会津若松日帰り旅行(2009年3月17日)

旅程:
上 野0609→(宇都宮線)→宇都宮0752
宇都宮0821→(宇都宮線)→黒磯0911
黒 磯0939→(東北本線)→郡山1040
郡 山1144→(磐越西線)→会津若松1256
郡 山1414→(磐越西線あいづライナー4号)→郡山1516
郡 山1555→(水郡線)→水戸1905
郡 山1940→(常磐線)→上野2144

青春18きっぷを使って、会津若松まで日帰りで行った。
家の最寄り駅から延々と京浜東北線に乗り、上野には5:58に到着。ここで、11分の連絡で宇都宮線に乗り換える。
乗り換えのために上の通路に上がって驚いた。
なんと、人影が全くない!

(左)朝6時を回ったばかりの上野駅はご覧の通り人影ひとつ見当たらない。
(中)公園口の様子。
(右)上野から乗車したE231系。

せいぜい見られたのは青春18きっぷユーザーと思しき男性グループが2組程度で、あとは博物館の関係者らしき人が2人ぐらい。
いつも混雑している上野駅にも、こんなに閑散とした時間があるものなんだなぁ~。
しかし、ここまで静かだとまるでゴーストタウンにいるみたいだ。

ひとしきり驚いた後、宇都宮線のホームに移動して6:09発の普通宇都宮行きに乗り込む。
平日の朝ということもあってか、お客さんの姿はまばらで、雑誌を片手にくつろぐ若い女性、寿司折を開く年配のグループが多くを占め、車内は最初はのんびりとしたムードだった。

だが、それも赤羽に着くまでであり、赤羽と大宮から通勤客が大量に乗り込んできて、見る間に通勤ラッシュの車内に変貌した。
大宮を過ぎると、車窓はすぐに住宅地となり、さらにしばらくすると畑や田んぼも見えるようになってくる。
普通なら、「あぁ、遠くへ来たなぁ。」と思ったりもするのだが、乗っている電車がいつも乗りなれたE231系ということもあってか、妙に旅情を感じられないのは残念だった。

E231系の固いシートに座りながら、順調に宇都宮を目指す。
しばらくして、たまたま車内の案内表示に目が行った。
おっ、「次はトロ」だって???
なんか、うまそうな名前だな…。

漢字表記は「土呂」だから「土」がつくが、車内の案内表示ではカタカナで出る。
う~ン、ギャグでもいいから、駅に大きなにぎり寿司のオブジェでも置いたら、きっと名物になるのではないだろうか。
トロの上を座れるようにして、待合用の椅子を兼ねればいいはずだ。

そんなどうでもいいことを大真面目に考えている時間がたっぷりあるのも、鈍行の旅行ならではである。

(左)土呂の駅名板。
(中)宇都宮の駅舎。
(右)宇都宮駅の中にて。「餃子小町」の中には餃子屋が軒を連ねるが、時間が早すぎて全部準備中だった。

小山で少し乗客の入れ替わりがあり、ここから通学途中と思われる学生が乗車してきた。
小山を出てしばらくすると、高架の上を、新幹線が通過していくのが見えた。
時刻表を見ると、上野を30分ぐらい後に出たMAXやまびこ203号らしい。
新幹線だと1時間もかからない上野~小山だが、普通列車でのんびり来て、やっぱり小山まで遠いなぁ、と実感した。

車窓にビルが増え始めると、7時52分、宇都宮に到着。ここで、29分の連絡待ち。
時間があったので、駅の外に出てみることにした。

さて、宇都宮というと、真っ先に思い浮かぶのがギョウザである。
地元の名産、みたいな感じで、道端で焼いていたり、駅弁にあったりしないかなぁ、とちょっと期待していたが、駅弁らしきものは全くなかったし、ギョウザショップらしいものも、まだ朝早くということもあってか、どれもまだ閉まっていたので、ちょっと残念。

お土産屋には、あの有名な「萩の月」ならぬ「那須の月」が売られていたので買ってみた。
うずうずしながら開封~♪
パクッ!げー、なんだこれ。普通に「萩の月」まんまではないかっ!!!
だまされたぁ~。
見かけからして、外装の袋だけを買えている感じだ。
う~ん、せっかくなんだから、中身、変えたりしてほしかったかも。

