E131系800番台「仙石線」

E131系800番台「仙石線」

仙石線で運用されてきた>>205系3100番台の置換用として、2025年12月にデビューしたのがE131系800番台です。

仙石線はむかしから「首都圏で長年走ってきた電車の“再就職先”」となることが多く、新車が直接投入されるのは実に79年ぶり。JR東日本のプレスリリースでも「約80年ぶりの新型車両(>>公式プレス ※PDF)」と、早くも仙石線の“歴史に残る車両”になりそうな扱いで紹介されています。

写真は多賀城駅で停車中の一コマ。さっそく車内を見ていきましょう。

モケット

(左)座席 (右)優先席

撮影日時・場所

撮影日:2025年12月

撮影場所:仙石線 多賀城駅ほか 車内

備考

>>205系3100番台「仙石線」の項も併せてご覧ください。

車内全景

車内の全景。

E131系の内装はE235系をベースとしており、ソデ仕切りの形状などにその面影を見ることができます。片側4ドアのオールロングシートは、首都圏でもよく見かける光景ですね。

座席

ドア間の7人がけ(左/上)と、座面のアップ(右/下)。

座席はS字スプリングを内蔵したタイプで、かけ心地は無難に快適です。座席の骨組み自体はE235系と同一と思われ、座った時の感覚は特段目新しいものではありません。

座席モケットは「仙石線沿いの海の景色」のイメージ、とのことですが…実は相模線用のE131系500番台も全く同じモケット。あちらは「相模川や湘南の海」のイメージだそうで、要するに沿線に「」がある路線のE131系はこのモケットなのかもしれません(雑)。

2・3号車 あおば通り寄り 車端部

続いて車端部を見ていきます。2・3号車の仙台(あおば通り)寄りの全景(左/上)と、優先席のアップ(右/下)。

E131系列の車端部は、「優先席」「優先席またはトイレ&フリースペース」のいずれかとなっており、写真は優先席のみの区画。で区分けされた床面や、黄色のつり革とスタンションポール・化粧板が若干ピンクがかっているなど、ほかのE131系と共通の仕様です。

優先席の座面のアップ(左/上)と、優先席区画のつり革(右/下)。

背もたれに「優先席」と表記するデザインはE235系で初導入され、以降の車両にも踏襲されています。そのうちこれが主流になっていくのかもしれません。

1・2・3号車 石巻寄り フリースペース

変わって2・3号車の石巻寄り。全景(左/上)と、フリースペースのアップ(右/下)です。

こちらは車いす・ベビーカーなどの利用者向けフリースペースとなっています。手すり・インターホンのほか、連結面の化粧板に簡易なクッションがついており、立ち客にも配慮された設計となっているようです。

インターホンのアップ(左/上)と、フリースペース部分を外から見た様子(右/下)。

フリースペースのある区画は、ドア脇に車いすマーク・ベビーカーマークが並んで掲出されています。

1・4号車 運転台直後の区画

運転台直後のドア間の全景(左/上)と座席の様子(右/下)。

E131系は運転台にクラッシャブルゾーンを導入している関係で、直後のドア間は見ての通り4人がけとなっています。JR東日本ではE217系で初導入され、その後同社の通勤型・近郊型車両で標準の仕様となりました(※ 総武緩行線用や常磐快速線用のE231系など一部を除く)

4号車 優先席

※ トイレ内部の様子は後述します。

4号車のあおば通り寄り優先席(左/上)と座席(右/下)の様子。

4号車のあおば通り寄り車端部にはトイレがあるため、優先席はドア間の一部に設置されています。こちらは片側2人がけずつとなっており、手すり・つり革もその部分だけは優先席仕様になっているのが特徴です。

その他の車内設備

天井(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。

荷物棚はポール式です。E233系~E235系0番台まではスリット入りの板状棚でしたが、横須賀線用のE235系1000番台以降は再度ポール式に戻っており、E131系もそれを受け継いだものと思われます。

座席下のヒーター(左/上)と、ソデ仕切りのそれぞれアップ(右/下)。

ソデ仕切りは複雑な形状ですが、なぜにこの形になったのでしょう?(笑)

ドアボタン(左/上)とつり革(右/下)の様子。

ドア

ドアの全景(左/上)と、ドア上のLCDモニタなど(右/下)。

E233系以降、ドアには内装と同じ色の化粧板が貼られているのがJR東日本の“標準”でしたが、E131系1000番台(鶴見線用)からは従来の金属むき出しにまさかの回帰。この800番台にも継承されています。今後はどちらがメインになっていくのでしょうか。

4号車 トイレ(内部)

4号車のあおば通り寄りには、車いすでの利用に対応した大型トイレがあります。外から見た様子(左/上)と、内部の全景(右/下)。

トイレ自体は目新しさはありませんが、この800番台ではトイレが制御電動車に設けられているのが特徴です(→「備考」)

【備考:E131系800番台のトイレ事情】

E131系の他番台では、トイレは制御付随車(いわゆるクハ・Tc)に設置されていますが、この4号車は制御電動車(いわゆるクモハ・Mc)に設置されています。

205系3100番台とトイレ位置を合わせたためだそうで、この800番台だけの仕様といえそうです。

概説

デビュー年:2025年12月

仙石線で運用されてきた>>205系3100番台の置換用として、2025年にデビュー。

車体・走行装置・内装などは相模線用のE131系500番台に準じるが、併結運転を行わない仙石線の事情を考慮して、前面は非貫通となっているのが特徴。ラインカラーは205系3100番台のそれを受け継いでいる。

2025年12月に仙石線で運用を開始し、2026年3月改正までに205系3100番台を置き換える見込み。4両編成14本の製造が予定されている。