かつて京浜東北線で活躍していた209系0番台。引退後は「6両または4両に短縮して房総地区へ転用」「先頭車のみ房総へ転用」「全車解体」という末路をたどった編成が大半でしたが、“第二の人生”を珍しい形で過ごす元ウラ7編成が存在します。
このページでは、元ウラ7編成のクハ209-7・クハ208-7の珍しい「余生」をご紹介します。
撮影日:2023年1月
クハ209-7
概 説:
京浜東北線時代は大宮方10号車の先頭車。
2008年3月の引退後、長野での保管を経て2009年12月に大宮総合車両センター内に移設され、以後一貫して脱線復旧訓練に使用されている。
側帯に「訓練車」の文字こそ追加されているが、現代まで京浜東北線時代のスカイブルー塗色を残す唯一の車両である。
2019年8月17日、房総へ転用されたC612編成(元ウラ34)が内房線で踏切事故に遭遇し、先頭車が破損。その翌月、C612編成は修理のため大宮総合車両センターへ入場するが、それと相前後してこのクハ209-7の「顔」(先頭部分の白いFRP)が丸ごと外された姿が確認された。
上記との関連は不明だが、この一連の流れからファンの間では「クハ209-7の“顔”をC612編成に移植して復旧した」というのが通説になっている。
余談だが、C612編成は2020年5月8日、今度は外房線で脱線事故に遭遇。その後やはり修理されて復帰するが、2021年4月に廃車・解体された。
解体はクハ209-7から移植された先頭部も含めて行われたらしく、現在までクハ209-7はいわば「カオナシ」の状態で研修に使われている模様。
アクセス:
・JR大宮駅から高崎線沿いに宮原方へ歩いて15~20分ほど。ニューシャトル鉄道博物館駅からもアクセス可能(徒歩10分程度)。
・その他、高崎線・高崎方面に向かう列車の車内からも確認できる。
クハ208-7
概 説:
京浜東北線時代は大船方1号車の先頭車。
2008年3月の引退後、長野での保管を経て2009年12月にクハ209-7とともに大宮総合車両センターに搬入。現在は、JR東日本研究開発センター内などの「スマートステーション実験棟」に移設され、車内wi-fiやLCDモニタの実験などに使用されているという。
スマートステーション実験棟とは、JR東日本研究開発センター内に2010年に設けられた建物で、駅構内の施設・保安装置・情報提供体制などの実験を行うとのこと。
動力装置・集電装置を持たないクハ208-7単独で使用されているため、実験時には外部から電源を引いて使用する模様。2022年放送の民放の番組内では、車内の照明が点灯している様子が放送されていた。
帯色こそ、白またはアイボリーのような色に変更されているが、「ウラ7」編成時代の編成札や末期に設置されたホーム検知装置が残っており、京浜東北線時代の面影を残している。
アクセス:
・最寄りはJR埼京線・日進駅だが、大宮駅やニューシャトル鉄道博物館駅からもアクセス可能。但し大宮駅からの場合、徒歩距離が片道5km弱になる。
備 考:
・この車両が置いてある周囲は、非常に目の細かい、そして背の高いフェンスで囲われているため、一眼レフやデジタルカメラでの撮影は実質的に不可能。
・上写真はスマートフォンをフェンスの目の間に差し込んで撮影しているが、施設の担当者に迷惑をかけないためにも、スマートフォンの落下防止には十分留意が必要。
・すぐ隣にマンションが隣接しているため、撮影の際は地域住民の迷惑にならないよう気をつけて行動したい。