目次
・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
24系25形「北斗星」 – ソロ
札幌駅の案内表示(左)と乗車位置案内(右)。
JR北海道の案内表示は基本緑色で行先が表示されるのですが、「北斗星」の上野行きは見ての通り赤字で「上野」と表示されていました。「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」でも同様だったように記憶しています。
モケット
(左)JR北海道所属車
(右)JR東日本所属車
撮影日時・場所
撮影日時:2001~2014年
場所:「北斗星」 車内 上野駅ほか
備考
・>>24系25形「北斗星スクエア」 B寝台ソロの項目も併せてご覧ください。
・号車番号は2008年3月15日改正後の「北斗星」1往復運転時を基準に記載しています。
5号車 JR北海道車「ソロ」 車体外観
続いて5・6号車に連結されていたJR北海道所属車の「ソロ」を見ていきます。
6号車は半室がロビーカーとなっており、ロビーカーと個室部分の“境目”は、見ての通り窓配置が不規則になっていました(右)。
5号車 JR北海道車「ソロ」 通路
「ソロ」の通路(左)と、部屋番号表記の様子(右)。
通路部分の内装は、先に紹介した「デュエット」とほぼ同じです。あえて言えば、ドアの数がやたらと多いことくらいでしょうか…(笑)。
5号車 JR北海道車「ソロ」下段
「ソロ」下段の全景。
寝台モケットがピンク系のためか、ブルートレインでは珍しく明るい雰囲気の個室でした。枕木と平行方向にベッドを配したスタイルで、かつて九州ブルトレなどで多く見られた「ソロ」とほぼ同一の構造です。
下段ベッドのアップ(左/上)と、枕元の設備類など(右/下)。
寝台面は固めとなっており、横になっても沈み込みはあまり感じません。モケットの表地は滑りにくい素材となっており、揺れる車内でシーツを敷いて寝転ぶという寝台列車の性質上“理にかなっている”とも言える仕様でした。
足元の荷物置き場(左/上)と、天井の様子(右/下)。
この荷物置き場は、上段個室の階段下を有効活用したものでしょうか。滑り止めを併設した本格的なもので、ご覧のように個室内の荷物置き場にしては非常に広大なスペースが確保されていました。
個室内のテーブル・ゴミ箱(左/上)と、コントロールパネル(右/下)の様子。
(「ソロ」に限らず)「北斗星」の個室寝台は全て喫煙可だったため、各部屋には灰皿が設けられていました。灰皿はデザインこそ昔ながらですが、よく見ると「JNR」マークがありません。従って他の寝台車からの流用ではなく、「ソロ」への改造時に新たに製造・取付されたものと思われます。
5号車 JR北海道車「ソロ」上段
変わって「ソロ」上段の様子。
写真は5号車の「ソロ」で撮影していますが、6号車の「ソロ」とは個室内の内装が異なっていました(後述)。6号車の「ソロ」は現役時代に乗り損ねてしまい、後年>>24系25形「北斗星スクエア」 B寝台ソロで撮影しています。併せてご覧ください。
寝台のアップ(左/上)と枕元の各種設備類(右/下)。
照明のスイッチやオーディオ設備のスイッチ類は、全て枕元にまとまっていました。横になったままでも操作可能です。
ゴミ箱、スリッパ類など個室内の備品(左/上)と天井の様子(右/下)。
写真ではフットライトがゴミ箱脇にありますが、>>24系25形「北斗星スクエア」B寝台ソロの保存車の場合ベッド下にありました。写真は5号車の全室ソロ車で撮影していますが、同じJR北海道所属車の「ソロ」でも5・6号車では個室内の設備の配置が若干異なったようです(→「備考」も参照)。
階段部分(左/上)と、通路上の荷物スペース(右/下)。
荷物スペースのデザインも、>>24系25形「北斗星」スクエア B寝台「ソロ」と異なります。ぜひ見比べてみてください。
備考:微妙に違った5・6号車の「ソロ」
5・6号車「ソロ」の内装の違いを、以下のマトリクスにてご紹介します。
号車/設備 | 5号車 | 6号車 |
