211系3000番台「長野」

211系3000番台「長野」

長野地区のローカル輸送を担っている211系。いずれも元々は高崎線・東海道線などで使用されていた車両で、2013年から長野への転属がスタートしました。以後、2年間で同所の115系を全て置き換えています。

写真は松本駅(左)と信濃大町駅(右)でのカット。この車両も2026年以降の置換が決定しており、決して先行きは明るくないようです。さっそく車内を見ていきましょう。

なお、211系の内装にはセミクロスシート(0・1000番台)とロングシート(2000・3000番台)が存在しますが、当ページではロングシートの車内を見ていきます。

車体側面(左)と行先を表示する字幕(右)の様子。

懐かしい国鉄書体のフォントがまぶしいこの字幕ですが、どうやら長野への転用時に新たに用意されたもののようです(→「備考」も参照)

【備考:長野の211系の字幕事情】

長野地区の211系の字幕は、表示内容や並び順こそ115系時代とは異なりますが、収録されている行先自体はおおむね115系のものを踏襲しています。

ただし第三セクター移管や路線廃止などにより、長野地区の車両が乗り入れる可能性がなくなった一部行先については、211系では省略されました(信越線の高崎・横川・谷浜・柿崎、北陸本線の能生など)

モケット

(左)座席 (右)優先席

撮影日時・場所

撮影日:2025年12月

撮影場所:篠ノ井線 長野駅ほか 車内

備考

信州地区の211系の運用範囲はは中央東線・篠ノ井線・信越線・大糸線・飯田線(飯田~辰野)などと幅広いため、当サイトではこれらを総称して便宜上「長野」と表記しています。

車内全景

車内の全景。

長野への転用に伴って、ドアの半自動化(すでについていた車両はボタン交換)暖房の強化などが行われていますが、基本的には首都圏で活躍していたころの仕様をよく残しています。

座席

ドア間のロングシート(左/上)と、座面のアップ(右/下)。

ロングシートは11人がけです。デビュー時は赤系のモケット(すおう色というらしい)でしたが、2000年代後半にかけて順次張り替えが行われ、現在まで残るJR東日本の211系は全車がこのグリーン系モケットに統一されています。

またモケットの張替と相前後して、座席の両端に半透明の仕切を増設する工事も行われました。もっとも、これはドア脇に立つ人との干渉を避ける意味合いが大きそうです(→「備考」も参照)

【備考:この半透明の仕切、205系にもありました】

この仕切増設は2009年末ごろから主に211系を対象に行われましたが、同時期に205系の一部にも展開されました(横浜線・武蔵野線など)

他方で寒冷地向けの>>205系3100番台「仙石線」は最後まで仕切が設置されることはなく、この点からも寒冷地向け工事の一環ではないことがうかがえます。

1・2号車 長野・信濃大町寄り 車端部

続いて車端部の様子。1・2号車の長野・信濃大町寄りの全景(左/上)と、座席のアップ(右/下)。

こちらは5人がけとなっています。肝心の座り心地ですが、座面・背もたれとも張りは存外しっかりしている印象でした。モケットの交換と合わせて、内部の詰め物も交換されたのかもしれません。

1・2号車 高尾寄り 優先席

1・2号車の高尾寄り車端部は、優先席区画となっています。全景(左/上)と座席のアップ(右/下)。

座席モケットがJR東日本の優先席共通モケットになっているほか、つり革が2010年代前半に黄色いタイプに交換されているのが特徴です。

優先席の座面のアップ(左/上)と、つり革のアップ(右/下)です。

つり革は、ドア前が小型・座席前が大型のタイプとなっています。車内で立っている利用者の頭につり革が激突するのを防ぐための仕様と思われ、211系以外でも見られる仕様です。

3号車 車端部

※ トイレ内部の様子は後述します。

3号車の車端部は、トイレがある関係で配置が変則になっています。全景(左/上)と、トイレ脇の優先席の様子(右/下)。

トイレ向かいには、なぜかクロスシート(の片割れ)然とした区画が存在します。これは、トイレから出入りする人と目線が合うのを避けるための構造とのこと。同様の仕様は>>719系(5000番台の項)でも見られ、あとのE231系にも受け継がれるなどJR東日本の近郊型車両“標準”となっています。

トイレと反対側の座席(左/上)と、2人がけのアップ(右/下)。

通路側の仕切は金属製のポールとなっています。足元はものすごく狭い目の前は優先席の利用者の横顔、と居住性は微妙ですが…(苦笑)。

1・3号車 運転台直後

運転台直後の区画の全景(左/上)と座席(右/下)の様子。

片側の座席下床面にはなにやら謎のフック(右/下)がありますが、これは運転台と客室の仕切扉のストッパーです。このストッパーは115系など国鉄時代の車両からありますが、(実体験として)うっかりしていると足を引っかけてしまいかねないので、利用の際には注意しましょう。

その他の車内設備

天井(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。

写真はJR東日本発足後に製造された編成で撮影しているため、荷物棚はポール式です。国鉄時代に製造の車両はいわゆる“網棚”となっており、この仕様の差異は205系でも見られます(>>205系1100番台の該当項参照)

座席下のヒーター(左/上)と、電動車の床面にある点検用のフタ(右/下)。

長野への移籍に伴って暖房は全体的に強化されたようですが、カバー超しにはその変化を見ることは難しそうです(笑)。

座席両端の仕切(左/上)とつり革(右/下)の様子。

つり革は座席前が丸形、ドア前が三角形となっていますが、三角形のほうは(確か)1990年代前半ごろに増設されたものです。

ドア

ドアの全景(左/上)と、ドアスイッチのアップ(右/下)。

長野への転用時に、半自動ドアスイッチは全て交換されています(一部は新たに設置)

3号車 トイレ(内部)

最後に3号車のトイレ全景(左/上)と、手洗い台のアップ(右/下)。

トイレは循環式の和式で、この車両のデビュー当時から大差ないものと思われます。

概説

デビュー年:1985年

東海道線・宇都宮線・高崎線で活躍していた113・115系の後継車として、1985年にデビュー。

ステンレス車体や、エネルギー効率のよい回生ブレーキの導入を可能とした界磁添加励磁制御の採用など、当時の最先端の技術が盛り込まれている。通勤型として設計された205系とは異なり、本系列は近郊型であることから片側3ドアの車体が採用された。

JR東日本の211系には、東海道線などの暖地向け0・2000番台と、寒冷地向けの1000・3000番台の区分が存在する。0・1000番台は内装がセミクロスシート、2000・3000番台はロングシートとなっているほか、JR東日本となってからの製造分は細かい仕様の変更が行われた。

2010年代以降、後継のE231・E233系に押し出される形で各地へ転配。長野地区では短編成化の上、2013年から2015年にかけて順次転属し、115系を淘汰している。2026年以降、E131系によって順次置き換えられる見通し。