24系「あけぼの」

24系「あけぼの」 – A寝台/B寝台

「あけぼの」の字幕を2種類ご紹介。一見同じに見えますが、よく見ると(右)は「上 野」と「FOR UENO」の間に妙な間延びが。これは、かつてここに「奥羽線経由」の文字が入っていたことによるものです(→補足)

大半の車両は(左)の(言うなれば)オーソドックス”な字幕を掲出しており、(右)の字幕は一部の車両でしか見られませんでした。

【補足:「あけぼの」の字幕事情】

かつて上野~青森には東北本線経由の「はくつる」(2002年廃止)常磐線経由の「ゆうづる」(1994年廃止)など、同じ上野~青森間でも経路が違う寝台列車が多数運行されていました。

そのため、誤乗防止の観点から「ゆうづる」「あけぼの」の字幕には行先に加えて経由する路線名を併記しており、上で紹介した(右)の字幕はその名残です。

「あけぼの」が上野~青森を結ぶ唯一の寝台列車となってからは、誤乗も何もなくなったと判断されたのか「奥羽線経由」の文字は順次消去されました。

ちなみに撮影中に車掌の方が通りかかったので、(失礼を承知で)この字幕の違いについて伺ったところ「どちらの字幕が出るかは、単なる車両の個体差。恐らく深い意味や理由はない」とのことでした。

モケット

(左)A寝台
(右)B寝台

撮影日時・場所

撮影日:2012年9月

撮影場所:青森駅 「あけぼの」号 車内

備考

・>>24系「ふれあいらんど岩泉 ブルートレイン日本海」の項目も併せてご覧ください。

5・6号車 B寝台「ソロ」通路

「ソロ」の外観(左/上)。「あけぼの」に連結されていた「ソロ」は、車両中央に通路&左右に個室(ベッドがレールと同方向)という構造だったため、一見では2階建て車両のような雰囲気でした。

車内は完全にリニューアルされており、改造前の面影は全くありません。車外からの光が一切入らないためか、通路は翌朝になっても非常に薄暗い雰囲気でした。

B寝台「ソロ」下段

下段個室内の様子。ベッドが窓の方向に平行に設置されています。

ドアを開けるとすぐベッドとなっており、いわゆる足の踏み場は入ってすぐの靴置きスペースのみ。また、上段個室の関係で天井は低く、車内で完全に立ち上がることは不可能でした。個室内では、基本的にはベッドの上に座るか、あるいは横になるかして過ごすことになります。

個室内部の様子を。壁の張り出しは上段寝台への階段(左/上)であり、その脇には通風孔がありました。

ちなみにこの通風孔、どうやら他の個室のそれと繋がっていたらしく、しばらくすると私の部屋にもうっすらとタバコの臭いが(苦笑)。「ソロ」は全室喫煙可でしたが、せっかく2両連結していたので「喫煙号車」「禁煙号車」と分けてしまっても良かったのでは、と今更ながらに思います。

(右/下)は個室内の天井の様子。照明はおしゃれなデザインですが、センスは一昔前のものといった感じがしますねぇ。

足元のフットライト(左/上)とドア側に向かって(右/下)。

壁には小物置きがあり、さしづめメガネや携帯電話(当時)を置くことを想定したものと思われます。

5・6号車 B寝台「ソロ」上段

変わってこちらは「ソロ」の上段の様子。

階段は個室内にあり(左/上)、就寝時は手前側のマットレスを展開します。展開した状態では「階段の真上にマットレスが張り出す」状態となるため、外に出る際は一旦マットレスを収納して(右/下)の状態にする必要がありました。

上段寝台ならではの階段を配置」「下段寝台と同じ寝台長を両立する」という、相反するといっても過言ではない2つの命題を達成するため、個室内のスペースが余すところなく有効活用されているのは面白いところです(→「補足」も参照)。

【補足:なぜ個室内なのに転落防止ヒモがあるのか?】

マットレスを展開すると壁際との間に少し隙間ができるためか、「ソロ」上段の寝台部分には転落防止ヒモが存在します。

後年>>小坂鉄道レールパークで検証してみたところ、大人なら転落はまずしない程度の幅でしたが、確かにヒモがないとちょっと不安かなというのが率直な感想でした。

乗車当時は「なぜ個室なのに転落防止ヒモが…?」と思いましたが、よく考えられた設計だなと感じます。

テーブル・灰皿・ゴミ箱などの様子(左/上)と、テーブルを展開したところ(右/下)。

テーブルはちょうど転落防止ヒモの真ん前なので、現実的には寝台を収納した状態でないと使えませんでしたが…(苦笑)。

オーディオパネル

「ソロ」には、昨今すっかり廃れたオーディオ設備があり、その全景(左/上)と案内表記(右/下)の様子。

私が乗車した時は、B.G.M.(表記の文言そのまま)のチャンネルは「クラシック」と「ポップス」の2チャンネルが配信中でしたが、どちらもショボい打ち込み音源の曲が流れているだけでした。

開放型B寝台

変わって2~4号車の開放型B寝台を見ていきます。

「あけぼの」は基本的に8両編成(+電源車)で運行されており、1・8号車が「ゴロンとシート」(寝台券不要の座席扱い)、5・6号車が「ソロ」、7号車が’「シングルデラックス」の編成となっており、昔ながらの開放型B寝台は3両のみの連結でした(→「備考」も参照)

