鉄道・高速バス 車内・座席写真のサイト |
||
|
14系・24系「はまなす」 - 4号車 カーペットカー
青森から青函トンネルを抜けて札幌までを結んでいた夜行急行列車が、この急行「はまなす」です。そこそこ旅客の流動がある青森と札幌の間を結ぶこと、また“海峡”を挟むことからライバルとなる交通機関がほぼなかったことも幸いして、他の夜行列車が軒並み姿を消していく中で、長年生きながらえてきました。
最後尾をご覧いただきます。「はまなす」は、かつて全国を駆け巡った14系座席車の最後の定期運用列車でした。
テールマークのアップ。イエローをベースに、ハマナスの花があしらわれたかわいらしいデザインです。
4号車 カーペットカー(指定席) 車体 まずは、「はまなす」で不動の人気を誇っていたと言っても過言ではない「カーペットカー」を見ていきます。写真はその車体の様子。元々は14系座席車だった車両を改造してデビューした車両ですが、片側は見ての通り、窓の配置が完全に変わっています。小窓がゴツゴツと並ぶ雰囲気は、どこか「不気味」な感じすらしますねぇ。
で、カーペットカーのもう片側はこんな感じ。こちら側は通路となっているため車体側面も特にいじられておらず、座席車時代の面影をよく残しています。 4号車 カーペットカー(指定席) 車内
さてようやく車内です。通路が片側に寄せられ、カーペット敷きの区画がズラッと展開しています。カーペットの区切りが「1席」の扱いになっており、寝台料金のいらない「座席」の中では破格の設備です。「カーペットの上に横になることができ、寝台料金のいらない座席扱い」の設備というと、今の時代は「サンライズ出雲」などの「ノビノビ座席」が有名ですが、このカーペットカーはそのはしりと言えるでしょう。
1階カーペット席の様子。各区画には毛布・枕・ハンガー(あと通路にスリッパ)がセットされており、寝具だけを取れば(座席扱いながら)B寝台にも劣らないサービスが提供されていました。各区画は頭の部分だけがカーテンで区切られており、視覚上は一人の空間が出来上がるようになっています。
正面から撮影してみました。各区画には天井部分に読書灯がついているほか、窓下の部分には、足を投げ出して座る時によっかかる時用のクッションが設けられているのが特徴です。一応「座席」なので着座での利用を想定した設備もある、というわけです(笑)。
読書灯のアップ。けっこう明るい上に、仕切りのカーテンは意外に光を通しやすいので、車内減灯後はこちらも消した方が無難な気がします。
このカーペット、実は「ホットカーペット」になっており、温度も7段階で設定可能です。温まるまでにやや時間がかかりますが、これのおかげでぬくぬくと毛布にくるまることができるので、真冬で冷えた身体には本当にありがたい設備でした。
階段脇の区画には、階段下のスペースを使った小さな荷物置き場が備わります。深夜に上段の利用者が上り下りしてごそごそするのを我慢できれば、多少はカーペットを広々使える区画でしょう。もっとも横・縦ともにそんなに幅がないので、キャリーケースなどはまず置けませんが…(笑)。
4号車 カーペットカー(指定席) 2階席
続いて2階席の様子を見ていきます。2階席は線路と並行に8区画が設けられており、高めの仕切りが設けられていることからちょっとした個室感覚を味わえるスペースとして、絶大なる人気を誇ってきました。
というわけで2階席の全景です。横幅はB寝台とほぼ同じ水準が確保されているだけでなく、1階席のように隣の人と干渉する心配もないので、横になった感覚は完全に一人の空間です。逆に起き上がっていると、向かい側の人と目が合ってしまい微妙に気まずいですが(笑)、「はまなす」は出発時間も遅いですし、実際動き出せばすぐに寝る人がほとんどなのでそこまで気になるほどのものではありません。
せっかくなので寝具を展開した状態の写真も紹介しておきます。元々B寝台用の設備をそのまま流用したのかは知りませんが、カーペット席の幅と微妙に合致していません(笑)。
2階部分の読書灯をアップで撮影してみました。写真では分かりにくいですが、電源ボタン部分はかなり動きがぎこちなくなっており、年季を感じました。
枕側には小窓がついており、カーテンを開ければ寝そべったまま景色を見ることができます。私が乗ったのは冬場だったので窓の景色はほとんど真っ暗闇でしたが、夏場であれば多少は景色が望めたのでしょうねぇ。
何気なく毛布カバーを剥いでみてビックリ。なんと「北斗星」「JR北海道」のロゴが入った毛布がいまだに使われています。 4号車 カーペットカー(指定席) 車端部区画
車端部の区画は、構造の関係で階段が1席専用となっており、またスペースが奥まで張り出していることから、プライバシー性が非常に高くなる区画として有名です。座席番号で言うと21番と28番が該当しますが、21番は女性専用の区画となっているため、男性の場合は28番が唯一ということになります。
でその区画の様子。通路側からは顔が全く見えず、写真左は機器室の関係で完全な「壁」があるという、プライバシー性の高さは下手したらB寝台に劣らないのではというほどの区画でした。そのため、「はまなす」の中ではプラチナチケット中のプラチナチケットとして常に人気がありましたが、メインで人気だったのは男女共用の28番だけだったようで、女性専用の21番は私が廃止間近に乗車した時も終点まで空席でした。勿体無い…(苦笑)。
2階席への階段 2階席への階段はこんな感じ。手すりのようなものがついてはいますが、かなり高い位置にあるためどうも使いにくいです。視覚的な区切りの意味合いが大きそうですねぇ。
足元にはフットライトが備わります。こちらは車内の減灯中も点灯しています。 4号車 カーペットカー(指定席) 車内設備 天井の様子。カーペットカーへの改装に伴って、照明器具が一部移設されているものの、飾り気のない「国鉄型車両らしさ」は健在でした。
天井にはなぜか空気清浄器のようなものが設けられています。このカーペットカー、当然ですが靴を脱いで利用します。そのため、特に夏場に一日中活動して疲れた足を投げ出す人が多い時は、車内に「足の臭い」が漂うことがたまにあるそうで、そのための対策だったと伝え聞いたことがあるのですが、実際のところはどうなのでしょうか(笑)。ちなみに、私が取材した冬場も稼働していました。
通路の様子。左手にある銀色のカバーはヒーターです。 4号車 更衣室 カーペットカーのデッキ部分にはドアで区切られた更衣室が設けられており、利用者は自由に使えます。鍵がかかるほか、写真にはないものの姿見用の鏡も設けられています。 |
||
おまけ カーペットカー2階席からの夜明けの風景。窓の外がビル街になってくると、まもなく終点札幌駅に到着です。 |
項目 |
|
|
||
copyright(c)2002- Nukezo, All Right Reserved. 当サイト内で公開されている写真・文章などの無断での転載・無断引用は、 引用元の表示があっても固くお断りしております。事前にご一報ください。 |