【10/4全項目リニューアル】24系「岩泉CYMBALS ブルートレイン日本海」A寝台 編

目次

A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備
館内設備
「ブルートレイン日本海」へのアクセス

24系「岩泉CYMBALS ブルートレイン日本海」 A寝台 編

※ 旧「ふれあいらんど岩泉」

かつて大阪~青森を結んだブルートレイン「日本海」の客車を使用した宿泊施設が、この「ブルートレイン日本海」です。岩手県・岩泉の「岩泉CYMBALS」敷地内にあり、広大な敷地の中に24系3両が鎮座しています。

この「ブルートレイン日本海」の特筆すべき点は、日本全国で唯一「開放型A寝台」に宿泊できること。製造両数が少なかった「開放型A寝台」が、宿泊できる形で残っているというのは本当に“プレミア”ではないでしょうか。

このページでは、そんな「ブルートレイン日本海」の車内を見てみることにしましょう。

編成を反対側(A寝台オロネ24 5側)から撮影した様子(左)と、車番のアップ(右/下)。

こちらの貫通路は非常口となっており、通行が規制されていました。

【補足:オロネ24 5 車歴】

日 時内容
1973/08/26落成 向日町へ配属
「あかつき」「彗星」などで運用
1975/03品 川へ転属
「はやぶさ」「出雲」などで運用
1976/10青 森へ転属
「日本海」「鳥海」「出羽」などで運用(※)
2012/03/16「日本海」廃止 定期運用消滅
2013/01/06「日本海」臨時列車としても運行終了
運用消滅
2013/03/19廃車
2013/11岩手県岩泉町「ふれあいランド岩泉」
敷地内へ輸送
2014/07/28宿泊施設「ブルートレイン日本海」
として営業開始
参考URL:https://www5.big.or.jp/~hagi/rail/

(※)品川から青森へ短期間で転出した理由は、1976年から個室A寝台を取り入れたオロネ25形がデビューしたことによるものです。オロネ25形はいわゆる九州ブルトレに優先的に投入されたため、余剰となった開放型A寝台のオロネ24形が、いわば“押し出される”形で青森に転属しました。

モケット

(左)モケット (中)カーペット (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2025年7月3~4日

撮影場所:岩泉CYMBALS 「ブルートレイン日本海」 車内

備考

特にありません。

開放型 A寝台

A寝台車内の様子。

車内は「日本海」で使用されていた時から、基本的には大きく変わっていません。古い車両に特有の「におい」もそのまま残っています。

「始発駅でのセット状態」(左/上)と、「夜間の減光中」(右/下)を再現した様子。

車内の照明はデッキにあるスイッチを操作することにより、利用者サイドで設定することが可能です。

また、減光中は非常灯のみの点灯ですが、近年(特に岩泉CYMBALSになってから)は非常灯がいくつか玉切れしているらしく、現役当時よりはかなり暗い車内になります。

【コラム:知らないと焦る「日本海」の照明事情①】

スイッチは「全切」「全光」「減光」の3つあり、深夜帯(22時以降)は「全光」にしていても自動的にこの減光モードに入るようです(これ以降に全光にする場合は、一旦「全切」位置にしてから再度「全光」に回す)

しかし21:55頃になると「減光」モードにしていても、なぜか全自動的に一旦「全光」モードになり、22:00に再び減光するという謎仕様になっています。

スイッチの切り替え装置の仕様か何かなのでしょうが、照明のスイッチがあるのはデッキ。何の予備知識もない状態で減光モードにして21:30頃からまったりしていた私心臓によろしくない思いをしたので、今後行く方のために情報共有しておきます(笑)。

A寝台 下段

A寝台の下段の様子。座席状態(左/上)と、座面を倒した様子(右/下)です。

現役時代に、この「座席状態」で運用されたことはあったのか気になるところです。座席は4人がけとはいえ、実際に座席状態となる場合は下段・上段の2人で使うことになるのでしょう。

1ボックスを最大4人で使うB寝台と比べ、座席としての利用時もかなり余裕のある設備に感じます。

続いて寝台状態。全景(左/上)と枕元のアップ(右/下)。

寝台の横幅は100cmで、設備は読書灯・鏡・荷物棚(座席状態の時のヘッドレスト部分)など。保存にあたり壁際にコンセントが一口新設されているため、電源確保の心配はありません。

