京王電鉄8000系「大規模改修車」
京王線地上区間の主役、8000系。地上区間のほか、早朝深夜は京王新線にも顔を出すなど京王線全線で運用されています。
そんな同車ですが、2014年から大規模改修が開始されました。外観はデビュー当初から大きく変わっていませんが、車内に一歩足を踏み入れるとさまざまな“違い”を見ることができます。さっそく見ていきましょう。
モケット
(左)一般席 (中)優先席 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2017年10月12日
撮影場所:京王電鉄高尾線 高尾山口駅 車内
備考
特にありません。
車内全景
車内の様子。
元々8000系は「アイボリーとベージュ系の車内にローズレッドの座席」という感じで、車内は全体的に暖色系でまとめられていました。今回の大規模改修では、座席を中性色のグリーン系カラーに一新。床材も全面的に張り替えられ、雰囲気が大きく変わっているのが特徴です。
全体的に、化粧板は白・座席はグリーン・床はブラウンと、改修前に比べてメリハリのある車内になったように感じます(→「備考」も参照)。
【備考:京王ならではの‟床”、大規模改修後も残っています】
京王の車両に見られる特徴として「座席下部分にラインを引き、着座した人が(心理的に)脚を投げ出しにくくする仕様」があります。
改修後はその仕様を引き継ぎつつ、床面を茶色の濃淡で区別する方式に変わりました。ラインよりは控えめな雰囲気になり、見ための高級感も上がっているように感じます。
座席
座席の様子(左/上)と座面の様子(右/下)。
大規模改修時には、モケットの張り替えと併せて座席内部の詰め物も交換されたようです。
座席中央の握り棒(左/上)と、座席両端の仕切のアップ(右/下)。
どちらも2008年頃に行われたATC設置工事と同時期に設置されたもので、大規模改修前からの設備です。改修時には特にいじられなったらしく、すでに塗装の剥げが出てきていました。
車端部優先席「おもいやりぞーん」
優先席区画の全景(左/上)と、座席のアップ(右/下)。
大規模改修に伴い、車端部の区画は全て優先席に変更されました。座席モケットは一般席区画の色違いで、こちらはブルー系の色調です。
フリースペース「おもいやりぞーん」
また「おもいやりぞーん」ですが、こちらはフリースペースつきの区画。
各編成、新宿寄りから2両目の車両がフリースペース付きとなっています(→「備考」も参照)。
【備考:京王車の消火器事情】
フリースペースとは全く関係ありませんが、京王の車両は消火器が連結面の窓上に配置されているのが特徴です。
8000系の後にデビューした9000系もこの位置に消火器があることから、これはどうやら京王の“仕様”なのでしょう。
フリースペース部分を外から見た様子(左/上)と、乗務員への非常通報装置の様子(右/下)。
車内設備
天井の様子(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。
改修前から変わっていないように見えますが、各種鉄道雑誌などによると新火災対策基準への適合の関係から、冷房の吹き出し口(写真中央)がFRP製からアルミ製に交換されているようです。
急停車に関する「お願い」のプレート(左/上)と、点検用のフタ(右/下)。
大規模改修時には撤去されるのかと思いましたが、どちらもあっさり残りました。
つり革
一般席(左/上)と優先席(右/下)のつり革。
こちらは改修とは関係ないようで、昔ながらの丸いつり革がそのまま残っています。
ドア
乗降用ドアの様子(左/上)と行先表示の様子(右/下)。
大規模改修に伴ってドアは全交換されています。
概説
デビュー年:2014年(大規模改修車のデビュー年)
1992年のデビューから20年以上を経て、足回り・内装面に陳腐化の進んでいた8000系に大規模改修を施して2014年に登場。
本改修が行われる前から、8000系には様々な改造(行先表示器のフルカラーLED化など)が施されていたが、内装やドアなどが一新される改修は今回が初となった。
2014年の改造を皮切りに、以後年間3編成程度のペースで大規模改修工事を進めていくとのこと。