485系「きらきらうえつ」

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485系「きらきらうえつ」

かつて新潟~酒田を結んだジョイフルトレイン「きらきらうえつ」。現在の「海里」の実質的な前身となった車両で、羽越本線沿線の観光列車としては元祖にあたります。

足回りは余剰となっていた485系からの流用ですが、車体は「きらきらうえつ」化に伴って完全に新製。予備知識がなければ、485系からの改造とはとても分からない外観でした。

2019年9月に営業運行から引退し、秋田へ回送。2021年7月頃に全車が解体されています。

モケット

(左)座席 (中)ラウンジ席 (右)床材

撮影日時・場所

撮影日:2018年11月30日

撮影場所:「きらきらうえつ」 酒田駅 車内

備考

※ 取材列車がかなり混雑していたため、車内全景を中心に一部構図の乱れがある写真があります。

車内全景

車内の全景。

「きらきらうえつ」は一応ジョイフルトレインの括りではありますが、車内はごく普通の2+2配置が展開していました。

車内を後ろから見た様子(左/上)と天井(右/下)の様子。

天井まわりはフラットで特段の飾り気もなく、非常にシンプルにまとまっています。

【備考:乗って楽しいだけでなく、乗ってオトクに?】

車内は特急としても十分に通用しそうな車内設備ですが、「きらきらうえつ」は特急料金の不要な快速列車として運行されていました。

同区間を走る「いなほ」と比較した場合、「いなほ」の方が所要時間は30分ほど短いのですが、快適性と指定席料金だけで乗れるコストパフォーマンスの観点では「きらきらうえつ」に軍配が上がりそうです。

私が取材した時も、直前に出る「いなほ」はガラガラでしたが、こちらは満席に近い混雑でした。

「青春18きっぷ」ユーザーの間ではいわゆる「乗り得列車」として知られていた「きらきらうえつ」。時が経つにつれて、一般にもその「オトク」が認知されていたのかもしれません。

座席

座席の様子。写真(左/上)が一般席、(右/下)が車端部の様子です。

中ひじ掛けがやや簡素化されたR55Hに、手かけ(座席肩部)が増設された独自の座席でした。シートピッチは970mmと、同区間を走る特急「いなほ」の普通席よりも広いのですが、そこはツッコんではいけません(笑)。

3号車9D・10D 車いす対応席

3号車には車いすでの利用に対応した区画が設けられており、全景(左/上)と車いすピクトグラムのアップ(右/下)。

この部分はデッキと客室の仕切扉・通路が、他の区画より広めに取られています。

で、車いす対応席の様子(左/上)とリクライニングを全展開(右/下)した様子。

車いすに対応したベルトなどの装備を除き、基本的な諸元は一般席に共通です。

1・4号車 ラウンジ(簡易展望スペース)

運転台後ろの区画はパイプ椅子が設けられた展望席区画となっています。全景(左/上)とパイプ椅子のアップ(右/下)。

展望席部分には、黒いビニールレザーが張られたパイプ椅子が設けられていました。

窓側に面したパイプ椅子(左/上)と、運転席直後の展望席の様子(右/下)。

着座位置がやや高めであることから、足元にバーレストが配されています。

1・3・4号車 荷物スペース

デッキと客室の仕切(左/上)と、デッキ脇のなぞのデッドスペース(右/下)。

仕切扉を片側に寄せることにより、客室とデッキを視覚上完全に分断しています。その結果、写真(右/下)のような妙な空間が生まれてしまっていますが、どうやらこの区画は荷物置き場として使用されることが多いようでした。

その他の車内設備

最後に車内設備全般を。写真(左/上)は荷物棚、(右/下)は窓間のコートかけの様子です。

コートかけは他ではあまり見ない形状をしています。

通路の様子(左/上)と座席番号表記の様子(右/下)。

おまけ:きらきら弁当

最後におまけとして、「きらきらうえつ」の車内で買える「きらきら弁当」を紹介します。

新潟駅で駅弁を販売している株式会社三新軒と「きらきらうえつ」の乗務員が共同企画したものだそうで、沿線・地元の商材をふんだんに使用しているとのこと。料金は1080円と、駅弁にしては手ごろでした。
なお、同弁当は「きらきらうえつ」の車内のほか、新潟駅でも販売されていたようです。

>>このページは2ページ構成です。次は>>きらきらラウンジ・トイレ・洗面台 編 です。

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概説

デビュー年:2001年(きらきらうえつとしてのデビュー)

羽越本線の沿線観光促進などを狙って2001年にデビュー。キャッチコピーは「乗って楽しい・降りて楽しい」。車両の名前、並びに同車を使用した専用列車の愛称はともに「きらきらうえつ」である。

走行機器などの足回りは485系のものを流用しているが、車体は完全に新製されており、眺望に配慮して全車両ハイデッカー構造を採用。また、各車両にはスロープを設けてバリアフリーにも配慮しているほか、3号車は車いす対応の座席・トイレなどを備えている。

4両編成で、1・3・4号車は座席車、2号車は「きらきらラウンジ」で、ミニビュッフェ「茶屋」とボックス席を備える。ミニビュッフェでは「きらきら弁当」を始めとした駅弁や地酒、お土産の販売が行われており、購入したものは「きらきらラウンジ」内のボックス席で飲食可能。

2019年9月までは快速「きらきらうえつ」として、主に週末や繁忙期に新潟~酒田間を中心に運行されていた。不定期に酒田から先、象潟や秋田まで延長運転される場合がある。
このほか「きらきらうえつ」車両を使用した臨時列車として、過去に「きらきら行く年・来る年(新潟~弥彦)」「分水夜桜(新潟~分水)」といった新潟エリア、さらに「きらきらヨコハマ(横浜~小田原)」「きらきらやまなし(新宿~甲府)」など首都圏にも顔を出した経歴がある。

2010年代後半に入り、現役で活躍する数少ない485系の一つであったが、後継の「海里」の導入と入れ替わる形で2019年9月に引退。引退後は秋田へ回送され、長らく保管されていたが2021年7月頃に全車が解体された。

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