さて、ウロウロしていたらまもなく次の黒磯行きの発車時間になったので、ホームに戻る。ボックス席をなんとか確保したら、ほどなくドアが閉まって発車した。
黒磯行きの普通列車は、かなり年季が入ってきた感じの211系だった。
椅子のウレタンがヘナヘナになっていただけでなく、暖房もあまり効いていなかったので、車内は少し寒かった。

車内は1ボックスに1~2人程度のガラガラで、足を向かいの席の下に投げ出していても問題ないぐらい。

(左)宇都宮から乗った黒磯行きの211系。
(中)「那須の月」。「萩の月」との違いは外装だけだと思う。
(右)黒磯駅で予期せず出会った115系

もう宇都宮より北を走っているというのに、車内広告には都心の大学や予備校の宣伝がやけに目に付いた。
最近はE231系がかなり増えたとはいっても、一応この211系も上野から走っているもんなぁ~。
外の景色と車内広告のギャップに、一人で驚いていた私だった。

黒磯にはジャスト50分後の9:11に到着。
次の郡山行きまで28分あったので、どうしようかウロウロしていたら、ホームにいまや懐かしい湘南色の115系を発見!
両毛線から乗り入れてきた列車らしいが、最近は115系自体あんまり見ないし、そうでなくても小さい頃にさんざん利用した東海道線と(前の塗りわけこそ違うが)ほとんど同じ塗装なのだから、ちょっと昔に戻った気分で、懐かしくなってしまう。

ひとしきり撮影を終えた後に駅舎の外に出てみると、新幹線の高架が建物の上を通っているのが見えた。
タイミングよく、轟音とともに駆け抜けていく新幹線の屋根部分だけがわずかに見える。
こいつらはきっと、上野を8時ぐらいに出て通過しているのかなぁ。
18きっぷで来て、なんか「日本の広さ」を初めて実感することになった。

(左)黒磯の駅舎。駅舎の上には新幹線の高架が通っている。
(右)黒磯発車後。雨が降り出してきた。

駅前には「那須野が原に国会を」というのぼりがあった。
遷都して、ここを首都にするって計画のことかなぁ?
うーん、今は東京が首都だから、東京近辺を「首都圏」なんて言ったりするけど、もしこのあたりが首都になったら、宇都宮とか、白河が「首都圏」になるのだろうか?
それに、「首都大学東京」だって名前、変えなきゃいけなかったりするかもなぁ~。

例によってどうでもいいことを考えながら、駅の中のNEWDAYSに入って、おやつ(とはいってもおにぎり2個)を買い込んで、次に乗る郡山行きの電車のホームに向かった。
郡山までの電車は701系。

車内はかなりきれいだったが、旅行中にロングシートはかなりきつい。
これで1時間以上過ごすのかぁ~。


9時39分、黒磯を発車。
ボックスシートならのんびり景色を見られるが、
都会の電車と同じロングシートは、景色を見るのに体をひねらなければならないし、そもそもロングシートで必死に景色を見ようとするなんて、なんだかカッコ悪いもんなぁ~。
あーあ、何してすごそうかなぁ~。

やることもなかったので、カバンから時刻表を取り出してペラペラめくっていたら、向かい側に座っていたお客さんが声をかけてきた。

あのぉ、すみません、時刻表貸してもらってもいいですか?

