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・12月21日 「銀河」で大阪へ
・12月22日 0系新幹線で広島~普通列車で小倉へ~「富士」に乗車
・12月23日 「富士」で迎えた朝
12月22日
結局、ゆうべはほとんど眠れないまま「銀河」での朝を迎えた。
夜半に一度、大きな衝撃を感じて目覚めた時は岐阜駅を出たところだった。運転士のハンドル操作が荒っぽかったのかは分からないが、目覚めたのは私だけではなかったらしい。
米原を出ると、ぼちぼちと降りていく人が出始める。洗面所は朝らしくなかなか混雑しており、備え付けのコップで口をゆすいで歯磨きをしたり、昨日A寝台の男性とトークした喫煙所では、身支度を済ませた人が下車前の一服を楽しんだりなど、思い思いの行動をとっている。
私も京都を出た後に浴衣から元の服装に着替え、歯を磨いて準備を整えた。
7時18分、終点の大阪に無事到着。早朝ながら鉄道ファンは大勢詰めかけており、しきりに機関車へ向けてフラッシュが光っている。12月の7時ともなればまだ薄暗く、私もフラッシュ無で撮った写真はいずれも手ぶれしていた…。
一通り撮影を終えて階段を降りようとしたら、たまたま車両の字幕に目が行ったのだが、他の車両が「回送」を表示する中、1両だけなぜか「出雲 品川」という行先で停まっている字幕があった。単なる故障なのだろうが、実際に使われたことはあったのだろうか。
(左)東京から「銀河」を牽引してきたEF65 1112。
(右)実際に使われたことはあるのだろうか?「出雲 品川行き」。
大阪~新大阪は、乗車券のままだと重複乗車になるため、一旦改札を出てSuica で再び入場。東京で日常的に使っているSuica が、遠くの西日本でも使えるというのは、何となく不思議な気持ち。
新大阪には数分で到着、窓口に行ってSuicaで精算してからさっきの乗車券で再び入場し、朝飯を調達しに駅弁屋をいくつか回った。
その結果、今朝の朝食は「大阪かつ弁当」に決定、850円と比較的手ごろな価格ながら、そのボリュームはなかなかのもの。味もかなり良く、おいしくいただいた。ごちそうさまです。
8時9分発の「こだま」609号で広島へ向かった。
609号は開業当時からの0系が使用されるいまや貴重な列車で、これに乗るために行きに「銀河」にするか、あるいは帰りにするかと、相当迷うことになった。ただ、「下りで銀河に乗る」とこだま609号に50分くらいで乗り継げるので、けっこう使いやすい。
(↑)新塗装の0系。この光景も2008年末までだ。
0系に乗ったのは5歳の時、これも今は亡き東海道新幹線の「こだま」だった。乗車したのが売店のついている車両で、座っている席から速度計が見え、「200」を指したままで駆け抜ける速さに、幼心にも感動したのも覚えている。
車内で駅弁を食べた後、ガラガラな車内を撮影していると、通りかかったJR西日本の車掌氏に、2008年末で0系は完全引退するので、お客さんは運がいいですねぇ、と笑われた。車内にはレールファンとおぼしき人の姿はあまり見かけられず、ほとんど短距離のビジネスマンとか家族連れだった。
フィーバーが始まる前にこれてよかったと思う。そういう意味では、車掌氏の言う通り「運がいい」のかもしれない。
昨日全然寝られなかったせいか、この「こだま」では爆睡してしまった。気づいたらもう岡山を過ぎていて、車内は本当にガラガラ。途中、「RailStar」とか「のぞみ」にゴボウ抜きされつつ、地道に広島を目指す。
広島には11時14分に到着、ここで次の普通列車まで46分の接続待ち。
当日は私の日頃の行いが相当悪いせいか、あいにくの雨。
傘を持ってこなかったので、駅舎を撮影するだけでかなり疲れるハメとなった。
広島駅で、現地の名物らしい「おむすび弁当」なるものを購入し、次の列車である快速「シティーライナー」新山口行きに乗り込む。
車内は混雑していたが、うまい具合に席を見つけることができた。
青春18きっぷシーズンのためか、鉄道ファンらしい人の一人旅が多かったのは印象的だった。
