205系3100番台「仙石線」ロングシート車

205系3100番台「仙石線」

仙台中心部のあおば通から、多賀城・松島海岸を経由して石巻までを結ぶ仙石線。その輸送を一手に引き受けているのが、今回取り上げる205系3100番台です。

山手線からの引退に合わせて2002年から導入が始まり、従来の103系を2年で置換えました。首都圏からあらかた205系が引退した現在、JR東日本所属車としては実に‟最後の205系列”なのが特筆されます。

さて、このページではそんな同車の車内を見ていきましょう。なお、仙石線の205系には「ロングシート」「2WAYシート」の2種類が存在しますが、当ページではロングシートのそれを取り扱います。

モケット

(左)座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日時:2023年11月上旬

場所:仙石線 多賀城駅ほか

備考

特にありません。

普通車 車内

車内の様子。

グリーンの座席モケットは、JR東日本の205系では見慣れた光景です。車内は、後述する半自動ドア設備が取り付けられた以外大きな変化はありません。

天井(左/上)とラインデリア部分のアップ(右/下)。

天井とは何も関係ありませんが、つり革は全て三角形タイプに交換されています。元々205系のつり革は「ドア前が三角形」「それ以外は丸型」がいわば‟標準仕様”だっただけに、205系では珍しい光景と言えそうです(→「備考」も参照)

【備考:205系3100番台のつり革事情】

取材時に3編成ほど乗車した限りでは、全ての車両がこの「三角形つり革」に統一されていました。209系で見られる、持ち手がやや細いタイプのつり革です。

交換された時期は不明でしたが、当時義務教育期間中の私が2003年に撮影した車内写真を確認したところ、その時点で全て「三角形つり革」でした。従って、3100番台への改造と相前後して交換されたものと思われます。

普通車 座席

座席の様子(左/上)と、座面部分のアップ(右/下)。

座席は一見きれいに見えますが、近年は内部スプリングのヘタりが進行しているようです。腰かけると腰の位置が異様に低くなる個体もチラホラ。やはりそろそろ経年的に無理が来ているのかもしれません。

普通車 車端部

車端部の全景(左/上)と、3人がけ席(右/下)。

壁側はスイッチ類(いわゆるキセ箱)や消火器類が収められており、ちょっとしたテーブル状になっています。103系や201系といった、国鉄メークの通勤型車両では‟定番”とも言える仕様でした。

優先席

変わって優先席区画の様子です。全景(左/上)と座席のアップ(右/下)。

優先席部分のつり革はオレンジ色のものに交換されていますが、全て小型サイズなのが特徴です。同じ205系でも首都圏で見られた車両では、優先席前のつり革がE233系と同一の大型タイプ(例:>>205系1100番台「鶴見線」となっていました。

一見では他の205系と大差ないように見える3100番台ですが、こういった細かい仕様の違いが面白い車両と言えそうです。

続いて、同じ「優先席」でも石巻寄りの4号車のそれをご紹介。4号車の車端部にトイレがある関係で、ドア間7人がけ席の半分を優先席としてます。

ご覧のとおり、優先席としては写真左が3人がけ・写真右は4人がけという、実に不思議な配置になっています。205系の優先席は基本的に3人がけ(上述)ゆえ、「4人掛けの優先席」(右/下)はこの区画‟専用”となるわけで…あえてこの配置を採用した理由は気になるところです。ご存知の方はぜひご教示ください。

1号車 フリースペース

1号車には、車いすやベビーカーでの利用に対応したフリースペースが設けられています。全景(左/上)とアップ(右/下)。

205系のフリースペースとしては珍しく、ヒーターが新設されているのが特徴です。冬場はそれなりに冷える仙石線の地域柄でしょうか。余談ですが、同じ205系でも>>鶴見線の1100番台にはヒーターがありません。

車内設備

荷物棚(左/上)と、通路の様子(右/下)。

床材はデビュー時からこの茶色のままでした。床面の点検フタも、車両の置換が進んだ昨今となってはノスタルジーを感じるポイントと言えそうです。

座席両端の仕切り(左/上)と、座席下のカバー(右/下)。

禁煙プレート・製造銘板(左/上)と、運転台を車内から見た様子(左/上)。

製造銘板は「昭和60年」の文字があり、2024年現在で実に39年選手の車両でした(→「備考」も参照)。私のような平成初期生まれの人間からすると、205系はいまだに「新しくはないが、古くもない車両」という認識なのですが、すでに‟大ベテラン”の域に達していたようです(苦笑)。

つり革

一般席(左/上)と優先席区画(右/下)つり革のそれぞれアップ。

一般席のつり革がやや角ばった五角形に近い形なのに対し、優先席のそれは緩やかな三角形。前者は205系~209系で見られたタイプ、後者は(オレンジ色に交換された時期に絶賛製造中だった)E231系のそれと同一品でしょうか。なかなかつり革も奥が深いようです(笑)。

ドア

乗降用ドア(左/上)と、ドア開閉ボタンのアップ(右/下)。

ドアの半自動化に伴ってドアチャイムも設置されており、音色は「運行情報更新チャイム(ドミソド)」。‟首都圏のJR線車内でたまに聞こえるアレ”で、ドアチャイムとしてはこの3100番台のほか南武支線用の1000番台でも採用例があります。

4号車 トイレ

石巻寄り先頭車の4号車には、車いす対応のトイレが設置されています。外から見た様子(左/上)と、内部の様子(右/下)。

後付けのトイレですが、洗浄方式は昔ながらの循環式です。トイレ内部には手洗い台のほか、姿見用の縦長の鏡も備わるなど、限られたスペースながら機能的な仕上がりでした。

概説

デビュー年:2002年(仙石線での営業運転開始)

鶴見線で使用されてきた103系の老朽化取替を目的として2002年にデビュー。

山手線、埼京線への新型車両投入に伴い、当時余剰となっていた205系を種車としている。先頭車は全て中間車からの改造車。編成は4両で、仙台・あおば通寄りが1号車である。

2002~2004年にかけて4両編成18本72両(M1~M18編成)が投入され、103系は1編成を残して引退した。その後、2009年に最後の103系を置き換えるためにM19編成を追加投入。最終的に、4両編成19本76両の陣営となった。

このうちM7・M9編成は東日本大震災で被災し、そのまま廃車。また、2024年4月にM4編成が廃車され、同年7月現在は16編成64両の陣営となっている。2021年に後継車の導入計画が労組資料より発表されているが、2024年7月現在で具体的な動きはない。

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