E2系1000番台「やまびこ」「なすの」「とき」「たにがわ」普通車 編

E2系1000番台「やまびこ」 – グリーン車/普通車

偶然、200系の復刻塗装編成に乗り合わせたので紹介。鉄道開業150年および東北・上越新幹線開業40周年を記念して、J66編成が開業当初の200系新幹線を模した塗色で活躍しています(2022年6月~)

内装はそのままですが、車内放送に開業時のふるさとチャイム(その駅にちなんだ民謡などをアレンジしたチャイム)が使用されており、撮り鉄はもちろん“録り鉄”からも注目を浴びているとのことです(→「補足」も参照)

【補足:J66編成と「つばさ」が併結した場合の車内チャイム事情】

J66編成が『つばさ』と併結した場合、『つばさ』の車内でもふるさとチャイムが流れるのか?」という疑問はネット上でよく見かけます。

私は山形から東京行きの上り「つばさ」に乗った際、福島で前に併結した「やまびこ」がたまたまJ66編成だったのですが、結論から言えば福島から先は「つばさ」の車内でもふるさとチャイムが流れました。

詳しくは不明ですが、E2系とE3系の併結時はE2系側から自動放送を流す仕様になっているものと思われます。

モケット

(左)偶数号車 座席 (中)奇数号車 座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日時:2023年1月・2月

場所:上越新幹線 上毛高原駅 「たにがわ」406号ほか

備考

>>E2系1000番台「後期増備車」の項も併せてご覧ください。

普通車 偶数号車 車内

変わって普通車を見ていきます。まずは偶数号車から。1000番台では照明が0番台の間接照明から直接照明に、座席はE4系で導入されていたのとほぼ同タイプのものに変更され、車内の雰囲気がガラッと変わった気がします。

偶数号車はご覧の通り、パープルを基調とした座席モケットを採用。明るい照明と荷物棚及び仕切板の木目調もあいまって、車内は夜でもかなり明るい雰囲気です。

車内を反対から見た様子(左/上)と天井(右/下)の様子。

照明は直接照明ですが、光が天井に反射して半間接照明のようにも見えるのが面白いところです。

普通車 偶数号車 座席

座席の様子。(左/上)が一般席区画、(右/下)が車端部となります。

座席は座面スライド機構を併設した>>E4系のモケット違いといったところで、特段の目新しさはありません。掛け心地は座面・背もたれともにかなり固めです。シートピッチは980mmで、これはE5系が登場するまで「JR東日本新幹線の標準」ともいえる数値でした。

人間工学を取り入れて長時間の乗車でも快適に…という触れ込みを当時の趣味誌で読んだものの、きちんと着座した場合は快適なのですが、座席モケットがやや滑りやすく、私の場合は腰の位置がどうも安定しませんでした。

ちなみに写真は元喫煙車だった名残で、中肘掛がやや大振りのものになっているのが特徴です。

3人掛けの様子。一般席区画(左/上)と車端部区画(右/下)になります。

基本的な見付は>>E4系のそれを踏襲しているものの、座席肩部にキノコのような形状の握り手を設置している、座面スライドとリクライニングのボタンが黒・白に色分けされているなど、細かい改善点が見られます。

座席を正面から見た様子。2人掛け(左/上)と3人掛け(右/下)です。

3人掛け席の中央B席は、左右を人に挟まれる窮屈な席であることから、通路側・窓側より若干座席幅が広くなっているのが特徴です。もっとも2cm程度ですが…(笑)。

普通車 奇数号車 車内

続いて奇数号車の車内。こちらは濃いグリーンとオレンジ柄です。

反対から見た様子(左/上)と窓周りの様子(右/下)。

窓間にはコートかけが備わりますが、1000番台では窓が(0番台の「1列1窓」から)「2列1窓」に大型化されたのを受け、窓間のコートかけは0番台の1つから2つに増えています。

普通車 奇数号車 座席

で、奇数号車の座席はこんな感じ。一般席区画(左/上)と車端部区画(右/下)になります。

比較用に、こちらは2007年前の全面禁煙化前から禁煙車だった号車で撮影しています。

3人掛け席の様子。

3人掛け車端部区画の特徴として、2人掛けのテーブルは展開状態で固定されているのに対し、3人掛け側のテーブルは写真の通り、収納できるようになっています。これは、3人掛け中央のB席がほぼ直立状態なのと同じく、座席回転時のスペースを確保するための仕様です。

