【2/19新設】117系7000番台「WEST EXPRESS銀河」ファーストシート

目次

ファーストシート

フリースペース・共用設備

117系7000番台「WEST EXPRESS銀河」ファーストシート

JR西日本が「新たな長距離列車」として2020年に送り出したのが、この「WEST EXPRESS銀河」です。

多様性・カジュアル・くつろぎをテーマに「鉄道のたびを気軽に楽しめる」が列車コンセプト…のはずでしたが、いまや発売同時の売り切れが常態化しているとか。‟気軽に楽しめる”とは、もはや対極のプラチナチケットとなっているようです。

さて、当ページでは「WEST EXPRESS銀河」のファーストシート・共用スペースを紹介していきます。

夜の大阪駅に停車中の様子(左)と6号車のドア枠の様子(右)。

車体の基本的なフォルムこそ改造前のままですが、ピカピカに塗り直された濃紺の車体、窓からのぞく内装など、一見では117系とは気づかないほど雰囲気が変わったように感じます。

モケット

(左)座席面 (中)ベッド面 (右)カーペット

撮影日時・場所

撮影日:2024年12月

撮影場所:柳井駅・大阪駅 車内ほか

備考

取材時に乗車した列車が夜行便だったため、当ページでは夜行運転時の様子を紹介します。

ファーストシート 車内

では車内に入ります。全景(左/上)と天井(右/下)の様子。

車内は1+1の(言うなれば)ボックスシートが4列展開しています。1ボックス1人(夜行)または2人(昼行)で使用することになるので、定員は8名ないし16名。1両をこれだけの少人数で利用できる“贅沢さ”はファーストシートの魅力と言えそうです。

ファーストシート 座席状態

座席状態の全景。

向かい合わせのボックス席と言ってしまえば元も子もありませんが、大型の仕切りやレースカーテンの存在(後述)もあって、実際に着座すると半個室のような雰囲気を感じます。

背もたれの腰部分が大きく張り出しており、座席というより「ソファ」に近い着座感覚でした。着座時は脚を投げ出して座るような形になりますが、(昼行時はともかく)夜行運用時は1ボックス1人なのでさして問題はなさそうです。

座席状態のアップ(左/上)と、正面から見た様子(右/下)。

座席の付帯設備は、テーブル・照明(窓際・足元)・コンセントなどとなっています。座席自体は単なるボックスシートなので、リクライニングなどの機構は特段ありません。

ひじ掛け部分(左/上)と、座席上の荷物棚(右/下)。

このひじ掛けはレザーが張られて高級感がありますが、寝台の展開(後述)時はちょうどベッドと同じ高さです。従って、寝台状態時は滑りにくい小物置き場として、座席状態時はゴージャスなひじ掛けとして使用できるわけで…よく考えられているなと感じます(笑)。

ファーストシート 寝台状態

変わって寝台状態を見ていきます。シーツと毛布・枕をセットしてベッドメーキングした状態。

座席→寝台へは、左右の背もたれをレバー(後述)を引きながら手前に倒して転換します。>>583系や>>24系A寝台で見られたプルマン式に近い構造です。

比較用にベッドメーキングを省略した様子も。全景(左/上)と寝台のアップ(右/下)。

昼行便では枕のみが提供されるため、写真のような感じになるようです。もっとも、昼行便での運用時はこのボックスを2人で使うのが基本なので、ベッド状態にすること自体が少なそうですが…(苦笑)。

ベッドメーキング時を真横から(左/上)と、レースカーテンを展開した様子(右/下)。

背もたれの裏側を寝台面として使う構造上やむを得ないのかもしれませんが、横になった感覚はかなり固いです。発売区分上もあくまで座席なので多くは望めませんが、「サンライズ出雲・瀬戸」のB寝台よりも寝心地は一段劣るかなというのが率直な感想でした。

各ボックスには通路側にレースカーテンがあります。完全な目隠しには程遠いので、着替えなどはトイレの方が無難でしょう。どちらかというと、通路を通り抜ける人と目が合うのを防止するような役割が大きいように感じます。

ファーストシート – 付帯設備

座席間のテーブル類を見ていきます。全景(左/上)とコントロールパネルのアップ(右/下)。

テーブルは収納式となっており、寝台状態時や不要な時は折りたたみ可能です。他方コントロールパネルの内容は、コンセントとUSBポート各1口・ランプシェードの入切スイッチ・天井照明のダイヤルスイッチ(★がついているやつ)となっています。

通路(右/下)と、ボックス間の小物スペースの様子(右/下)。

通路に面したボックス間には2段式の小物スペースがあります。ただ、座席に座るor横になった状態からは思った以上に見えにくい場所なので、貴重品などは身に着けておいた方が無難かもしれません。

天井部分(左/上)と、小物スペース上(右/下)のアップ。

内装が大改造された「WEST EXPRESS銀河」ですが、天井のラインデリアだけは残っており改造前の雰囲気を偲ぶことができます。

ボックス間には謎の赤ランプが。かつての個室寝台で見られた「非常用ボタンを押すと点灯するやつ」かと思いましたが、ファーストシートのボックスには非常用ボタンがそもそもありません。ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示いただけますと幸いです。