(左)広島からの115系。
(右)下り列車では進行方向左手に瀬戸内海が広がる。
車両はかなり古い115系だったが、走りはかなり心地よかった。
左手の車窓には瀬戸内海が広がる。地域の人も、青春18きっぷ利用者も、そのあたりはよく心得ているようで、左手の座席は全て埋まっていた。
115系の重厚なモーター音を聴きながら、のんびり新山口を目指す。
さっきまで新幹線でガンガン走ってきたけど、こういう普通列車だと、「旅先の日常風景」を見ることができるから、また違った楽しみがある。
例えば、車掌さんによる到着放送で、
「まもなく、○○です。お出口は右側です。ドアから手を離してお待ち下さい。」
というが、この「ドアから~」という表現は首都圏とか大阪近郊では、全く聞かないような気がするから、かなり新鮮だった。
また、首都圏の電車では、車内でケータイをいじる人がすごく多いけど、このあたりは山間部で電波が悪いのをみんな知っているためか、学生も大声で話したり、漫画を読んだりしている。
(注:当時は電波が悪かった)
新山口に14時32分に到着。新山口には初めて降りた。
新幹線では「ひかり」も停まるくらいの駅だが、休日のためか、駅構内の人の姿は本当にまばらだった。
ここも相変わらず雨だったので、駅舎の写真を撮ったあとはおとなしく駅構内にいることに。
駅前に「宇部進」っていう塾があり、入口のところで学生が何人かたむろしている。宇部進の名前からも、「ずいぶん遠くへ来たなぁ」と、妙にしみじみしてしまった私だった。
さて、その次に乗ったのが、新山口15時05分発の下関行き普通列車。車両はさっきとは違う117系で、噂通り車内は快適だったが、壁に古めかしい木目調が使われていたりなど、何となく一世代前の車両という感じがした。
車内の客層は地元の利用者がちらほら、あとは青春18キッパーが何人か。
下関を目前にした幡生駅で、見覚えのある車体が目に入った。
あ゛っ!!! あれって、車両の解体工事場所か???
窓を取り外された湘南色の113系などがたくさん並んでおり、雨だというのに113系が無残に解体されている様子が見えた。
思わず一番後ろの車両へ移動し、車掌室の窓のところから解体直前の113系をパチリ。
(左)解体待ちの113系。架線のない線路に放置された姿はどこか寂しげだ。
(右)裏には解体クレーンが。当日はキハ58・28の解体を行っていた模様。
きっとこの113系も、この旅行記を書いている頃にはこの世に存在しないのだろう。
その後も電車は順調に走り、下関に16時12分に無事到着した。
さて、下関からは小倉行きの普通列車に乗り換える。ついに九州上陸だ。
中学校の卒業式の翌日に北海道入りは果たしており、これで四国以外と、小さい島々を除けば基本的に足をつけたことになる。
小倉までの電車は、ステンレス製車体の415系。
色は常磐線とかでよく目にするのと同じ青だけど、こっちの方がちょっと淡いし、そうでなくても車内の雰囲気はかなり違うのだ。
(左)下関駅のホームの水道。
(右)小倉駅に着いて一枚。
さて、下関を16時58分に出発。
発車してわりとすぐに暗いトンネルに突っ込み、しばらくしても出ないところから関門トンネルを通過していると分かる。
そういえば以前行った北海道の「スーパー白鳥」では、青函トンネルに入ったら車内放送でも案内があるくらいだったが、この関門トンネルはそれに比べるとずいぶん地味。
下関~小倉では、普段使いの流動が多いというのもあるのだろう。
車内を見渡してみても「下関の人が小倉に買い物に行く」のかなといったいでたちの人が多い。
そしてあっけないほど早く、電車は九州に上陸し、小倉駅には17時15分に到着した。
(左)九州で初めて降り立った駅は小倉でした。
(右)小倉駅に来て待ち時間があったので北九州モノレールに乗車。
九州に来たのは初めてだったし、現地の人々の生の生活にもふれてみたかったので、北九州モノレールに乗ってみた。
モノレールに乗ったのは久しぶりだったが、乗り心地の良さには驚いた。
駅にクリスマスツリーが置いてあったり、車内にもクリスマスのラピングが施されていたりなど、細かいところの配慮も行き届いていたのは好印象。いつかゆっくり乗ってみたいところ。
