24系「岩泉CYMBALS ブルートレイン日本海」 B寝台 編

目次

A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備
「ブルートレイン日本海」へのアクセス

24系「岩泉CYMBALS ブルートレイン日本海」 B寝台 編

※ 旧「ふれあいらんど岩泉」

続いて、前2両側のB寝台を見ていきます。

一見普通の24系ですが、よく見ると妻面(=客車の「顔」)部分が妙に角ばっているのが分かります。これは凍結防止のために、改造で雨樋を外側に露出させたもの。青森やJR北海道など、寒冷地を走行する24系の一部で見られた仕様でした。

車番のそれぞれアップ。

【補足:オハネフ25 121・オハネ25 151の車歴】

日 時内 容
1976/07/19オハネフ25 121落成
品 川へ配属
1976/09/10オハネ25 151落成
品 川へ配属
「はやぶさ」「出雲」「富士」などで運用
1994/122両とも青 森へ転出
「あけぼの」「出羽」「日本海」などで運用
2012/03/16「日本海」廃止 定期運用消滅
2013/01/06「日本海」臨時列車としても運行終了
運用消滅
2013/03/192両とも廃車
2013/11岩手県岩泉町「ふれあいランド岩泉」
敷地内へ輸送
2014/07/28宿泊施設「ブルートレイン日本海」
として営業開始
参考URL:https://www5.big.or.jp/~hagi/rail/

モケット

(左)モケット (中)寝台カーテン (右)窓カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2025年7月3~4日

撮影場所:岩泉CYMBALS 「ブルートレイン日本海」 車内

備考

取材時はA寝台に宿泊しましたが、宿泊数日前の時点で3両とも私以外の予約がなかったため、料金を追加してB寝台も貸し切って撮影しています。

B寝台

車内全景(左/上)と、通路部分の天井(右/下)。

車内は移設にあたり、非常ベルコンセント(寝台と寝台の間にある白いT字状のもの)エアコンの吹出口の新設などが行われています。数々の新設備が設けられているわりに、一見ではほとんど違和感を感じない仕上がりになっているのは好印象です。

【コラム:「日本海」の利用者事情】

※下記は「ふれあいらんど岩泉」時代の話です。

お話を伺ったスタッフの方によると、この「ブルートレイン日本海」、(大人数では)リーズナブルな価格と手頃な定員規模からか、学校の体験学習や地元サッカーチームの合宿などで満員御礼のこともあるそうです。

合宿や学校の体験学習では、「定員が多い」「2両あるため“男子車両”と“女子車両”が作れる」などの理由から、どちらかというとB寝台車が好まれるとのこと。

プライバシーもへったくれもない昔ながらの寝台車ですが、かえってその方が合宿や体験学習ではいいのかもしれません。

B寝台 – 寝台

B寝台の全景です。

リネンや座席カバーなどは取り外されているものの、それ以外は現役時代ほぼそのままと言っても過言ではありません。

比較用に、寝台をセットした状態(左/上)と、寝台セット状態の下段のアップ(右/下)。

寝台部分

下段(左/上)と上段の様子(右/下)。

付帯設備は「読書灯(後述)」「通路側のテーブル」「転落防止サク」「テーブル(肘掛部分、背もたれ上)」のほか、「岩泉CYMBALS」への移設時にコンセントも設けられました(後述)

寝台のカーテンの遮光性はかなり高く、昼間でもカーテンを閉めるとかなり暗くなります。それにしても、年季の入ったモケットやヘタったスプリングなど、現役時代そのままの風情が堪りません。

下段(左/上)と上段(右/下)の寝台を、それぞれ正面から見た様子。

岩泉CYMBALSで保存されている24系は、24系の中でも後期型の25形。25形は当初から2段式寝台として設計されており、天井がご覧のとおりやや低めの作りになっているのが特徴です(→「備考」も参照)

【備考:初期型も残っています】

ちなみに初期型(当初3段式寝台)の24系は、「>>小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」で保存されています。

天井の形状が途中から変わった経緯などはそちらに長々したためてありますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

比較用に、寝台をセットした状態。

「ブルートレインあけぼの」のB寝台は、1両貸切での予約受付となっています。自分の貸し切った車両なら基本的にどの寝台に寝ても構わないそうなので、下段・上段を“寝比べて”みるのも面白そうです。

転落防止サクのアップ(左/上)と、一部寝台下に見られる謎の「オハネフ24 3」の表記(右/下)。

オハネフ24 3は、最末期は(「岩泉CYMBALS」の保存車と同じ)青 森に所属し、2003年10月に廃車となった同型車です。何らかの理由で廃車から持ってきたものと思われますが、そもそもこの金属板は何の用途なのでしょう?ご存じの方、いらっしゃいましたら是非ご教示ください。