【備考:当項目の内容について】

B寝台の客車は「ゴロンとシート」車を除いて>>「日本海」と共通運用されていました。当項目に掲載の写真は全て「あけぼの」運用時に撮影していますが、車両・仕様が共通な分「日本海」の項とカブる内容が多少あります。あらかじめご了承ください。

そして車内の様子(左/上)と寝台のアップ(右/下)。

車内は床のカーペット化、カーテン・寝台モケットの交換が行われており、青森所属の24系25形ではよく見られる内装でした。

下段寝台(左/上)と上段寝台(右/下)のアップ。

>>「日本海」のB寝台では下段寝台の背もたれ部分に横長のカバーがついていましたが、この「あけぼの」では省略されていました(→「補足」も参照)

【補足:開放型B寝台の枕カバー事情考察】

同じ寝台特急ながら、カバーのある列車とない列車が混在していた理由は不明ですが、手持ちの写真を一通り漁った限りでは、「日本海」「北斗星」「トワイライト」など(始発駅~終着駅までの)所要時間が長い列車のB寝台ではカバーあり、他方「あけぼの」「北陸」など、乗車時間が比較的短い列車ではカバーなしの傾向が見られました。

管理人が調べた限りでは、「13時間」を上回るかどうかでカバーの有無がほぼ決まっているように感じます。

完全な管理人の推測(というか妄想)ですが、乗車時間が一定時間以上の列車(=就寝前・起床後に、利用者が寝台に着座する可能性のある列車)ではカバーをつけるという決まり(または現場の運用)のようなものがあったのかもしれません。詳細をご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示いただけますと幸いです。

一部の上段寝台で見られた、増強された転落防止ヒモ(左/上)と寝具のアップ(右/下)。

車両単位で改造されたらしく、私が取材した際も黄色いヒモがある号車とない号車がありました。

ゴロンとシート

続いて8号車に連結されていた「ゴロンとシート」を見ていきます。

「ゴロンとシート」とは、毛布や浴衣類を提供しない代わりに指定席特急券(+乗車券)だけで利用できるクラスで、この「あけぼの」の他かつては「はくつる」にも設定されていました(→「備考」も参照)

【備考:女性専用の「ゴロンとシート」もありました】

「ゴロンとシート」が好調だったため、2002年8月からは「あけぼの」号の1号車で女性専用のゴロンとシート「レディース・ゴロンとシート」が登場。定期列車としての廃止まで設定されていました(※臨時列車では未設定)

ゴロンとシートの車内全景(左/上)と、下段シート(右/下)の様子。

シーツや浴衣、ハンガーなど寝台列車では定番のサービスは、全て省略されています。あくまで「寝台」ではなく、横に(=「ゴロンと」)なれる座席(=シート)という位置づけで販売されていました(→「コラムも参照)

【コラム:(非公式情報含む)幻となったらしい「ゴロンとシート」の拡大】

「ゴロンとシート」がヒットしたことを受けて、2003年頃にJR東日本が「北陸」「銀河」にも「ゴロンとシート」の設定を検討したことがあったようです。もっとも、経緯は不明ながら結局は導入されずに終わりました。

「北陸」「銀河」が「はくつる」「あけぼの」と大きく違うのは、JR東日本内だけで完結しない列車ということです。従って、この2列車に導入するにはJR西日本など他社との調整が必要になります。

余談ですが、JR北海道の夜行特急「利尻」などで、閑散期に寝台料金を3,000円に値下げするキャンペーンが行われたことがあります。
「ゴロンとシート」「利尻」の2例から見るに、どうやら「寝台列車の施策」は、同一社内で完結するものでないと調整が大変なのでしょう。「ゴロンとシート」は、JR東日本管内で完結する「あけぼの」「はくつる」だからこそできた施策だったのかもしれません。

※本項目はネット上にアップされていた社内資料とされる写真を基に記載していますが、公式情報ではないことや情報の正確性も確認できない旨ご了承ください。

上段寝台(左/上)と読書灯(右/下)の様子。

読書灯は「ゴロンとシート」でも普通に使えました。

開放型B寝台・ゴロンとシート その他

B寝台の通路の椅子(左/上)と、座席番号表記の様子(右/下)。

寝台番号(15上・下)に加え、座席番号然とした「15A・15C」の番号が併記されています。これは「あけぼの」が定期列車だった頃、上野行き(上り)4号車の青森~羽後本荘間は、乗車券と指定席特急券で利用できるという取り扱いが行われていたことによるもの。4号車はこの座席番号の記載が入った車両が専属で充当されていました。

トイレ・洗面所

最後に洗面台(左/上)、トイレ(中)、冷水器(右/下)の様子を一挙に。

青森に所属していた24系25形は、大半の車両がトイレ・洗面台のリニューアルを受けていましたが、トイレについては改修されていない車両が一部に存在していました。

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概説

デビュー年:1972年(車両)

寝台列車の主力車両。当初B寝台は3段式で登場したが、その後寝台列車の需要減少や設備改善のために、現在は全てが2段式になっている。

車体構造はその前に登場した14系とほぼ同様だが、1972年11月の北陸トンネル火災事故の教訓をきっかけに防火対策を強化したほか、電源は集中電源式が使用されている。

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