終点まで乗って折り返して良い感じに時間がつぶせたので、駅弁2個とお茶を買って準備を整え、まずは「はやぶさ」の入ってくるホームへ向かった。
今回の旅行の折り返し地点として小倉を選んだのは、単に九州入りが果たせて金銭も節約できる、というのが大きかったが、もう一つは「はやぶさ」と「富士」を両方撮影できるという点もあった。あえて「富士」にしたのも「はやぶさ」より後に来るからである。
ホームの停止位置を確認してからカメラの準備をしていたら、そばにいた30歳くらいの鉄道ファンの男性が声をかけてきた。
いわく彼は大阪から来たのだそうで、「富士」と「はやぶさ」を撮った後に博多へ移動して、そこからいわゆる「なはつき」(「なは」と「あかつき」の併結編成)に乗って大阪へ帰るのだという。
出張で「なはつき」のみならず「銀河」もよく利用していたが、廃止になるのは残念だ、と寂しそうだった。
小倉で大阪の鉄道ファンと話せるなんて、何か不思議な気持ちがして、とっても嬉しかった。
そうこうしているうちに「はやぶさ」が到着したので、お互いスペースを譲りつつ何枚かシャッターを切る。ひどい雨だったが、何とか撮影し、その後、二人で私の乗る「富士」のホームへと移動した。
ホームには、私には「九州の近郊型電車」としか認識できない電車が停まっていた。やっぱり生まれてこの方、九州に行きたいと思ったこともなかったから、このあたりの鉄道については素人以下の知識しかない私である。
しかし、目の前にいる電車の系列が分からないのは恥ずかしすぎだ。ということで、彼に聞いてみた。
「えぇっと、この電車って何系っていうんでしたっけ?」
「813系ですよ。九州の電車はカラフルで見ているだけで楽しいですねぇ♪」(男性)
「そうですねぇ。東日本なんかみんな銀色で、どぎつい色の帯が貼ってあるだけですから、なおさら九州の電車がカッコよく見えますよねぇ。」
「えぇ、西日本ももっときれいな電車走らせてほしいですよ。」(男性)
う~ん、でも西日本の電車もすっごくイイと思うんだけどなぁ~。
223系のデザインも、首都圏のE231系に比べればシックな雰囲気で「実用重視」といった感じではないし、なんかこうデザインに「おしゃれ」の概念がある気がする。
話をしていると、「富士」の到着放送が聞こえ、遠くに光る2灯のヘッドライトが見えてきた。撮ったらすぐに乗り込まないといけないので、今のうちに挨拶を済ませておく。ホームに散っていた鉄道ファン数名もこちらへやってきてカメラを構え始めた。
(左)小倉では「はやぶさ」が先着する。
(右)そのあと「富士」が入線。やはり富士といえば「富士山型」ヘッドマーク。
ゆっくりとホームに入ってくる富士に目をやると、なんと、東京では見られなくなった富士山型のヘッドマークをつけているではないか!!!
当然といえば当然なのだが、すごく久しぶりに見た感じ。やっぱり、富士山型のヘッドマークっていいなぁ。
停車と同時にシャッターを切り、男性に挨拶をして、一番前のB寝台から乗り込むとほどなくしてドアが閉まり、「富士」は定刻に出発した。
危うく乗り遅れるところだった。
さて、今晩の宿は初めての「B個室ソロ」。
去年行った北海道の帰りは、なんだかんだで「ロイヤル」になってしまったので、実は「ソロ」に乗るのは初めてである。
部屋は上段だから幾分狭いが、荷物は安心して広げられるし、着替えにも不自由しないので非常に落ち着く。
(左)Bソロのベッドは狭いが寝るには十分な広さ。プライベートな空間を翌朝まで独り占めできる。
(右)小倉駅の駅弁で夕食。味はまぁまぁ。
門司で先ほど見送った「はやぶさ」との併結を見てから部屋に戻ったが、それにしても今日は雨がひどく、雨粒が窓に滴って外の景色がまるで見えない。
駅弁を食べてからはしばらくケータイをいじっていたのだが、途中でいきなり圏外になっておかしいなぁ、と思っていたら、いつのまにか本州に戻っていたくらいもんなぁ~。
前日からの疲れが限界に達していたせいか、浴衣に着替えてその日は早々に寝たのだった。