E259系「成田エクスプレス」 グリーン車/普通車
1991年にデビューした「成田エクスプレス」の“2代目”として、2009年にデビューしたのがこのE259系です。基本的な車体カラーはそのままで、ホームに停車中の印象はあまり変わりませんが、先頭部の形状が変わり「NEX」のロゴが大胆にあしらわれるなど、デザイン面ではより洗練された感があります。
メインは「成田エクスプレス」ですが、一部の編成は「マリンエクスプレス踊り子」として東京~伊豆急下田で使用された経歴があるほか、新型コロナウイルス流行時にテレワークスペースとして両国駅で開放された時期があるなど、成田エクスプレス(ほぼ)“専業”だった先代の253系より活躍の幅が広がっています。さっそく見ていくことにしましょう。
モケット
(左)グリーン車 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2017年7月4日
撮影場所:大船駅 車内ほか
備考
特にありません。
車内全景(グリーン車)
というわけでグリーン車の車内全景です。253系では1+1、または2+1配置でしたが、このE259系からはオーソドックスな2+2配置に戻りました。
黒い座席に赤い枕カバーがかかる座席のカラーリングは先代の253系を受け継いでおり、特段の目新しさはありません。その他、車内は明るめの木目調が随所にあしらわれており、253系に比べれば明るい車内に仕上がっています。
車内を後ろから見たところ(左/上)と天井の様子(右/下)。照明は半間接照明となっており、夜間でも照度はそれなりに確保されています。天井にはLCDモニタがつりさげられており、従来のLED案内表示で行われていた案内を代替しています。
座席
さて座席の様子。座面~背もたれはかなり固め、ピローはフラットな形状、革張りにしては滑りにくい素材となっています。また、腰の位置と背中の位置のクッション形状が微妙に異なっている点に注目。こういった細かい気配りの甲斐あってか、腰かけた感じの印象は「無難に快適」です。
付帯設備は背面テーブル、コートかけ、フットレスト、カップホルダー、コンセントなど、一般にアッパークラスにある設備は一通り持っています。
もっとも、普通席と大差ないサイズの肘掛や、足を離すと勝手に復帰するタイプのフットレストと、どうにも「現場の実用重視」な感じな点が垣間見えるのも面白いところです。「成田エクスプレス」としての運用であれば、乗車時間は長くても1時間半なので、ある意味「割り切った作り」なのかもしれません。
座席を正面から見たところ(左/上)と、座席背面のアップ(右/下)。正面から見ていただくと、中ひじ掛けがかなり小さいのがお分かりいただけるかと思います。
座席の回転レバー(左/上)は、一般的な座席の台座部分ではなくひじ掛けの後ろ部分に設けられています。該当の部分には黄色いシールが貼られているものの、デビューから10年近くを経て、ご覧の通りかなりスレてきてしまっています。
他方、座席肩部には見ての通り手かけが設けられています(右/下)。単なる手かけとするのではなく、光沢のある木のような模様になっているのが特徴でしょうか。黒い革の中で、ちょっとした視覚上のアクセントになっているようにも見えます。
各種車内設備
座席番号の様子(左/上)と荷物棚下のスポット空調(右/下)。空調の吹き出し口は荷物棚部分となっており、スポット空調はそれを引いてきたもののようです(笑)。
天井部分に吊り下げられている案内用のLCDモニタ(左/上)と通路の様子(右/下)。LCDモニタには乗換案内などのほか、ニュースなども表示されます。
デッキとの仕切・ラゲッジスペース
運転台寄りのデッキと客室の仕切扉はこんな感じ。「普通車」の項目で後述しますが、こちらの仕切扉は普通車のそれと同じくガラス製のものが採用されています。
仕切扉部分には車内非常通報ボタン(SOS)が設けられていますが、マイクやスピーカー部分は周りの木目調に合わせたカラーリングになっているのが特徴です。
この仕切部分には253系から引き続いてラゲッジスペースが。盗難や取り違え防止にロックのかかるチェーンがついていますが、成田空港や東京到着間際にはこれを開錠する乗客がデッキ付近に滞留する場合が多いです(苦笑)。大荷物の場合は、早めにロック開錠~デッキで待機していた方がスムーズに降りられそうな印象を受けました。
デッキ
大船寄りのデッキは車いす対応のトイレなどが備えられており、通路は片側に寄せられています。こちらは白とグレーが中心。照明の演出などもあって、いい意味で列車の中らしくない雰囲気に感じます。
車いす対応トイレ
で、オストメイト対応のトイレ側から。車両の幅を最大限生かした構造となっているため、トイレ部分は写真で見る以上に広く感じます。なお、写真手前は多目的室となっています。
トイレ内部の様子。照明は間接照明が中心ですが、木目調が明るいのもあってか、ビックリするほど明るいトイレです(笑)。ちなみに便座はウォシュレットではなく、ウォームレットとなっていました。
>>このページは2ページ構成です。次は>>「普通車」編 です。
概説
デビュー年:2009年
「成田エクスプレス」で使用されてきた253系が老朽化により取り換えの時期を迎えたことから2009年にデビュー。
253系では3両編成と6両編成があったが、E259系では6両編成に統一された。最大で12両編成での運行が可能。
車体の主な構造はE257系やE653系をベースにしている。塗色は253系とほぼ同じものを踏襲している。
車内の色使いも基本的には253系と同じだが、グリーン個室は廃止され、グリーン車と普通車のみとなった。
2009年10月から一部の「成田エクスプレス」で運行を開始し、2010年夏までに全ての253系を置き換えた。