読書灯

読書灯ほか枕元の設備類(左/上)と、「安全サクの使い方」のアップ。

ふれあいらんど岩泉時代にコンセントが設置されており、電源確保の心配がないのはありがたいところです。

寝台まわりの設備

寝台部分の天井(左/上)と、通路上の荷物置き場の様子(右/下)。

3段式寝台車としてデビューした初期型の24系24形は、天井高を目いっぱい確保する観点から、空調の吹き出し口は荷物置き場側にありました。対する25形は当初から2段式寝台だったため、24形ほど天井高にこだわらなくても良くなったことから吹出口が天井に移設されています。

この違いも「ブルートレインあけぼの」の項で紹介していますので、ぜひご覧になってみてください(>>天井、>>荷物置き場 ※それぞれ該当箇所までジャンプします)

収納式の小テーブル(左/上)と、コートかけの様子(右/下)。

ブルートレインの現役時代には、このフックにハンガーが備わっていました。狭い空間ながら機能的な設計なのが面白いところです。

窓際部分のテーブル(左/上)と、センヌキ部分のアップ(右/下)。

ちなみに「岩泉CYMBALS」では、末永く車両を保存していく理由から車内での飲食は禁止されています。センヌキは実際に使うのではなく、あくまで“見て“楽しみましょう。

寝台のハシゴ

上段寝台へ上がるためのハシゴの収納状態(左/上)と、展開状態(右/下)。

「岩泉CYMBALS」では、収納状態が基本となっているようです。経年ゆえか、ややガタついている個体も多いので使用の際は丁寧に扱うようにしましょう。

その他の車内設備

通路の椅子を展開した様子(左/上)と、通路にもあるコンセント(右/下)。

壁下の金属部分はかつてのヒーターで、高温である旨の注意表記も残っています(※現在は使用不可)

非常ベル(左/上)と、通路上の鏡(右/下)の様子。

非常用ハンマー入れのカバー(左/上)と、車内のSOSボタンなど(右/下)。

カバーは開けることもできますが、ハンマー本体は撤去されていました。

空調設備

天井の空調設備(左/上)とリモコンの様子(右/下)。

移設に伴って客車の空調は使用できなくなったため、新たに天井部分にエアコンを設置。1両につき2台あり、温度や設定は個別に調整できます。

寝台番号の表記

寝台の番号表記。

(左/上)がオハネ25 151、(右/下)はオハネフ25 121で撮影したものになります。オハネ25 151は、通常の寝台番号に加えて「座席番号」も併記されているのが特徴です。

【備考:なぜ寝台車なのに「座席番号」があったのか?】

「日本海」が定期列車だった頃、上り大阪行きの6号車の青森~秋田間は、乗車券と指定席特急券で利用できるという取り扱いが行われていました。

そのため、当時の「日本海」6号車は「座席番号を併記した車両」が専属で使用されており、このオハネ25 151もその「6号車要員」だったものと思われます。

デッキとの仕切扉とカギ

デッキと客室の仕切り扉の様子(左/上)と、車両番号・防犯カメラなどのアップ(右/下)。

防犯カメラ・非常口のピクトサインのほか、(車両ではなく)建築物としての法令からか通風孔が新設されているのが特徴です。

デッキ側の仕切扉にある鍵(左/上)と、洗面台側(=隣の車両側)にある鍵(右/下)のそれぞれアップ。

デッキ側の扉は見ての通り「」が設置されているのに対し、洗面台側のそれは簡易なチェーンでの固定となっています。

スタッフの方によると、予約の入っていない客車にはこのチェーンで通行を規制しているとのこと。基本的に、利用者が使うのは(左/上)の鍵だけと考えてよさそうです。

このページは5ページ構成です。次は>>B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備 編です。

目次

A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備
「ブルートレイン日本海」へのアクセス

概説

デビュー年:2014年8月(ふれあいらんど岩泉での営業開始)

「ブルートレイン日本海」とは、岩手県内・岩泉に存在する「岩泉CYMBALS」の宿泊施設の一つ。元々「日本海」「あけぼの」などで使用されていた寝台車3両を譲り受け、2014年8月から「ふれあいらんど岩泉」の一施設として営業を開始。改装工事を経て2025年から「岩泉CYMBALS(シンバルズ)」の一施設となっている。

編成は3両で、開放型B寝台2両と開放型A寝台1両で構成。宿泊に使用される車両の設備は現役当時からほぼ変わっておらず、洗面台も一部を除きそのまま利用可能。毛布、シーツは宿泊料金に含まれている。

宿泊時は、岩泉CYMBALS敷地内のレストラン「りゅうのこ」にてディナー・ランチが利用可能(ディナーは8,000円~)。但しディナーは3日前までに事前予約が必要。

宿泊予約の受付は電話のみで、A寝台は1ベッドまたは1両貸切、B寝台は1両貸切での予約となる。A寝台は1ベッド3,500~4,500円・1両貸切が35,000~38,000円、B寝台は1両貸切が10名まで21,000~22,000円・11~28名まで42,000~44,000円。支払はクレジットカードや各種QR決済が使用可能。

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