。全景(左/上)と中身を展開した様子(右/下)です。
「北斗星」のヘッドマークが入った手ぬぐいは、いわば“乗車記念品”とも言えるもので人気が高かったそうです。最末期は430円で販売されていました。
このページは7ページ構成です。次は>>【番外】「グランシャリオ」の食事 編 です。
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・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
「北斗星」概説
デビュー年:1988年
上野~札幌間を、東北本線、IGRいわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線を経由して結んでいた寝台特急。
1988年3月13日に2往復で運行を開始。当初は1・2号がJR北海道所属、5・6号がJR東日本所属の編成で運行(※3・4号は季節臨)されていたが、翌年1989年3月改正で3・4号を定期列車化する形で3往復に増便。3・4号は両社が隔日で担当した。なお、1999年の「カシオペア」運行開始以降は2往復に戻っている。
1997年からJR北海道所属編成(北斗星1・2号)では車両の個室化が推進され、翌1998年には完全個室化された(※簡易個室の「Bコンパート」を含む)。他方、JR東日本所属の3・4号では大きな動きはなく、開放型B寝台車が11両中6両(1~5・11号車)を占めたまま2008年まで運行されるなど、同じ「北斗星」でも列車により設備の違いがあった。
2008年3月以降は北海道新幹線開業準備のため、JR北海道・JR東日本所属車の混成編成による1往復に減便。2015年3月の改正で定期列車としては廃止され、同年8月23日の上野着をもって臨時列車としても運行終了となった。
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