顔を上げると、そこには同世代の女性2人が座っていた。
質素で地味な服装で、旅行中らしかったが軽装の、とっても好感の持てる二人だった。
こういう時はジェントルメンな私である。ニッコリ笑って時刻表を差し出した。

彼女たちはしばらくそれを見ていたが、しばらくして手帳に時間を書き込み、愛想のいい感じの笑顔で私に返してくれた。
この人たちなら何となく話しても大丈夫そうだったので、私は話を振ってみた。

聞くと彼女たち2人は都内の大学に通っているのだそうで、18きっぷを使って2人で旅行しているのだそうだ。
その旅程が、2日前に大阪まで普通列車で行き、前日に大阪の友達とUSJで遊んだ後ムーンライトながらで上京、その後さらに北を目指しているという。今日は乗り継いで盛岡まで行くそうだ。
かなり強行な行程である。私には絶対無理そうだ…。

しかも話を聞いていくと、2人のうちの片方は、
高校生時代に、夜行快速「ムーンライト」シリーズをあらかた制覇したというのだから驚いてしまう。
最近はムーンライトが少なくなってしまい、旅程が組みづらいと彼女は嘆いていた。
「鉄道ファン」を公言する私も、さすがにこの時ばかりは自分の未熟さを実感せずにはいられなかった…。

しかし、最近は格安ツアーバスもあるのに、なぜあえての「青春18きっぷ」なのだろうか。

バスももちろん利用します。でも、乗っているのは若い人ばかりだし、途中降りられるのもSAぐらいです。
その点、18きっぷの普通列車での旅行って、途中の駅で降りられたり、
そうでなくても地元の人が乗ってくるので、その地域の生活に触れられるのが面白いと思うんですよね。
もちろん、体力的にも厳しいですが、車内で出会った人から思わぬことを学べたり、
あと気分で降りた駅とかで思わぬ発見があったりもするじゃないですか?
そういう“楽しみ”が多いのが18きっぷの魅力じゃないですか?


う~ん、18きっぷ旅行をそこまで真面目にとらえているなんてすごいなぁ~。
人をあれこれ批判ばかりしている私だが、そういう私こそ、“旅”をしていろいろなことを吸収した方がいいのかもしれないなぁ~。

車窓は相変わらず山がちで、ケータイも「圏外」表示。
お互いに疲れていたので、ちょっと話した後は壁によっかかって寝た。
ロングシートの電車では、本当にそれしかできそうにないもんなぁ。
結局、目が覚めたのは郡山到着直前だった。


10:40に郡山に到着。26分の連絡でさらに北へ向かう2人を見送り、私も1時間4分の連絡待ちがあったので、やはり駅の外に出てみることにした。
駅構内をウロウロしていたら、TULLY’S COFFEEを発見!
東京都内にはよくあるらしいが、基本的に都内にあまり行かない私にとっては、かなり目新しいチェーン店である。

というわけで、郡山に来たついでにコーヒーをテイクアウト。私にとって初めてのTULLY’S COFFEEは、郡山でだった。

(左)駅構内のステンドグラス。
(中)GReeeeNにちなんだモニュメント。
(右)TULLY’S COFFEE。私の人生初・タリーズは郡山。

郡山駅には初めて降りた。
駅前は開けていて、人の姿もそれなりに多いが、18きっぷユーザーとおぼしき利用者は2、3組程度しか見かけなかった。

駅前をフラフラしていたら、あの有名なGReeeeNにちなんだモニュメントを見つけた。
なんでも、そもそもこのGReeeeNが生まれたのがこの郡山なのだそうで、「夢を開くこころの扉 ~扉の向こうには…笑顔~」というタイトルだった。
あまり目立たないが、このドアの知名度はかなり高いらしく、グループがドア付近でふざけていたり、カップルがお互いに写真を撮りあっていたりと、けっこう人気のスポットらしい。

上にも写真を載せたが、この写真を撮るのにはかなり苦労した…(汗)。

さて、駅周辺をウロウロしていたら、ほどなく次の列車の発車時刻が近づいてきたので駅の中へ戻る。
次の列車は磐越西線、11時44分発会津若松行き。
とりあえず駅弁でも買っておくかぁ~。

いい具合に、改札脇には駅弁屋があったので、そこにあった「山菜釜めし」を選ぶ。
お金を払おうとしたら、駅弁屋の中年の女性が私のサイフを見て、メチャメチャ嬉しそうに言った。

あら、お兄さん、良いサイフ持っているわねぇ~♪」(女性)

えぇ~?それ、どんだけお世辞言ってるんですかぁ~?(そしてなんという「ダル絡み」だ…笑)
私のサイフはもう4年は使っているボロボロのものだ。
見つかりやすいように黄色いものを使っているので、ボロボロなのが少し目立たないだけ。