ラウンジ ※ファーストシート利用者限定

運転台直後のデッキには、ファーストシート(グリーン車)乗客専用のラウンジが設けられています。全景(右/下)と天井(右/下)の様子。

ソファは回転式なので、4人でいわば車座になることも可能です。もっとも、このラウンジとファーストシート車内には仕切がないので、特に深夜はあまり盛り上がりすぎない程度に楽しみましょう。

向かい合わせにした状態(左/上)と、ソファのアップ(右/下)。

先頭車はモーターがないためか、デッキは思いのほか静かでした。ドアや窓から入ってくるすき間風も気にならず、見た目のわりに(失礼)居心地はかなり良かったように記憶しています。

運転台との仕切扉上(左/上)と、案内表示モニタのアップ(右/下)。

案内表示モニタでは「銀河」のロゴのほか、出発後・到着前は次駅案内などが表示されています。

ドア脇の様子

ドア周り(左/上)と、ドア脇からファーストシートを撮影した様子(右/下)。

デッキにはゴミ箱・SOSボタン・非常用のハシゴなどがスマートに収納されています。先述しましたが、デッキと客室間の仕切扉はありません。

車内の様子 夜と昼

比較用に、深夜の減光中(左/上)と昼間走行時の様子(右/下)。

減光中は、通路に千鳥配置されたフットライトを除いて全消灯となります。白を基調とした内装のためか、夜間と昼間で全く印象が異なるのは面白いところです。

おもてなし(下り山陽ルート)「まねきのえきそば」

最後に、WEST EXPRESS銀河(山陽コース)の下り下関行きでの「おもてなし」を見ていきます。

まずは姫路駅の立ち食いそば屋が提供する「まねきのえきそば」から。店舗は通常23:00閉店ですが、WEST EXPRESS銀河の運行日には駅停車中の時間(23:48着/0:40発)にあわせて深夜営業が行われています。

メニューは専用の「銀河きつね」「銀河天ぷら」のみで、料金はいずれも500円。到着直後はものすごい行列になるので、最寄りの5号車で駅到着前から待ち構えるか、逆にあえて後から訪れるのも手です。私の取材時も、0:10頃以降はかなり落ち着いている印象でした。

なお、店舗裏では(少々お高いですが)弁当の販売も行われています(→「備考」も参照)

【備考:姫路駅の改札口・コンビニ事情】

WEST EXPRESS銀河が姫路駅にとまっている0:00前後は、終電が終わっておらず駅の改札もまだ開いています。

そのため、「お高い駅弁には手が出ないが、なんか食べたい」「ドリンクを買い足したい」などといった場合は、姫路駅前のコンビニで購入するのも一つの手かもしれません。

駅周辺には、北口側にローソン(姫路駅前店)、南口側にセブン – イレブン(姫路南駅前町店)ファミリーマート(姫路駅南店)などがあります。

改札を通るため、当然ですが乗車券・WEST EXPRESSの指定券は必ず持っていきましょう。また、駅員氏によると「発車ギリギリの時間帯は、係員が席を外している場合がある」そうで、買い物が終わったらさっさと戻ったほうが無難なようです。

おもてなし(下り山陽ルート)「柳井駅」

続いて翌朝の柳井駅での「おもてなし」。ホーム上に出店が開かれ、おにぎりやサンドイッチなどの軽食が販売されます。出店の様子(左/上)と、私が購入したおにぎりの様子(右/下)。

WEST EXPRESS銀河の公式サイトには「昭和の売り子スタイルでの軽食販売」とありますが、なつかしいポリ茶瓶のお茶が提供されるなど、売り子のみならず全体的に「昭和」にこだわっているようです。

なお、柳井駅での停車時間は18分(8:13~8:31)と、姫路駅よりは短いので注意しましょう。

柳井駅では、有志の方が作ったというWEST EXPRESS銀河の模型(ファーストシート車/クロ116-7016)が展示されています。

現地スタッフの方に伺ったところ、この模型は既製品ではなくフルスクラッチ(パテやプラスチックで完全に自作する模型)だとか。床下機器や車内の再現も忠実で、非常に見ごたえのある一品でした。

おまけ

おまけ。夜間の運転台(左/上)と「ファーストシート」で迎えた朝の風景(右/下)。

このページは2ページ構成です。次は>>フリースペース・共用設備 編です。

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ファーストシート

フリースペース・共用設備

概説

デビュー年:2020年(WEST EXPRESS銀河としてのデビュー)

JR西日本が経営計画に掲げていた、「観光を通じた西日本エリアの活性化」の取り組みの一環として2020年にデビュー。

内装や仕様は「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、さまざまな座席や設備を備えた車両に(=多様性)、比較的低価格で気軽に乗車できる(=カジュアル)、快適性の高い内装を持つ列車(=くつろぎ)として開発された。

編成は6両。1号車のファーストシートと6号車のプレミアルームはグリーン車扱いとなっているが、その他は全て普通車。2・5号車にかつてのB寝台然としたクシェットを備えるが、こちらも普通車指定席(ノビノビ座席)扱いとなっている。

このため、一部のサイトや文献などでこのWEST EXPRESSが「寝台列車」として扱われる場合もあるが、あくまで発売区分は「座席」であり「寝台」ではない。

基本的には京都・大阪を起点に、下関方面(山陽コース)・出雲市方面(山陰コース)、新宮方面(紀南コース)が週2便ほど運行されている。コースは時期により異なるため、最新の運行状況は公式サイトにて要確認。このほか団体列車として、関西空港や四国の琴平へ乗り入れた実績もある。

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