700系7000番台「ひかりレールスター」 自由席・トイレ・洗面台

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普通車指定席・コンパートメント
普通車自由席・トイレ・洗面台

700系7000番台「ひかりレールスター」普通車指定席・コンパートメント 編

先頭部を横から見た様子(左/上)と、車体側面(右/下)の様子。

車体のフォルムは700系0番台・3000番台と同一ですが、塗色のためかホームでの印象は全く異なるように感じます。

モケット

(左)座席  (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日時:2024年2月

場所:「こだま」789号 車内(※一部除く)

備考

当ページでは自由席での運用を想定した1~3号車を「自由席」、指定席を想定した4~8号車を「指定席」として記載します。

特に「こだま」運用時は、列車により自由席・指定席の号車が異なる場合があります。

1~3号車 普通車自由席

続いて1~3号車の「自由席」区画に移ります。

(「JR西日本の看板新幹線」という意味合いでの)‟先代”とも言える「ウエストひかり」では自由席も2+2配置でしたが、「ひかりレールスター」では他の新幹線と同じ2+3配置を採用しています。

車内を反対から見た様子(左/上)と、天井(右/下)の様子。

座席を除けば、指定席区画(サルーンシート)との違いはほぼありません。2+3の座席配置に合わせて、デッキと客室の仕切扉がやや片側に寄っている程度です。

1~3号車 普通車自由席 座席

2人がけ座席の様子。一般席(左/上)と車端部区画(右/下)です。

座席は>>500系「こだま」のモケット違いです。着座した感じは、柔らかい座面と固めの背もたれで見た目以上に快適でした。もっとも、それだけに‟無難”すぎてあまり印象に残らなかったというのが正直なところでしたが…(苦笑)。

シートピッチは1,040mmであり、これは新幹線の‟標準”とも言える数値です。なお1~3号車は車端部区画も含め、コンセントの設備はありません。

変わって3人がけ座席の様子。例によって一般席(左/上)と車端部区画(右/下)になります。

付帯設備はシートバックテーブル・コートかけ(窓間)のみとシンプルです。かつての300系・500系でも同様で、当時はこれが標準的な付帯設備だったのかもしれません。

2人がけ座席(左/上)と3人がけ座席(右/下)を、それぞれ座席を正面から見た様子。

3人がけ座席の中央席(B席)は、左右を他人に挟まれるゆえ座席幅が若干広くなっているのが特徴です。その違いは2cm程度ですが(苦笑)、正面から見るとその差は歴然としています。

【余談:1~3号車が「指定席」となった列車もありました】

デビュー時から基本的に自由席として使用されている1~3号車ですが、2020年夏に運行された臨時「ひかりレールスター598号」(8/14~17)どういうわけか全車指定席でした。

この時は1~3号車もしっかり指定席として発売され、「通常はありえない、ひかりレールスターのE席」をあえて予約した切符コレクターの方もいたそうです。

もっとも同じ「指定席」である以上、1~3号車(2+3配置)・4~8号車(2+2配置)当然ながら同じ料金となります。号車による設備の格差は否めませんでした。

「ひかりレールスター」が全車指定席で運行されたのは、2024年現在これが最初で最後となっており、1~3号車が「指定席」として使用された唯一の事例と言えそうです。

車内設備

通路(左/上)と、車内から見た窓の様子(右/下)。

700系のデビュー時は300系と比較して「窓が小さいな」と思ったものですが、N700系全盛の現代に改めて見ると「窓が大きいな」と思わずにはいられません。慣れというのは恐ろしいです(苦笑)。

窓枠部分のアップ(左/上)と、デッキと客室の仕切扉(右/下)の様子。

窓枠部分は見ての通り、テーブル状に成型されています。

座席肩部のノンスリップレザー(左/上)と、空調の吹出口のアップ(右/下)。

現代のN700系でもおなじみの「各窓間に空調の吹出口」という構造ですが、実はこれを導入したのは700系新幹線が初だったりします(→「備考」も参照)

【備考:空調吹出口が荷物棚下にたどり着いたワケ】

新幹線も含めた鉄道車両は、空調装置を屋根上に設置するのが長らく一般的でした。しかし300系では高速運転のために低重心構造を採用したため、重たい空調装置を床下に移動。床下で冷気を作り、窓間にダクトを通して天井の吹出口まで送る方式を採用しました。