「え、本当ですか?いやぁ、両親からは汚い汚いって言われているんですよ。」
あらもったいない。お兄さん知ってる?黄色いサイフって、“であい”を呼ぶんですよ♪」(女性)
「“であい”って、どっちの字ですか?」(会or逢)
しんにょうの方に決まっているじゃない!♪」(女性)
「それ、風水か何かですか。でもそんなこと知らなかったです。」

お世辞を言われまくりながら弁当屋のおばさんにお礼を言って、ホームに向かった。
車両は719系で、2人がけの窓側を確保できたのは幸いだった。

(左)磐越西線の719系。「あかべぇ」が描かれた専用の車両はそれなりにおしゃれでかわいらしい。
(中)今日の昼食は「山菜釜めし」。730円のわりにはボリュームもあり、材料も豊富でお買い得。
(右)郡山の駅舎。

11時44分、郡山を発車。
発車してすぐにカーブして山を分け入るように進んでいく。
車内は観光客らしい人が何組か乗っている以外は、買い物にきたらしい年配の男性が座席でくつろいでいたり、雑誌を開くOL風の女性など、地元のお客さんが多かった。

磐越西線というと、観光地として名高い猪苗代湖が沿線にあるので、車内から見えないか期待していたが、わずかに光る湖面がチラッと見えた程度だったのは残念だった。
もちろん写真を撮る暇もなく、本当に一瞬だったのは悔しかったから、今度は猪苗代湖も見にこよーっと。

会津若松には12時56分に到着。ここで折り返しまで1時間40分近く時間があったので、例によって駅前を見学する。
駅前にはかなり古びた感じのSATYがあったが、「売り尽くし閉店セール」とあるので閉店するらしい。
中に入ってみたものの、閉店セールをやっているわりには人の姿はほとんどなく、商品も大部分が陳列されたままだった。

(左)会津若松駅の駅舎。
(中)駅前のSATY。まもなく閉店するらしいがあまり流行っていない模様。
(右)こんなものでも売れるらしい。しかも130円で。

30分ぐらいで駅に戻り、おみやげ屋を物色して、家とバイト先のお土産を購入の後、駅前のキオスクみたいな店を見ていたら、興味深いものを発見した。
上の写真にもあるが、「マニアがうつした鉄道写真」が130円で売られているのだ。
もちろん、特急「つばさ」や旧型客車などのコアなものばかりで、一般客には「???」なものばかりだが、マニアがうつした写真でも130円で売れるものなのかなぁ~。

何枚か手にとってみたものの、正直言ってインターネットで見られそうなものばかりだ。
う~ん、どんな人が買うんだろう…。

結局缶コーヒーだけ買ってホームに出ると、14:14発の「あいづライナー」4号の発車までまだ15分近くあるというのに、ホームにはもう「あいづライナー」乗車口に列ができている。
けっこう人気なのかなぁ~。
私は6号車の指定席チケットを持っていたのでその列に並んだが、目の前にいるのは手ぶらの地元民風の若者達である。
手ぶらで行くような用事でも指定券買うものなのかなぁ?

しばらくすると、今度のあいづライナーには指定席があるので注意するように、と放送が流れた。
するとみんないきなり当惑した感じの顔になり、見る見る列が崩れ、みんなが前の方の自由席車両へ移動しはじめ、最終的に6号車の列は私一人になった!

なんだ、みんな、知らなかったのか。
地元民なら「あいづライナー」なんてしょっちゅう見るのだろうと思っていたが、確かに鉄道ファンでもなんでもない人からすれば、「あいづライナー」だろうか719系だろうが、同じ「電車」だ。

(左)「あいづライナー」。「あかべぇ」編成に乗るのは初めて。
(中)快速列車とはいえ、時には特急列車にも充当されるこの車両は快適。
(右)特急の座席に座ってゆったりと見入る景色は、同じ景色でもどこか格別。