---|---|---|
個室の鍵 | ナンバーロック式 | シリンダー式 |
灰皿の位置 | ベッド正面の壁 | 窓下 |
個室内の荷物スペース | 幅広 | ややコンパクト |
オーディオパネル | デジタル表示 | 押ボタン式 |
フットライト | 窓側 | ベッド下 |
非常呼出ボタンの位置 | 窓下コントロールパネル内 | 窓上 |
10号車 JR東日本車「ソロ」
続いて、JR東日本所属車の「ソロ」を見ていきます。
こちらは10号車に連結されており、「ロイヤル」との合造車です。JR東日本所属車の通路は濃いめの木目調が基調で、どちらかというとより重厚というかレトロ寄りな仕上がりに。この車両も開放型B寝台から改造された車両(オロハネ24 501を除く)ゆえ、天井の照明や窓下の椅子などに改造前の雰囲気を垣間見ることができました。
10号車 JR東日本車「ソロ」下段
「ソロ」下段個室の全景です。
JR北海道所属車が「上段・下段の個室を互い違いに配置」しているのに対し、JR東日本所属車は「上段・下段の個室を2階建てで配置」するタイプ。この方が“幅”を取らないことから個室数が増やせる反面、天井高は低くなってしまい、個室へ入る時は背をかがめて「潜り込む」ような感じでした。
寝台のアップ(左/上)と、窓際のひじ掛けを展開した様子(右/下)。
窓際のひじ掛けのカバーは、パリッと糊が効いていて心地よかったように記憶しています。末期はひじ掛け部分のモケットに経年からか“擦れ”が見受けられたものの、このカバーのおかげでうまく隠れていました(苦笑)。
荷物スペース(左/上)とフットライト(右/下)のそれぞれアップ。
寝台脇の荷物スペースは、全幅・奥行きともにJR北海道所属車のそれと比べて(良く言えば)非常にコンパクトです。荷物スペースと言うよりは、ハンドバッグなど小物入れに近いサイズでした。
ゴミ箱・テーブル類(左/上)と、個室内の天井の様子(右/下)。
天井部分には鏡が設けられていますが、よく見ると開放型B寝台の通路についている鏡と全く同一です。改造時にこちらに移設されたのでしょうか。
オーディオパネル(左/上)と、室内から入口方向を見た様子(右/下)。
10号車 JR東日本車「ソロ」上段
続いて「ソロ」上段に移ります。
JR東日本所属車の「ソロ」は、「階段を上ったところで部屋が2つに分かれる構造」です。階段は2部屋で共有するほか、カードキーのリーダーも「2部屋で1台」でした。
上段の全景(左・上/中)と、荷物スペース・オーディオなどの設備類(右/下)の様子。
上段は下段以上にコンパクトな作りでした。あえて良い点を挙げるなら、窓が寝台のすぐ近くまで来ていたことでしょうか。深夜帯に横になって真上を見上げたら、本当に満点の星空が広がっていました。
JR北海道所属車やオロハネ24 501(後述)の「ソロ」は寝台が窓からややズレた位置にあり、横になって夜空を見上げるのは実のところけっこう難しかったりします。JR東日本所属車の「ソロ」上段ならではの体験でした。
JR東日本車(オロハネ24 501)「ソロ」上段
JR東日本が保有する「ソロ」の上段は「階段を上ったところで部屋が2つに分かれる」が基本です。しかし、1両だけJR北海道所属車のように「室内に階段があるソロ」を持つ車両が存在しました。
オロハネ24-501がその車両で、写真は上段の様子。寝台モケットや個室内の設備こそJR東日本所属車の仕様ですが、構造は室内に階段があるJR北海道所属車と同一です。
個室数も他の「ソロ」(JR東日本所属車)と異なっていたため、末期の「北斗星」では滅多に連結されない貴重な車両でした。
ベッドのアップ(左/上)と、個室内の設備類(右/下)。
「ソロ」としての車内設備は、完全にJR東日本所属車の仕様です。この車両に乗車した時の私は「北斗星」についての予備知識がそこまでなく、“希少性”に気づかないまま適当に写真を撮ってしまったのが悔やまれるところです(苦笑)。
荷物スペースの様子(左/上)と、個室内の階段の様子(右/下)。