寝台の足元側(左/上)と、比較用に座席状態の様子(右/下)。

寝台の足元側は、ヘッドレスト部分を跳ね上げることで荷物置き場として使用できます。

A寝台 上段

変わって上段寝台を見ていきます。全景(左/上)と、ベッドメーキング状態(右/下)。

この車両のデビュー時、「上段なのに起き上がれるほどの上下幅がある」というのは画期的で、これがB寝台との“差別化”でもあったそうです。改めて寝台全体を見渡すと、転落防止ヒモだけでなくしっかりした柵があるなど、B寝台の上段よりもより重厚な作りになっていますね。

上段寝台の設備類。枕側(左/上)と足元側(右/下)です。

設備類はコートかけ(両端)のほか、読書灯・鏡などは下段と同一です。丸く圧迫感のある天井や、のぞき窓のような小さな窓も相まって、居住性は下段よりどうしても見劣りすると言わざるを得ません。

そのためか、現役時代は同じA寝台でも上段の寝台料金は下段より1,000円ほど安く設定されていました。

A寝台の小窓を開けた状態(左/上)と閉めた状態(右/下)。

寝台ハシゴ

上段に上がるための寝台ハシゴの収納時(左/上)と展開時の様子(右/下)。

展開時は、寝台のひじかけ下にあるフックにハシゴを引っかけるような形で使用します。引っかけなくても一応展開はできますが、不安定で危険なので引っかかりを必ず確認してから利用するようにしましょう。

このハシゴ、よく見ると寝台本体とは直接干渉しない構造になっているのがポイントです。詳しくは後ほど解説します。

その他の車内設備

天井の様子(左/上)とクーラーの様子(右/下)。

照明自体はB寝台と同じ蛍光灯式ですが、カバーが丸いものが採用されています。ノスタルジックな中にも高級感を感じるデザインで、これもアッパークラスであるA寝台ならではの仕様だったものと思われます。

通路(左/上)と車両銘盤(右/下)の様子。

他のブルートレイン保存車にも言えることですが、保存車は法令上「建造物」という扱いのため、車内には非常ベルが設置されました(左/上)。

また、(右/下)は脱出用のハンマーが入っているボックスの様子。内部はカラッポで、ハンマー本体は撤去されたものと思われます。

寝台昇降スイッチのボタン(左/上)と、寝台番号のプレート(右/下)。

このスイッチは上段寝台の高さを上下するためのもので、寝台をセット・撤去する作業員の便を図った設備とのこと。ハシゴが寝台と干渉しない設計(前述)はこれとの兼ね合いと思われます。

【備考:「岩泉CYMBALS」での寝台昇降スイッチ事情】

ちなみに取材時、私一人の貸切だったのを良いことに試しに押してみたものの、動作しませんでした。

寡聞ではありますが、使用可能時は(エレベーターのボタンのごとく)ボタンが点灯するそうで、そもそもの元電源が切られているのかもしれません。

おまけ

おまけで寝台車に入るキー(左/上)と、窓から見える夕暮れの景色(右/下)。

キーは「ふれあいらんど岩泉」時代からのものを引き続いて使用しているようです。

このページは6ページ構成です。次は>>A寝台 洗面台・トイレ・車内設備 編です。

目次

A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備
館内設備
「ブルートレイン日本海」へのアクセス

概説

デビュー年:2014年8月(ふれあいらんど岩泉での営業開始)

「ブルートレイン日本海」とは、岩手県内・岩泉に存在する「岩泉CYMBALS」の宿泊施設の一つ。元々「日本海」「あけぼの」などで使用されていた寝台車3両を譲り受け、2014年8月から「ふれあいらんど岩泉」の一施設として営業を開始。改装工事を経て2025年から「岩泉CYMBALS(シンバルズ)」の一施設となっている。

編成は3両で、開放型B寝台2両と開放型A寝台1両で構成。宿泊に使用される車両の設備は現役当時からほぼ変わっておらず、洗面台も一部を除きそのまま利用可能。毛布、シーツは宿泊料金に含まれている。

宿泊時は、岩泉CYMBALS敷地内のレストラン「りゅうのこ」にてディナー・ランチが利用可能(ディナーは8,000円~)。但しディナーは3日前までに事前予約が必要。

宿泊予約の受付は電話のみで、A寝台は1ベッドまたは1両貸切、B寝台は1両貸切での予約となる。A寝台は1ベッド3,500~4,500円・1両貸切が35,000~38,000円、B寝台は1両貸切が10名まで21,000~22,000円・11~28名まで42,000~44,000円。支払はクレジットカードや各種QR決済が使用可能。

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