14時14分、郡山を発車した。
先ほどはあんなに列ができていたのに、みんな自由席に乗ったらしく、我らが6号車の車内は私を含めて2人だけ。
わざわざ指定席券を買うこともなかったかもなぁ~。
椅子は快適だし、古いとはいっても揺れが少ないので非常に快適である。

途中、磐梯熱海駅で、反対から来る列車が遅れているとのことで、運転停車が7分近く長引いた。
車内にいても仕方がないので、ホームに降りて電車を撮っていると、ドア脇に立っていた車掌さんがニヤニヤ笑いながら、

撮っていると乗り遅れますよ!あと5分しかないですよ♪

と声をかけてきた。
地方のJRの乗務員さんは、気さくで話し好きな人が多いなぁ~。

この車掌さんは「あかべぇ」編成が自分でも大好きなのだそうで、たまに臨時列車で首都圏へ行ってしまうと寂しくなってしまうぐらいなのだそうだ。
自分の乗っている列車が本当に好きで、ここまで「愛」を持って乗務できるなんて、なんか、うまく言葉に言い表せないけど、すごくいいなぁ~。

なぜか、私も磐梯熱海駅のホームにたたずむ485系が、どこか「かわいく」見えた。

郡山からの719系を見送り、私達も磐梯熱海を7分遅れで発車。
磐梯熱海を過ぎると郡山までもあと少し。定刻より若干遅れて、15時23分、郡山に到着した。
車掌さんにお礼を言ってから、一旦改札を出て間食を買って、次に乗車する水郡線のホームへ急ぐ。

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水郡線は2両とか3両の編成だから混むと聞いていたが、いざ車内に足を踏み入れると、車内には立ち客もいるぐらいに混雑しているではないか!?

これから水戸まで4時間も過ごすのだ。
かなりブルーになりながらも、それでもロングシートにひとつ開いている席を見つけたので、そこに座った。

15時55分に郡山を発車。
乗客はほとんどが学生と地元民風の若者、プラス年配の利用者といった感じで、旅人の私は車内から浮きまくっている。

車窓の風景もしばらくは住宅街という感じだったが、発車から20分もしないうちに車窓には田園風景が広がりはじめた。

(左)水郡線のニューフェイスE130系。
(中)沿線には水田や畑が広がる。
(右)車内は見慣れたJR東日本の車両yという感じ。

後ろのボックスでは、(大変失礼ながら)少々ワイルドな感じの若い男性の2人が、しかしなぜかとても嬉しそうに話をしていた。

なになに? 今日、お母さんが誕生日だから、奮発してケーキ買ってあげた?
しかも「いつもありがとう」と、自分でケーキにチョコで書いた?
喜ぶ顔を見るのがすげー楽しみなんですかぁ~。
「産んだことは絶対に後悔させたくない」って?
なんか、カッコイイじゃないですかぁ~♪

二人のいかにもワイルド(?)な見かけとは裏腹に、話している内容がほのぼのとしていて、そのギャップがすごく良い印象に残った。

私なんて、何度産んだことを後悔させたか分からない。
自分こそ、この人たちを見習わなきゃね。

さて、今回わざわざ水郡線で遠回りをしているのは、この水郡線の新型車両であるE130系に乗りたかったからなのだが、いざ乗ってみると、車内はよく見かける「JR東日本」の車内であり、目新しいのはエンジンの音ぐらい。
目じゃないから「耳新しい」とでも言うべきなのかなぁ~。

椅子の形も座り心地も、よく乗る東海道線のそれと全く同じ。
これで景色が見られるのならまだいいのだが、ロングシートに座っているのでまともに見えないし、そうでなくても夕暮れ時になり、景色も次第に見えなくなりつつあるのだ。
17時を回り、ようやく途中駅でボックスシートを1人で使えるぐらいまでにすいてきたものの、その頃には車窓はすっかり闇となり、しかも沿線に住宅がないので、窓に見えるのは全くの「黒」であるからつまらないことこの上ない。

この水郡線は、昼間に乗ると景色がすばらしいという話は聞いていたが、そんな景色も闇にまぎれて見えないのは残念すぎる。
結局、E130系のために4時間もとったのに、結局起きて乗っていたのは1時間あまりという結果になってしまったのだった。
気がついたら「次は常陸大子」って放送、流れていたぐらいだからなぁ~。

