JR四国7200系「予讃線」「土讃線」
高松地区のローカル輸送を担う7200系。国鉄民営化直前に投入された121系を、内外装ともに大掛かりにリニューアルしてデビューした車両です。
国鉄の財政難のさなか登場した121系は、車体には当時最先端のステンレスを採用しつつ、走行機器は廃車になった101系のものを流用していました(一部485系)。元々1960年代の機器であり、いい加減に限界がきたのか2016年から7200系化改造がスタート、2019年までに完了しています。
写真は伊予西条駅でのカット。高松から2時間半近い長旅を終えて、しばしの休息中だったようです。さっそく車内を見ていきましょう。
モケット
(左)普通車
撮影日時・場所
撮影日:2024年2月
撮影場所:予讃線 5531M列車 伊予西条駅 車内
備考
特にありません。
普通車 車内
車内の様子。
車内はロングシートとセミクロスシートを、片側ずつ交互に配置した変則セミクロスシートとなっています。元々は121系のワンマン化改造車で見られた配置で、7200系もその流れを汲んだもののようです。
座席
ボックス席(左/上)と、ドア脇の2人がけロングシート(右/下)。
7200系化でモケットが明るいワインレッド調になり、暗いすおう色だった121系時代からは明るい雰囲気になりました。
ただ、よく見るとボックス席で交換されたのは座面のみで、背もたれ部分はモケットが張り替えられただけ。理由は定かではありませんが、国鉄型車両でよく見られたボックス席の雰囲気が‟半分”だけ残っているのは面白いところです。
ロングシート(左/上)と、座席のアップ(右/下)。
‟半分だけ交換”されたボックス席とは対照的に、ロングシートは7200系化で全交換となったようです。また、座席両端には半透明の大型なソデ仕切り(座席両端)を新設。写真のような昼間の時間帯は、視覚にも明るく見える気がします。
車端部
車端部区画の全景(左/上)と、座席の様子(右/下)。
ドア脇には整理券発行機が設置されていますが、珍しく片側のみの設置となっています。私の取材時は運賃箱を使用しない運用だったため、ご覧のようにカバーがかかっていました(→「備考」も参照)。
【備考:JR四国のワンマン事情】
JR四国のワンマン列車は、乗車できるのは先頭の1両のみ(2両目以降は締切)というのが基本です。締切の車両はドアが開かず、車内からもチェーンがかけられて立ち入ることはできません。ただ、
① 列車番号が5000番台のワンマン列車
(全車開放、乗車時は整理券不要・すべての車両から乗降可&車内での運賃収受なし)
② 列車番号が3000番台のワンマン列車
(全車開放、乗車時は整理券が必要、乗降車できるのは先頭1両からのみ、車内での運賃収受あり)
に限っては2両目以降への立入・乗車が認められており、当ページ掲載の写真も①に該当する5531M列車で撮影しています。
(さらに備考)
私の乗車時もまぁまぁな乗車率だった1号車に対し、2号車は見事にカラッポでした。なんの予備知識もなかった私はこれ幸いと2号車に乗ったところ、駅にとまるたびにホームの利用者から「何やってんだあいつ」と言わんばかりの視線を浴びる結果に(苦笑)。もっとも、この違いは駅・車内でも明確にはアナウンスされていませんでした。地元の利用者も、「とりあえず1号車に乗っておけば間違いない」という認識なのかもしれません。
運転台直後 フリースペース
…「備考」で飛ばしすぎました。すみません。車内の紹介に戻ります。運転台直後の区画(左/上)と、その後ろにあるフリースペースの様子(右/下)。
こちらも121系のワンマン化改造車時代から大差ありません。車内にはなぜかゴミ箱も設置されていますが、(運転台のすぐ後ろという場所もあるのか)私の取材時はほとんど使用されていませんでした。
車内設備
天井(左/上)と、荷物棚(右/下)のアップ。
空調は蛍光灯脇のラインが吹出口(左右に2本)となっており、中央の口は換気扇のようです。この構造は、(吹出口の形状こそ異なるものの)同時期にデビューした211系や>>719系でも見られます。
窓間のコートかけ(左/上)と、ソデ仕切り(右/下)のアップ。
最近のソデ仕切りは「とにかく大きく」が全国的なトレンドのようですが、7200系もそれに乗ったものでしょうか。実際に着座してみましたが、ドア脇に人が立っても全く気にならないサイズでした。
つり革(左/上)と、貫通路上の設備類(右/下)。
案内表示装置は貫通路上に設置されており、次駅表示などが行われています。これは121系ワンマン改造車で初設置となったもので、7200系化時にそのまま引き継がれたようです。
ドア
ドアの全景(左/上)と、ドアスイッチのアップ(右/下)。
ドアの形状も、いわば‟同期”の211系や719系に似通った形状です。
概説
デビュー年:2016年(7200系としてのデビュー年)
高松地区の地域輸送は1987年に登場した国鉄121系が担っていたが、登場から30年弱を経て各所の老朽化・陳腐化が進んでいた。そこで121系に大幅なリニューアル工事と近代化を施して改造したのが、この7200系である。
121系は国鉄分割民営化前の財政状況があり、コストカットの観点から台車・走行機器・パンタグラフは101系から、MG(補助電源装置)は485系からなど、他系列の廃車で捻出されたものが極力流用されていた。
7200系への改造時には、旧式化していたこれらの部品が完全に交換されたほか、一部ボックス席のロングシート化が施されている。なお、121系時代から引き続いてトイレの設置はない。
予讃線の高松~伊予西条、土讃線の多度津~琴平の普通・快速列車で運用中。