しかし床下から天井まで長いダクトを設置した結果、(特に夏場は)冷気が天井に着くころには温まってしまうという空調として致命的な問題が発生します。

そこで700系では吹出口を荷物棚の下に移し、ダクトを短くすることで空調効率を向上させました。この構造は、(冷房装置や細かいところは異なりますが)現代のN700系にも受け継がれています。

(さらに余談)
余談ですが、700系より先に登場した>>JR西日本の500系(家庭用エアコンで言うところの)室外機を床下・室内機を天井に配置する「セパレート式」を採用。「(室内機で作られた)冷気が通るダクトが短ければいいんでしょ?」という発想なのかは知りませんが、ともあれ空調の効きは300系比で改善されたとのこと。それだけ当時は「冷気ダクトの短縮」が‟喫緊の課題”になっていたのかもしれません。

ちなみに当の300系も全く対策が施されなかったわけではなく、1999年頃から屋根に遮熱塗料(パールホワイト)を塗る工事が進められていました。

デッキ

…700系とはあまり関係のない話で長々失礼しました。続いてデッキを見ていきます。

一般デッキ(左/上)と、車いす対応設備を備える7号車のデッキ(右/下)。車いすでの取り回しを考慮して、7号車のデッキはドア幅・通路が非常に大きいのが分かります。

7号車 多目的室

7号車のデッキ通路(左/上)と、多目的室の入口(右/下)。

デッキはグレー系で統一されており、特に夜間はかなり薄暗い雰囲気になります。

4号車 元・電話室

かつて存在した電話室(左/上)の様子。

2021年6月30日をもって公衆電話のサービスは終了しており、現在は「業務用室」のシールが貼られています(右/下)。公衆電話ブース時代は扉に鍵がなかったのですが、「業務用室」への改修時に設置されたようで、私が取材した時も施錠されていました。

1・3・5号車 洗面台

洗面台の全景(左/上)と、シンクのアップ(右/下)。

洗面台の基本的な構造は700系0番台・3000番台と大差ありませんが、濃いピンクを基調としたシックな内装なのが特徴です。

7号車 車いす対応洗面台

7号車にある車いす対応の洗面台。例によって全景(左/上)とシンク(右/下)です。

車いすがより奥まで入れるよう、シンク下には空間を設置。基本的な設備は同一ですが、一般の洗面台と比較して「ゴミ箱が右側」「小物置き場は省略」など細かい違いがあるのが特徴です。ぜひ上の洗面台と比較してみてください。

1・3・5号車 トイレ

トイレの様子。全景(左/上)と、ベビーベッドを展開した状態(右/下)です。

1・3・5・7号車 男子小用トイレ

男子小用トイレの全景(左/上)と、手洗い台のアップ(右/下)。

手洗い台のシンクは非常に小さく、実のところの使い勝手は微妙に感じました。ハンドソープもないため、きちんに手を洗いたい方は洗面台の併用が必須となりそうです。

7号車 車いす対応トイレ

車いすでの利用に対応したトイレは7号車にあります。全景(左/上)と、便器周り(右/下)のそれぞれアップ。

トイレ内部は基本的に‟直線”で構成されていますが、よく見ると手前側のシンク周りは曲線が取り入れられています。少しでも「車いすでの取り回し空間」を確保しようとした結果でしょうか。

便座クリーナー・ゴミ箱のアップ(左/上)と、手すり周りの様子(右/下)。

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概説

デビュー年:2000年

航空とのシェア争いが激しい京阪神間の需要喚起と、老朽化の進んでいた「ウエストひかり」の置換を目的として2000年にデビュー。

最高速度は285km/hで、これは「のぞみ」用(当時)の700系と同一。デビュー時は「スピードはのぞみ並み、設備はのぞみ以上」とも評され、好評を博した。全車両が普通車、指定席車両は2+2配置など、「ウエストひかり」の要素を受け継いでいるのが特徴。また、新たな試みとして8号車に普通個室が4室設けられた。

2011年の九州新幹線開業後は、「さくら」と入れ替わる形で「ひかりレールスター」が減便となり、「こだま」運用が増加した。2024年現在、「ひかりレールスター」の定期運用は上り1本のみとなっており、「こだま」主体の運用となっている。

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