24系「あけぼの」 – A寝台/B寝台
上野~青森を上越線・羽越本線・奥羽本線経由で結んでいたのがこの「あけぼの」です。
2002年に廃止された東北本線経由の「はくつる」に対し、羽越本線~奥羽本線経由の「あけぼの」は東北新幹線の新青森開業後も「定期列車」として生き永らえていました。新幹線と直接競合しない区間が多かったこと、「ゴロンとシート」の導入といったテコ入れ策もあり、存外根強い需要が存在したためだそうです。
しかし車両自体の老朽化もあり、2014年3月15日ダイヤ改正を以て定期列車としては廃止。以降はB寝台のみの編成で臨時列車として運行されていましたが、2015年1月4日を最後に事実上運行終了となっています(→「補足」も参照)。
廃止間際は上野~長岡はEF64 1000番台、長岡~青森はEF81が牽引の任に当たっていました。かつては全区間をEF81が牽引していましたが、上越線の急勾配区間で空転が多発したため、2010年以降より力の強いEF64 1000番台の牽引に変更された経緯があります。
【補足:運行終了の記載について】
JR各社からは「あけぼの」の廃止が公式に発表されていないため、当ページでは「廃止」ではなく「事実上運行終了」と表記しています。
もっとも所謂ブルートレインの車両が全車廃車されたいま、「あけぼの」の“復活”は現実的に不可能であるためか、2024年現在では(単なる管理人の肌感覚ですが)「廃止」と解説されるのが一般的のようです。
青森駅でのカットをご紹介。下車後・発車前は、写真撮影をする人が機関車と客車の前に集中し、ホーム中ほどは対照的にとても静かでした(右/下)。
モケット
(左)A寝台
(右)B寝台
7号車 A寝台「シングルデラックス」
定期列車時代は7号車に連結されていた、A寝台「シングルデラックス」の様子。
バブル景気真っ只中の1991年に、開放型B寝台車を大改造してデビューしています。登場した時期柄か、照明は電球色、ドアは木目調、手すりは金色と「バブリー」な雰囲気を感じる通路でした。
個室内の様子。
寝台幅こそ76cmとB寝台+6cmですが、天井までの空間とバブリーな設備の数々を一晩独占できるのは「シングルデラックス」の特権でした。補助ベッドを展開して二人での使用も可能で、そのためかスリッパは2人分備わっています(→「補足」も参照)。
【補足:「あけぼの」のシングルデラックスの出自】
このシングルデラックス車は1991年にオロネ24形(開放型A寝台)、オハネ24形(開放型B寝台)から改造されて登場しており、>>登場当初から「シングルデラックス」だったオロネ25形(「出雲」の項参照)とは出自が異なります。
A寝台 下段
枕まわりのアップ(左/上)と個室内の設備(右/下)。
ベッドの反対側には、テーブル、鏡、洋服かけ、コンセント、洗面台が備わります。
個室内の洗面台(左/上)とテーブルのアップ(右/下)。
洗面台はコンパクトですが、温水対応・口をゆすぐ用のコップまで備わった本格的な仕様でした。「個室内で歯磨き・洗顔などの身だしなみが完結できる」というのは、A寝台の特権だったのでしょう。
テーブルにはかつて小型のブラウン管テレビが設置されており、映画が視聴できたとのこと。シーズンごとに1~2本の洋画・邦画が配信されていたようですが、私の取材時にはすでに撤去されていました。
補助ベッド(左/上)と通路上の荷物置き場の様子(右/下)。
個室内に備わる靴ブラシ(左/上)と、アラーム時計などが備わる操作盤(右/下)。
「靴ブラシ」があるあたり、“シングルデラックスがメインターゲットとしていた層”が垣間見える気がします。私が取材した時は、およそこの靴ブラシが必要そうな靴を履いた人は見かけなかったものの(笑)、引退まできれいな状態で維持されていました。
変わって操作盤(右/下)は、寝台使用時に枕元となる位置にあり、個室内の照明、空調、BGMなどが横になったまま操作できました。
寝台下には見ての通り「踏み台」が収まっており(左/上)、それを取り出した状態が(右/下)。
座席状態
この「シングルデラックス」、寝台を引き起こすと座席にも転換可能でした。特に下り青森行きでは、青森駅到着が10時前と「朝起きてからもそれなりに走る」ことから、座席に転換して過ごす人がときおり見られたように記憶しています。
もっともあまり認知されていなかったのか、あるいは「寝台車ならギリギリまで横になって過ごしたい」という人が多かったのかは知りませんが、引退間近でも「座席」面のモケットは妙にきれいでした。
アメニティキット
シングルデラックスならではの設備として、「あけぼの」のヘッドマークのロゴが入った専用のアメニティグッズが装備されていました。
(左/上)が全景、(右/下)が“中身”となります。「JR」のロゴが入ったアメニティグッズ類も、今では懐かしい気がします。
トイレ・デッキほか
貫通扉(左/上)とトイレの様子(右/下)。
A寝台のトイレは洋式に換装されていたものの、便座は薄っぺらくてお世辞にも安定したものではありませんでした。
このページは2ページ構成です。次は>>B寝台「ソロ」・開放型B寝台 編です。
概説
デビュー年:1972年(車両)
寝台列車の主力車両。当初B寝台は3段式で登場したが、その後寝台列車の需要減少や設備改善のために、現在は全てが2段式になっている。
車体構造はその前に登場した14系とほぼ同様だが、1972年11月の北陸トンネル火災事故の教訓をきっかけに防火対策を強化したほか、電源は集中電源式が使用されている。