目次
・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
24系25形「北斗星」 – ツインデラックス
かつて上野~青森を牽引していたEF81形(左/上)。基本は北斗星用のEF81(所謂ホシガマ)が使用されていましたが、運用の都合や故障・点検時などで時折カシオペアカラーのEF81(所謂カシガマ)が充当される場合がありました。
(右/下)は1999~2002年の繁忙期に、定期「北斗星」1号を小樽まで延長運転する形で運行されていた「北斗星小樽」号の字幕。かつてはこの他にも「北斗星」を冠した「北斗星〇〇」号のような臨時列車が、繁忙期を中心に多数運行されていました(→「備考」も参照)。
【備考:いろいろあった「北斗星」の関連列車】
「北斗星」の臨時列車には、①運行区間は定期列車と同一で、単に「北斗星」を増便したもの と ②運行区間が定期列車と異なる「北斗星」 が存在します。このうち②は、
・北斗星トマムスキー号 1991年~1995年 横浜・上野・新宿~トマム
・北斗星トマムサホロ号 1996年~2002年 新宿・上野~トマム~新得
・北 斗 星 小 樽号 1999年~2002年 上野~札幌~小樽
・北斗星ニセコスキー号 2000年~2002年 上野~函館~(山線回り)~札幌
(※「夢空間」を連結する場合は、「夢空間北斗星ニセコスキー号」のようになる)
などがありました。
これら②の「北斗星」は2002年冬以降の設定が(同時期の東北新幹線八戸延伸で「北斗星」の運転区間の一部が第三セクターに移管された事との関連は不明ながら)激減。2003年以降の臨時「北斗星」は基本的に①(「夢空間北斗星」「エルム」など)が繁忙期に設定されるのみになっていました。
また、(これは「北斗星」の直接的な関連列車とは言い難いのですが)かつて札幌~根室を結んだ夜行特急「まりも」の増発便として「北斗星」の余剰客車を使用した「北斗星まりも」号が運行されたことがあります(2001~2002年のいずれも夏)。
…備考で脱線&長々語りすぎました。すみません。
当ページでは2人用A寝台個室「ツインデラックス」の車内を見ていきます。定期列車時代の最末期はJR東日本所属の車両で、8号車に連結されていました。
モケット
(↑)「ツインデラックス」
撮影日時・場所
撮影日時:2001~2014年
場所:「北斗星」 車内 上野駅ほか
備考
・号車番号は2008年3月15日改正後の「北斗星」1往復運転時を基準に記載しています。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」
「ツインデラックス」の通路(左)と、窓カーテンのアップ(右)。
同車は開放型B寝台からの改造で、通路部分には改造前の雰囲気がよく残っていました。個室化を除いた通路部分の改造点は「床面のカーペット化」「通路部分の椅子撤去」「窓にレースカーテン新設」などとなります。
個室番号のプレート(左)と、デッキ寄りの車号表記・非常用呼出ボタンなど(右)。
A寝台にしては質素な通路の「ツインデラックス」ですが、個室番号のプレートは金色でした。このあたりはA寝台としての“矜持”のようなものを感じます(笑)。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」車内
ようやく「ツインデラックス」の全景です。
個室内は2段ベッドとリビングスペースから成る作り。横方向にはそこまで広くない個室ですが、車体の縦幅をいっぱいに使った縦方向の開放感からか、実際に二人で利用した時もそこまで“狭苦しさ”は感じませんでした。
特筆すべきはベッド脇の壁もカーペット張りとなっていたこと。これが静粛性の向上にかなり役立っていたようで、個室内の静けさだけに限れば「ロイヤル」を上回っていたように記憶しています。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」寝台
下段ベッドのアップ(左/上)と、壁灯のアップ(右/下)。
壁灯のデザインは、取材した2000年代後半の時点ですでに“一昔前”といった雰囲気でした。赤と黒の格子模様という寝台モケットも相まって、個室内は妙にノスタルジックな雰囲気に満ちています(→「備考」も参照)。
【備考:だから私はツインデラックス】
取材時、ロビーカーでお話した方に「一人でもツインデラックスが良い」という“ツインデラックス推し”がいらっしゃいました。私が先述のノスタルジーの話をしたところ
「それが良い。ツインデラックスは一度乗るとクセになる。」
とのことですが、「ツインデラックス」の寝台料金は27,460円。一人で乗るにはいくら何でも高すぎるのでは、というのが私の率直な感想でした。
ちなみにA寝台「ロイヤル」で17,670円、B寝台「デュエット」は12,960円、B寝台「ソロ」が6,480円(料金はいずれも廃止当時)であることからも、「デュエット」の一人利用が実に贅沢な乗り方であるのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
取材当時の私はまだ未成年だったので、世の中にはいろいろな方がいるものだと“良い勉強”をさせて頂いたと思います。当項の“本筋”には全く関係ない話ですが、私の思い出話としてここに書き留めておきます(笑)。
…当項目、他のページと比べて“話の脱線”が我ながら多くなってしまっていますがどうかお許しください。続いて上段寝台の全景(左/上)と読書灯のアップ(右/下)。
