113系「SHINOBI-TRAIN」(草津線)


草津駅と柘植駅を結ぶのがJR草津線で、2017~2021年まで活躍していた「SHINOBI-TRAIN」。草津線の沿線には「甲賀忍者」「伊賀忍者」の根拠地があり、近年では忍者による町おこしが行われていました。
「SHINOBI-TRAIN」はその一環として、“忍者”をテーマにデビュー。黒を基調に、忍者や流線模様をあしらった大胆な車体デザインを引っ提げ、草津線沿線の町おこしに彩りを添えていました。


車体側面の様子。
私は歴史系の知識はさっぱりなので詳しい説明はできませんが(笑)、忍者のシルエットが多数あしらわれているのがお分かりいただけるかと思います。ドア脇にも「忍電車」の文字が描かれていますが、こちらも筆書きの字体になっており、細かいところまで凝って作られているのが垣間見えます。
モケット



(左)座席 (中)床材 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2017年6月14日
撮影場所:草津線 柘植駅 車内
備考
特にありません。
車内全景

では車内の様子。
「SHINOBI-TRAIN」車内は、中づり広告が全て“のれん”をイメージしたものに交換されています。よく見ると、のれんが捲れている部分から忍者が顔をのぞかせるなど、“忍者”へのこだわりを強く感じます。
もっとも、車内で大きく変わったのはこの中づり広告だけで、それ以外は他の車両と大きな差はありません(苦笑)。
【備考:SHINOBI-TRAINの内装事情】
「SHINOBI-TRAIN」の種車となったL6編成は、いわゆる30N体質改善工事を受けています。そのため、車内には223系と同一の転換クロスシートが展開しており、国鉄型車両のおもかげは一見では感じにくくなっています。
※JR西日本が各車に施行した体質改善工事(30N・40N・N40)の概論は、>>103系3500番台「播但線」の冒頭で解説しております。興味のある方は、ぜひ併せてご覧ください。
座席


座席の様子。一般区画(左/上)と、ドア脇の区画(右/下)。
座席は、223系の中でもコストカットが図られた2000番台に準じた座席が配置されています。


座席を向かい合わせにした状態(左/上)と、ドア脇の仕切り(右/下)。
ドア脇の座席は方向が固定されているため、ドア間には片側1区画、このように向かい合わせの区画が発生します。
車端部


車端部(左/上)とその区画の座席(右/下)。
元々この区画は「片側ボックス席1区画」「ロングシート2人がけ」が配されていましたが、ロングシートは体質改善工事時に撤去され、現在はボックス席のみとなっています。
フリースペース


トイレ・フリースペースを備える車端部の全景(左/上)と、フリースペースのアップ(右/下)。
(草津線を基準とした場合の)京都寄り先頭車はトイレ・フリースペースとなっています。


ロングシートの様子(左/上)と、車端部手前にある優先席との境目(右/下)。
座席下がふさがっており、また座面・背もたれともに成型されていない旧態依然なロングシートが残っています。もっとも、詰め物は交換されているためかヘタった感じはせず、それなりに張りのある座席でした。
運転台直後の区画


運転台直後の区画の全景(左/上)と、その直後の座席(右/下)。
もともとは写真左に2人がけロングシート、写真右に3人がけロングシートが配されていた区画です。体質改善工事時に2人がけ席が右側に移設され、左側は立ち席スペースとなりました。
その他の車内設備


天井(左/上)と荷物棚(右/下)の様子。
体質改善工事時に、天井にはパネルが貼られてすっきりした雰囲気になっています。また、荷物棚は223系にも通じる前飾り付きのものに交換されています。


つり革(左/上)と通路の様子(右/下)。
一部のつり革には、見ての通り忍者の巻物が。天井ののれんと並んで、車内で「SHINOBI-TRAIN」を感じられる数少ないポイントです(笑)。
乗降用ドア


乗降用ドア(左/上)と、半自動時のドアボタン(右/下)。
ドアは半自動扱いにも対応しており、ボタンで開閉できます。
車両概説
デビュー年:2017年(SHINOBI-TRAINとしてのデビュー)
草津線の沿線が「甲賀忍者」「伊賀忍者」の根拠地であることにちなみ、113系4両編成1本(L6編成)に塗色変更、内装の広告の交換などを行って2017年にデビュー。
車体に忍者のシルエットが描かれているほか、内装にも忍者をイメージした装飾が施されていたのが特徴。草津線を中心に運用されるが、運用の関係で東海道本線、湖西線などにも乗り入れていた。
当時は2019年までの予定だったが、好評のため延長。2021年6月の検査入場時に、「SHINOBI-TRAIN」としてのラッピングを剥がす必要があることから運行を終了した。L6編成はその後も残存し、2023年4月の改正まで運用。同年12月に廃車されている。