E351系「スーパーあずさ」普通車

E351系「スーパーあずさ」 グリーン車/普通車

深夜の松本駅で並ぶ2本のE351系。

モケット

(左)普通席 (中)床材 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2017年10月25日、29日、11月5日ほか

撮影場所:松本駅 車内ほか

備考

E351系は合計4回ほど取材していますが、取材時に当たった編成が偶然にも全て量産先行車だったことから、当サイトは全ての写真について量産先行車の車内を紹介しています。

車内全景(量産先行車)

車内に入ります。

写真は量産先行車の車内で、荷物棚下にスポット照明が設けられているのが視覚上のポイントです。

車内を後ろから見たところ(左/上)と天井の様子(右/下)。

座席背面はテーブルがないため、座席モケットのカラーがモノトーンな車内によく映えます。照明は直接照明となっていますが、照度がやや抑えめなためか夜は少し薄暗い雰囲気でした。

座席

では座席の様子。通常区画(左/上)と車端部(右/下)の様子をご覧いただきます。

冒頭で数々の物尽くしと書きましたが、座席にも物はしっかり存在されておりまして、「表皮一体成型」なる新機軸が導入されています。これにより、表面が継ぎ目なく滑らかになる…ようです(笑)。

座席まわりの付帯設備はインアームテーブル・カップホルダー・窓側のテーブルのみとシンプルです。

【備考:「スーパーあずさ」最末期の座席事情】

ちなみに、写真(左/上)と(右/下)とで、中ひじ掛けの位置が微妙に異なっているのにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これは私の撮影時のミスではなく、写真(右/下)は目いっぱい下げてこの位置でした。

その他、取材した編成ではリクライニングが固定できなかったり、インアームテーブルが固着して展開しなかったりと、末期は内装面にもかなりの“疲れ”が散見されました。

座席を正面から見たところ(左/上)と、向かい合わせにした様子(右/下)。

この座席、着座した時の安定感は結構よかったりします。近年は座席の詰め物のヘタりもあって、初見での座り心地は「うーんこんなものか」程度でしたが、松本から新宿まで乗り通した時もそこまで疲れを感じませんでした。

座席背面の様子(左/上)とひじ掛部分のアップ(右/下)。

カップホルダーと網ポケットのみが配置されており、設備面はシンプルです。座席裏は表皮一体型とはなっていないため、見ての通りややごつごつした印象を受けました。

ところで、ひじ掛け先端部分の謎のカバーは何なのでしょう?写真は全面禁煙化前から禁煙車だった車両で撮影しており、全車両で見られるもののようです。

10号車 多目的室と車いす対応席

10号車は車いすに対応した号車となっており、見ての通り車内とデッキの仕切扉が通常より広くなっていました。

写真(左/上)の右側には多目的室が設けられており、それを外から見た様子が写真(右/下)となります。

車いす対応席の様子(左/上)と全展開時の様子(右/下)。

座席回りの設備は、一般席区画のそれと同一です。

各種車内設備

荷物棚下のスポット照明(左/上)と窓間のコートかけ(右/上)の様子。

スポット照明は例によって量産先行車のみで見られる仕様で、量産車では省略されています。また、窓間のコートかけは、フック部分が完全に変色していました。この写真を撮影した車両は元から禁煙車だったことを考えると、こちらも経年によるものなのでしょう。

【備考:普通車のスポット照明について】

余談ですが、「グリーン車」の項で解説した「車内改札省略の実証実験」は、グリーン車の乗客のみを対象に行われていました。

量産先行車の普通車に設けられているスポット照明は、その実証実験の拡大あるいは本格導入となった際に、即対応できる仕様になっていたものと思われます。

通路の様子(左/上)と窓際のテーブル(右/下)。座席の回転は、台座部分に設けられたペダルを踏む形ですが、このペダルも見慣れないデザインで面白いところです。

デッキとの仕切とLED表示装置

デッキと客室の仕切扉はこんな感じ。黄色一色の仕切扉に妙にノスタルジーを感じるのは私だけでしょうか。ドア上には写真(右/下)のように3色LEDによる案内表示装置が設けられており、停車駅案内のほか甲府~新宿・東京間では首都圏各路線の運行情報も表示されます。

デッキ部分通路

デッキ部分の通路の様子。照明は天井カバーと一体になっており、見た目にはなかなかおしゃれな感じです。

4~5号車 連結部分

E351系のちょっとした見どころと言っても過言ではないのが、基本編成と付属編成の間にあるこの連結部分です。

運転台の下をくぐり抜けていくような感じの構造なので、迷路のような雰囲気を味わえました。

洗面台

洗面台の様子。

鏡は一面鏡で、鏡の裏から間接照明で洗面台を照らしています。水栓は自動水栓となっているほか、なぜかコンセントが設けられています。伝え聞くところによるとこの車両が臨時「ムーンライト信州」入った時はこのコンセント周辺が携帯電話で埋め尽くされたそうです(笑)。

※ 以後、トイレ内部の写真が含まれます。

トイレ

車内の各種トイレの様子。

男子小用を除き、トイレは全て洋式トイレとなっています。また、各個室にはベビーベッドも完備されており、狭いスペースながらも機能的に仕上がっているように感じます。

デッキ

デッキの様子。

各デッキには(写真中)のように、寒冷地を走る列車らしくヒーターが設けられているのが特徴です。また、一部のデッキ(写真右)には自動販売機が設けられていましたが、末期は撤去されてカバーがかけられていました。

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概説

デビュー年:1993年

中央線「あずさ」の高速化を狙って1993年にデビュー。
JR東日本が開発した初の振り子式車両であるほか、本系列からJR東日本の車両であることを示す「E」を系列名に入れるようになった点が特筆される。

「制御付自然振り子装置」を初めて導入。あらかじめ車両のコンピューターにプリセットされた線形に沿って振り子を動作させるもの。最大車体傾斜角度は5度で、半径600mの曲線で通常の車両より25km/h速い速度での通過が可能。振り子は八王子~松本間でのみ使用され、その他の区間では振り子を停止していた。

1993年のデビュー直後は「あずさ」で運用されていたが、1994年以降は一貫して「スーパーあずさ」専属で新宿~松本・白馬・信濃大町で運用された。間合い運用で「中央ライナー」(東京~八王子)、「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」(新宿~小田原)、臨時運用として「ムーンライト信州92号」の運用が存在した。

2017年12月以降、後継となるE353系への置換が始まり、2018年3月改正で全車引退となった。引退後は全車が解体されている。

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