常陸大子からお客さんがいっぱい乗ってきて、通勤列車みたいな雰囲気が戻ってからしばらくすると、終点の水戸到着の放送が聞こえてきた。

(左)水戸駅前。ショッピングセンターが立ち並ぶ。
(中)政府の経済対策よりありがたい対策かもしれない。
(右)フレッシュひたち型の売店。

19時8分、水戸到着。32分の連絡で常磐線に乗り換えるが、時間があったので食事を探しがてらフラフラ駅前を見に行く。
駅は妙に学生の姿が目立ったが、雰囲気が私の地元にいるようなのとあまり変わらず、正直、あんまり遠くにいる気がしない。
日本中旅行していると、高校生の雰囲気一つとってもかなり違うのが分かるのだが、水戸も東京近郊区間の駅なだけあって、あまり変わらないのかなぁ~。

そろそろ時間になったので、夕食用に、水戸駅弁「鈴木屋自慢」を購入し、常磐線のホームへ降りた。
このお弁当なのだが、タイムサービスで本来950円のものを500円で買うことができた。
弁当の中身はエビフライなどの各種揚げ物と卵焼きが入ったもので、コンビニならこの値段で同じようなものを買えそうな気もしたが、エビフライがついて500円なので文句はない。
ちなみに味は可もなく不可もなくといった感じで、500円なら満足できるかなぁ~、という感じだった。

(↑)水戸駅の構内。以前来た時は415系の独壇場だったが、今はE531系が幅を利かせる時代に。

さて、弁当をさっさとかきこんで乗車したのは、19時40分の常磐線上野行き。
車両は新車のE531系だったが、乗ったのがロングシートの車両、かつ夜だということもあって、上野までの2時間、うつらうつらしたり音楽を聴きながらのんびり過ごした。

昼間、東北本線で会ったあの女子大生達は今頃、盛岡に到着している頃だろうか。
郡山駅で「黄色いサイフは出会いを呼ぶ」と嬉しそうに言ってきた弁当屋のおばさんは、今もレジを打っているのだろうか。
あいづライナーの「あかべぇ」編成を嬉しそうに自慢してきた車掌さんは、今もやはりあいづライナーに乗務しているのだろうか。
水郡線で私の隣にいた若者は今頃、サプライズでプレゼントしたケーキをお母さんと食べている頃だろうか。
今頃みんな、何をしているのだろう。

上野に到着したのは21時44分。朝6時9分に上野を出発してから、郡山、会津若松、水戸と回って15時間半で戻ってきた。

今回、18きっぷで旅行して思ったが、普通列車の旅行は、特急や新幹線を利用するのではなかなか味わえない、現地の人の暮らしや、同じ18きっぷを使って旅行している人との交流がすごく多かったのが良かった。
新幹線に乗っていれば、食事は車内販売で全て済まし、スーツ姿のサラリーマンに交じって座席でおとなしくしているのが普通。
都会から数時間で遠方に着いてしまうので、首都圏とのギャップに驚き、馴染めないまま街中を散策するのが常だった。

でも、青春18きっぷなら、電車内で乗り合わせた人と気軽に会話したり、現地の人の雰囲気や生活に触れたりできる。
いろいろ食べたり、長い待ち合わせ時間を利用して、駅から少し離れた場所へ行くこともできる。

列車内で乗り合わせ、同じ時間をともにする人、そこを走っていく列車、沿線の風景、天気。同じ瞬間が二度と訪れることはない。
偶然に偶然が重なって、たまたま同じ時間を過ごした人と話した思い出は、将来にまでわたって自分の糧になる、本当に大切なもの。

「一期一会」の旅。
これが、私がやりたかった本当の“旅行”なんじゃないかな。
金では買えない充実感をいっぱい味わえた、今回の旅行だった。

さて、次の旅行のために、しばらくバイト(+勉学)に勤しむこととしようか。

※この記事は、2009年3月に当時の私が書いた旅行記を、一部修正のうえほぼそのまま掲載したものです。

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