よく見るとテーブルの下部分には、テーブルの破損防止と思われる当て布が。これも2人掛けでは見られない仕様です(→「余談」も参照)

【余談:3人掛け席を回転させるための隠れた工夫】

余談ですが、>>E4系の車端部テーブルは小ぶりな1枚板のため回転時の問題は発生しなかったらしく、この「当て布」の存在はE2系1000番台ならではと言えます。

中央B席が直立状態なのも、3人掛け席回転時に前後の座席との干渉を避ける「苦肉の策」で採用されたものですが、車端部のテーブルにもこんな工夫の跡が垣間見えるのは興味深いところです。

座席を正面から見た様子。2人掛け(左/上)と3人掛け(右/下)です。

個人的にはこちらのカラーの方が、落ち着いた雰囲気で好きだったりします。皆様はいかがでしょうか。

1・10号車 車いす対応区画

両端の先頭車である1号車と10号車には車いすに対応した区画があり、最寄りの乗降用ドアは他のそれよりやや広めに取られています(左/上)。

写真(右/下)は1号車の車いす対応区画の様子。1号車は1A・1B席、10号車は11A・11B席になります。

車いす対応区画(1号車)の様子。

両端の肘掛けが跳ね上がる、車いす固定用のベルトがあるなどの違いが見られます。

で、10号車の車いす対応区画はこんな感じ。座席のモケットが異なる以外の仕様は同一です。

その他の車内設備

空調の吹き出し口(左/上)と荷物棚上(右/下)の様子。

空調の吹き出し口は0番台の天井部から、荷物棚下に移動してきました。上に向けて風が出るので、冷房・暖房とも直接あたることなくじんわりと効いてくる感じです。

荷物棚上の天井は「荷物の置き忘れ防止」の観点から一部が鏡面処理されていますが、これを初めて取り入れたのがE2系1000番台だったりします。この鏡面処理は、現代のE5系でも採用されました。

通路(左/上)と座席肩部の握り手(右/下)の様子。

デッキと客室の仕切扉(左/上)とLED表示器のアップ(右/下)。LED表示器の上には近年防犯カメラが設置されました。

現代のE5系に見慣れると随分小ぶりな表示器ですが、それだけE5系以降の新幹線では表示が大型化されたということでしょうか。

デッキとゴミ箱

デッキ部分の荷物置き場(左/上)の様子。

横幅は手持ちのメジャーで適当に測ったところ40cm程度でした(号車により若干異なる模様)。写真では真ん中の天板を展開した状態で撮影していますが、折りたたんでスキー板など長尺のものを乗せることも可能です。

写真(右/下)はかつての自動販売機跡。現在はカバーを設置してデッドスペースとなっているようです。自動販売機では350mlのペットボトルなど販売していたものの、ややお高い価格設定だったと記憶しています。

デッキのゴミ箱の様子。ドア脇にあるのはよく見かけますが(左/上)、(右/下)のように通路に面しているのは珍しい気がします。

6号車 AEDコーナー

6号車には、かつての公衆電話スペースを転用したAEDコーナーが設けられています(左/上)。

公衆電話は偶数号車に設置されていましたが、現在は全て撤去済。6号車以外の元公衆電話スペースは(右/下)のように単なるフリースペースとなっています。

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概説

デビュー年:2002年

東北新幹線八戸開業用として、E2系0番台をベースにマイナーチェンジを行った番台。急勾配や周波数50Hz/60Hz対応の0番台とは異なり、本番台は電気周波数は50Hzのみ対応、また急勾配対応設備などは省略されるなど、東北・上越新幹線での運用に特化した性能となっている。

高速走行時の車体間の揺れを抑制するため、両端先頭車両とグリーン車(9号車)に、新幹線で初となるフルアクティブサスペンション、その他の車両にはセミアクティブサスペンションを導入し、走行時の揺れを大幅に減らしている。

2002年12月の東北新幹線八戸開業時に、当時の最速達列車である「はやて」に投入。新青森開業後も東京~新青森で運用されたが、E5系の投入が進むと「やまびこ」及び上越新幹線がメインの運用となった。青函トンネルには対応していないため、新青森以北への入線はできない。

2023年3月のダイヤ改正をもって上越新幹線から撤退。以後は「つばさ」と併結する「やまびこ」を中心に運用される。

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