読書灯は開放型B寝台などで見られるのと全く同じものです。枕元側には小窓があり、上段寝台にいながらでも必要最低限は外の景色を望むことができました。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」リビングスペース
続いてリビングスペースを見ていきます。全景(左/上)とテーブル部分のアップ(右/下)。
テーブル脇にはオーディオパネル、テレビ、鏡、灰皿などがまとまっています。テレビは2000年代に入ってから交換されたらしく、最末期はご覧のような薄型の液晶タイプが設置されていました。テレビとは言っても「ロビーカーで放映されている映画が個室内でも見られる」(→「備考」も参照)だけのシロモノで、地上波には非対応でした。
【備考:「北斗星」の映画事情】
「北斗星」のロビーカーでは室内のモニターで映画が放映されていましたが、「ロイヤル」「ツインデラックス」では個室内のテレビで同じものが視聴可能でした。
オンデマンドという概念がない頃の設備ゆえ、車内設置のDVDプレーヤー(さらに昔はビデオデッキだったらしい)でエンドレス再生する方式です。2か月おきくらいに内容が入れ替わっており、私が乗車した時(2011年夏)は「シュレック」(海外アニメ)が流れていました。
放映時間は23時台に映画が終わるタイミングまで&朝6時台~。時間になると乗務員の方が手作業でDVDプレーヤーの準備をされていました。
オーディオ設備・灰皿などのアップ(左/上)と、通路上の荷物スペース(右/下)。
オーディオ設備には「VTR」「1~4」の番号が振られており、「VTR」を押すと先述の映画の音声が、「1~4」はクラシック・ポップスなどといったBGMが流れます(→「備考」も参照)。
【備考:「北斗星」のBGM事情】
車内BGMのクラシック・ポップスとは名ばかりで、打ち込みのショボいBGM曲(スーパーマーケットとかでかかっているようなやつ)が流れるだけだったように記憶しています。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」設備類
「ツインデラックス」の鍵部分(左/上)と天井の様子(右/下)。
鍵はカードキー式で、上からカードをスライドさせて読み込ませるタイプです。カードリーダーの仕様が古いためなのか「ある一定の速度」でカードキーをスライドさせないと認識されず、すんなり解錠できるには多少の習熟が必要でした。
「ツインデラックス」ならではの設備として、「2段ベッドのハシゴ」があります。
個室入ってすぐのロッカー然とした棚(→「備考」も参照)に収められており(左/上)、上段寝台部分の「ハシゴ掛ヶ」に引っかけて使用(右/下)。開放型B寝台のそれと同じハシゴかと思いましたが、>>ハシゴの折りたたみ機構(※参考)がないことから「ツインデラックス」専用のものと思われます。
なおハシゴセット状態の個室全景も撮影こそしているのですが、室内が自身の私物で散らかりまくった状態ゆえ当サイトでは割愛します(苦笑)。
【備考:「ロッカー然とした棚」の表記について】
この棚、いかにもロッカーな見た目ながら扉に鍵がかからない仕様だったりします。従って「ロッカー」とは言えないため、当サイトでは「ロッカー然とした棚」と記載しています。
8号車 JR東日本車 「ツインデラックス」座席状態
「ツインデラックス」の座席状態(左/上)と、座席⇔寝台転換方法のプレート(右/下)。
「ツインデラックス」は、下段部分の寝台を引き起こすとソファが出てくる構造になっています。大型アームレストのほかヘッドレストもあり、座席状態にも“アッパークラスとしての見栄え”が感じられる作りでした。
8号車 JR東日本車 トイレ
デッキ(左/上)、洋式トイレ(中)、和式トイレ(右/下)の様子。
デッキ周りは開放型B寝台時代とほぼ変わっていませんが、トイレ内部は便器の陶器化・洋式化などが施されています。「北斗星」では貴重な洋式トイレでしたが、見ての通りペラッペラの便座はお世辞にも使い心地の良いものではありませんでした。
このページは7ページ構成です。次は>>3・4・10号車 デュエット 編 です。
目次
・9・10号車 ロイヤル
・8号車 ツインデラックス
・3・4・10号車 デュエット
・5・9号車 ソロ
・1・2・11号車 開放型B寝台
・7号車 食堂車・6号車ロビー室・シャワー
・【番外】「グランシャリオ」の食事
「北斗星」概説
デビュー年:1988年
上野~札幌間を、東北本線、IGRいわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽海峡線、函館本線、室蘭本線、千歳線を経由して結んでいた寝台特急。
1988年3月13日に2往復で運行を開始。当初は1・2号がJR北海道所属、5・6号がJR東日本所属の編成で運行(※3・4号は季節臨)されていたが、翌年1989年3月改正で3・4号を定期列車化する形で3往復に増便。3・4号は両社が隔日で担当した。なお、1999年の「カシオペア」運行開始以降は2往復に戻っている。
1997年からJR北海道所属編成(北斗星1・2号)では車両の個室化が推進され、翌1998年には完全個室化された(※簡易個室の「Bコンパート」を含む)。他方、JR東日本所属の3・4号では大きな動きはなく、開放型B寝台車が11両中6両(1~5・11号車)を占めたまま2008年まで運行されるなど、同じ「北斗星」でも列車により設備の違いがあった。
2008年3月以降は北海道新幹線開業準備のため、JR北海道・JR東日本所属車の混成編成による1往復に減便。2015年3月の改正で定期列車としては廃止され、同年8月23日の上野着をもって臨時列車としても運行終了となった。
このページは7ページ構成です。次は>>3・4・10号車 デュエット 編 です。