キハ58系「Kenji」 – 座席 / トイレ・洗面台
2号車の先頭部分の様子(左)。2号車は種車時代の先頭形状を残していますが、(1・3号車がATS-Psを装備しているのに対し)搭載する保安装置が旧式のATS-Snのみであることから、事実上2号車が営業列車で先頭に立つことはできず、実質の“中間封じ込め”となっていました。
写真(右)は、展望席部分を外から見た様子。窓の位置が一般席区画と比べて明らかに高いのがお分かりいただけるかと思います。
この部分には岩手県のイメージキャラクターである「わんこきょうだい」があしらわれていますが、これは「Kenji」が岩手県の盛岡支社所属であることによるもの。現在の真っ青塗装になる前のころから、この部分にいたようです。
撮影日時・場所
撮影日:2017年11月10日
撮影場所:気仙沼~仙台 臨時快速 仙台駅 車内
備考
※ 取材列車がかなり混雑していたため、車内全景を中心に一部構図の乱れがある写真があります。
デッキ部分 通路
さて、本項目では座席以外のデッキ・トイレなどを紹介していきます。
まずはデッキ部分の通路から。(左/上)が3号車部分、(右/下)が車いす対応トイレを備える1号車の通路部分となります。
2号車 連結部分
2号車の連結部分は運転台が。運転台直後にはかつては自動販売機が設置されていましたが、近年では利用を中止しており、中にあった飲料サンプルも全て撤去されています。
3号車 トイレ
トイレと洗面所は編成中に2箇所設けられていますが、まずは通常のトイレを持つ3号車からご紹介します。トイレは洋式に改造されており、また洗浄方式も近年流行りの真空式であることから、トイレだけを見れば一見ではキハ58系列とはとても思えない作りになっています。
他方、洗面台はご覧の通り、シンクと鏡の位置が完全に90度ズレてしまっています。元々キハ58系列の洗面台は、線路と平行に設置されていたのですが、改造時にわざわざ作り直したものと思われます。経緯は知る由もありませんが、ともあれ不思議な光景でした。
1号車 車いす対応トイレ
かわって1号車の車いす対応トイレはこんな感じ。トイレ本体、洗面台、ジェットタオルが個室内に全て揃っており、狭いながらも機能的に仕上がっています。
3号車 多目的室
車いすトイレ向かいの、元々洗面台だったスペースは「多目的室」として転用されました。
「多目的室」というとお堅い印象ですが、内部は今風にいうところの「パウダールーム」然とした空間に大改装されています。入口から一段上がったところにあり、一見ではいかにも土足禁止のエリアに見えますが、室内には土足禁止を明確に示す注意書きは見当たりませんでした。実際のところどのように運用されているのかは気になるところです。
洗面台脇にはヒーターも設けられており、私が取材した時も現役で稼働していました。
子ども用のベビーチェア(左/上)とパウダールーム内のコートかけの様子(右/下)。コートかけは金色のおしゃれなデザインでした。
おまけ
取材時に、車内から見えた窓のフチ部分(左/上)。近年塗装が塗り直されたとはいえ、痛みの出やすいフチ部分はかなり錆びが進行しており、老朽化の進行は否めないようです。
(右/下)は展望席からの眺望。窓上部分は、運転席が眩しくなりすぎないように黒い半透明のフィルムが貼られています。
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概説
デビュー年:1992年(Kenjiとしてのデビュー)
キハ28形・58形を改造してデビューしたジョイフルトレインで盛岡支社に所属する。3両編成。
元は「サロンエクスプレスアルカディア」として1987年4月にデビューし、新潟を中心に運用されていたが、翌年1988年3月に3両編成のうち1号車(キロ59 508)が、営業運行中に火災事故を起こして全燃。火災を免れた2両は長らく休車となっていたが、1992年に1両を追加改造し、盛岡へ転属したうえで「Kenji」として再デビューしたという経緯がある。
3両編成のうち、中間のキハ29 505の種車であるキハ28 2010は1961年に製造されており、既に50年以上の運用実績を持つ点が特筆される。
盛岡地区を中心に、東北全体で団体列車・臨時列車などに運用された。全国のJR線上で営業運転に使用される唯一のキハ58系列だったが、2018年9月をもって引退。引退後は全車が解体され、現存しない。