【閉館】24系25形 阿久根ツーリングSTAYtion

24系25形 阿久根ツーリングSTAYtion

かつて大阪と西鹿児島(今の鹿児島中央)を結んだ「なは」のブルートレインを再利用して2008年にオープンしたライダーハウスが、この「あくねツーリングSTAYtion」です。最近は全国各地に見られる「ブルートレインの宿泊施設」ですが、その「先駆け」とも言える存在でした。

しかし同施設を運営していた「NPO法人BigUp」が2014年5月頃に解散してしまい、客車は長らく野ざらしの放置状態に。その後、2021年に香川県の有志が行ったクラウドファンディングにより香川県内に移設され、2023年4月より「>>オハネフの宿」として宿泊施設として再スタートを切りました。

さて、当ページでは2011年に撮影した「あくねツーリングSTAYtion」時代の様子を紹介していきます。

車体側面の「デュエット」ロゴ・行先表示・テールマークの様子。行先字幕やテールマークは、動かすこともできたようです。

モケット

(左)デュエット (右)開放型B寝台

撮影日時・場所

撮影日:2011年9月13日

撮影場所:肥薩おれんじ鉄道 阿久根駅付近 「阿久根ツーリングSTAYtion」 車内

備考

>>「四国遍路の駅 オハネフの宿」の項目も併せてご覧ください。

B寝台個室 デュエット下段

まずはB寝台「デュエット」の通路の様子(左/上)と個室ドアの様子(右/下)から。

現役時代は暗証番号式のキーで施錠できましたが、スタッフの方によるとJRからの譲渡時に配線を切られてしまったそうで、カギは使用できなくなっていました。 各ドアについている簡易なロックでドアを固定することはできたものの、外からも簡単に解除できてしまうので、事実上の「鍵なし」です。

防犯の観点から深夜は客車入口のドアを施錠していましたが、不安な場合は宿泊者自身でカギを持ち込む(ロープ式や壁にくっつけるタイプなど)必要がありました。

B寝台の個室「デュエット」下段に入ります。

構造はJR東日本・北海道の「北斗星」で見られたそれと同じですが、ベージュとブラウンを基調とした落ち着いた雰囲気でした。

【コラム:阿久根ツーリングSTAYtionの料金体系】

「阿久根ツーリングSTAYtion」の宿泊基本料金は、ライダーは1500円・一般利用者は2000円でした。なお、基本料金に寝具代は含まれておらず

・寝台の上に自前の寝袋を敷いて寝る(無料)
・有料のシーツ(150円)と毛布(300円)を借りて敷く

をチェックイン時に申告して利用します。
「寝袋」という選択肢があったこと、ライダーの方が安めの料金体系だったのが「ライダーハウス」ならではと言えそうです。

寝台の様子。ベッド幅は70cmとB寝台標準です。寝台奥にあるクッションは、いかにも「枕」の位置にセットされていましたが、実際は寝台に腰かける時に背もたれとして使うものです。

部屋によっては写真(左/上)のように枕灯が垂れ下がっていたり一部の照明がつかないなど、当時から保存状態が良いとは言いがたい状態でした。

ベッド間には小テーブル・ゴミ箱・アラームや空調などの操作パネルが備わります。

ゴミ箱は実際にゴミ箱として使用され、空調・アラームもこのパネルから現役時代と同じように使用できました。

B寝台個室 デュエット上段

私が宿泊したのは1階席でしたが、スタッフの方のご厚意で2階席も撮影させていただきました。2階席はこんな感じで、入ってすぐ2階への階段がそびえています。

こちらも枕灯が垂れ下がっているほか、(写真には撮りませんでしたが)一部カーペットが剥がれてしまっている箇所があり、保存車のメンテナンスの難しさを感じずにはいられませんでした。

開放型B寝台

代わって開放型B寝台車内(左/上)と下段寝台(右/下)の様子。利用者同士の交流の場である「談話室」として使用されていました。

スタッフの方によると、「デュエット」の満室時にこの開放型B寝台に利用者を泊めることもまれにあったそうですが、基本は談話室として使用されていました。現役時代から変わった点はほとんどなさそうです。

上段寝台(左/上)と灰皿(右/下)の様子。談話室とはいえ、客車を末永く保存していく観点から車内は禁煙・飲食禁止となっていました。

その他の車内設備

最後に洗面台・トイレなどの様子を一挙に。洗面台(左/上)は現役時代の蛇口こそ残っていましたが、さすがにそのまま使えなかったようで新たに水道を引いて対応していました。

また、トイレ(右/下)はそのまま使用できたものの、やはり水が流れないことから備え付けのバケツに水を汲んで、便器内に自分で流しこむ方式でした。トイレ内にもその旨の記載が見られます。

おまけ:NPO法人BigUpの事務所

おまけとして「なは」の客車に隣接して、当時「阿久根ツーリングSTAYtion」を運営していたNPO法人BigUpの事務所棟の様子を。

事務所棟には簡易なキッチンと談話室も設けられ、夜は運営者と泊まり合わせた人が交流する時間(雰囲気としては、ユースホステルのミーティングに近いもあったように記憶しています。

概説

デビュー年:2008年(施設)

「あくねツーリングSTAYtion」とは、肥薩おれんじ鉄道阿久根駅前で、NPO法人BigUp(ビゴップ)により運営されていたライダーハウス。かつて寝台特急「なは」で使用されていた24系25形客車を使用し、ライダー向けの宿泊施設として再生したものだった。

編成は2両で、B寝台「デュエット」と開放型B寝台を使用。「デュエット」は宿泊施設として使用され、開放型B寝台は談話室として用いられていた。車内設備はほぼそのまま残され、トイレや洗面台も使用できた。

利用には各自で寝袋などを持ち込んで使用することになるが、リネンなどの貸し出しも行っていた。宿泊料金は1500~2000円。駅から1km圏内に銭湯があるほか、コンビニや弁当屋などもいずれも徒歩圏内にある。

2014年5月末頃(詳細日不明)に休業し、そのまま閉鎖された模様。客車は長らく放置状態となっていたが、2021年に香川県の有志が行ったクラウドファンディングにより同所へ移設された。2023年4月から宿泊施設「四国遍路の駅 オハネフの宿」として運営されている。

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