オロハネ24-501が1両だけ異なる仕様でデビューした経緯は、長々と以下にまとめました。興味のある方は読んでみてください(→「備考」も参照)。
【備考:異端児 オロハネ24-501の一生】
そもそもなぜ1両だけ定員の異なるオロハネ24-501が生まれたのか、という経緯は1989年3月にまでさかのぼります。
1989年3月のダイヤ改正で、それまで臨時列車だった「北斗星」3・4号の定期列車化が決定。JR東日本とJR北海道が1編成ずつ隔日でこの列車を担当する体制となりましたが、思わぬ問題が立ちはだかりました。両社で構造や定員が異なる車両の存在です。
特に問題となったのが「ソロ」(と「ロイヤル」の合造車)と「ロビーカー」。JR東日本車のソロは14室でしたが、JR北海道車は12室でした。他方のロビーカーはJR東日本車が1両全体ロビーだったのに対し、JR北海道車は半室のみ。このまま運用に入れると、日によって定員が異なるといった厄介な問題が発生しかねません。
そこで、両社は
「定員が同じ車両(開放型B寝台など)は、自社の既存の車両を使う」
「定員が違う車両は、互いに合わせた車両を新たに作る」
という方針で解決することにします。
具体的には、JR北海道は「JR東日本の全室ロビーカーと同じ1両まるごとロビーカー(オハ25-551)」を、JR東日本は「JR北海道と同じ構造・定員のソロ(と「ロイヤル」の合造車)」を用意。ここで登場したのがオロハネ24-501で、14系座席車からの改造により1989年6月にデビューしました。
「北斗星」3・4号専用車とも言えたオロハネ24-501でしたが、1999年7月改正で同列車は(「カシオペア」に置き換えられる形で)廃止に。以後は、一転して「予備車」に専念する人生を歩むことになります。
もっとも本来の予備車が別に存在(1編成につき1両のオロハネ25形500番台は4両が在籍)した上に、連日満席続きの「ソロ」が少ない(14室→12室)オロハネ24-501をおいそれと使うわけにはいかなかったらしく、実質的には「予備の予備」だったそうです。末期はいわゆる黒磯訓練などの訓練に使用される程度で、「北斗星」に入ることは滅多にありませんでした。
オロハネ24-501は、「北斗星」の定期運行が廃止された2015年3月以降も残存。同年8月まで運行された臨時「北斗星」に入ることはなく、翌9月の廃車まで“予備車”としての役割を全うしました。
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目次
・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
「北斗星」概説
デビュー年:1988年
上野~札幌間を、東北本線、IGRいわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線を経由して結んでいた寝台特急。
1988年3月13日に2往復で運行を開始。当初は1・2号がJR北海道所属、5・6号がJR東日本所属の編成で運行(※3・4号は季節臨)されていたが、翌年1989年3月改正で3・4号を定期列車化する形で3往復に増便。3・4号は両社が隔日で担当した。なお、1999年の「カシオペア」運行開始以降は2往復に戻っている。
1997年からJR北海道所属編成(北斗星1・2号)では車両の個室化が推進され、翌1998年には完全個室化された(※簡易個室の「Bコンパート」を含む)。他方、JR東日本所属の3・4号では大きな動きはなく、開放型B寝台車が11両中6両(1~5・11号車)を占めたまま2008年まで運行されるなど、同じ「北斗星」でも列車により設備の違いがあった。
2008年3月以降は北海道新幹線開業準備のため、JR北海道・JR東日本所属車の混成編成による1往復に減便。2015年3月の改正で定期列車としては廃止され、同年8月23日の上野着をもって臨時列車としても運行終了となった。
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