209系2000・2100番台「房総地区」


房総地区のローカル輸送を担う209系2000・2100番台。ラインカラーはいわゆる「スカ色」の流れを汲むものですが、E217系のそれより少し黄色が濃くなり、どちらかというと255系に近いカラーリングを感じます。
ドアエンジンが空気式の車両は2000番台、電気式のそれは2100番台と番台区分されていますが、内装は共通なので当サイトでは同一項目として扱います。
写真は銚子駅で発車待ちの209系2000番台。さっそく車内を見ていくことにしましょう。
モケット



(左)ロングシート (中)クロスシート座面 (右)クロスシート背面
撮影日時・場所
撮影日:2018年10月16日
撮影場所:成田線 銚子駅 車内
備考
特にありません。
車内全景 – ロングシート

中間車のロングシートの全景。
車内は京浜東北線時代から大きく変わっておらず、デビュー時からの雰囲気をよく残しています。
座席 – ロングシート


ロングシートの全景(左/上)と座面のアップ(右/下)。
座面を成型したバケット構造はJR東日本の通勤型電車ではすでに見慣れた光景ですが、この形状の座席を最初に採用したのがこの209系です。
座席 – 車端部


車端部の全景(左/上)と、座席のアップ(右/下)。
209系からE231系(初期)までは、貫通扉が電動車のユニット両端のみに設置されていました。
優先席 – 車端部


優先席区画の様子。こちらは比較用に貫通扉のない区画で撮影しています。
基本的には座席モケットが違うほかは大差ないのですが、壁際の消火器が着座スペースを支障しているのは大いに不満の残るところです。E231系以降では、消火器の置き場所をあらかじめヘコませておくことで、着座スペースに支障しないよう改良されました。
このように、いろいろ「粗削り」な面が見え隠れするのも、JR東日本の通勤型電車のいわば「元祖」となった209系らしさということなのかもしれません。
優先席 – 2号車ロングシート


2号車にあるトイレ手前のロングシート全景(左/上)と、座席のアップ(右/下)。
本来優先席の場所にトイレがある代替として、7人がけの5人分が優先席区画となっています。
フリースペース


両端の先頭車にあるフリースペースを見ていきます。全景(左/上)と、フリースペースのアップ(右/下)。
房総地区への転用改造にあたり、とくに変わった点はなさそうでした。
車内全景 – セミクロスシート

先頭車は、房総への転用時にセミクロスシートに換装されています。
座席回りはE217系やE231系で見られるものとほぼ共通ですが、クロスシートは完全な「片持ち式(壁だけで支える方式)」とはなっておらず、通路側部分に補強用の脚が設けられているのが特徴です。
座席 – セミクロスシート


クロスシート(左/上)と、ドア脇のロングシート(右/下)。座席モケットは、総武緩行線(元・山手線)のE231系500番台と同一のようです。
座席はS字スプリングが入ったE231系後期車に準拠したものらしく、着座した感覚はそれなりに快適でした。


窓際の当て布(左/上)と、窓枠下のテーブル(右/下)。
テーブル表面には、缶が落ちにくいように窪みも設けられています。もっとも209系自体がそこそこ揺れるので、特に大きな缶飲料(500mlなど)を置くのは実体験としてオススメしません(苦笑)。
車内設備


天井の様子(左/上)と荷物棚のアップ(右/下)。こちらは京浜東北線時代からそのまま使用されているようです。


窓の様子(左/上)と通路の様子(右/下)。
窓は京浜東北線時代の2005~2007年に、開閉可能化工事が行われています。かつては車端部の小窓のみが開閉可能で、この大窓は一枚まるっと固定窓でした。


車番(左/上)と座席下のヒーターの様子(右/下)。車番は従来の車番の上からシールで貼り付けられています。
また、京浜東北線時代の209系には「この電車は従来の半分以下の電力で走っています」と記載されたシールが車番下に貼り付けられていましたが、房総への転用時に剥がされています。もっとも、「従来」の比較対象がとっくに姿を消した103系なので、時代の流れを考えれば当然なのかもしれません。
※ 次項目に、トイレ内部の写真が含まれます。
トイレ


車いす対応トイレの外観(左/上)と、内部(右/下)の様子。
トイレは真空式となっています。
乗降用ドア


乗降用ドアの様子とドア上の案内表示。
案内表示板は房総地区でも稼働しているほか、駅間では運行情報なども表示されます。
概説
デビュー年:2009年(改造年)
房総地域で使用されてきた113系・211系の老朽化取り替え用として、京浜東北線から退役した209系を改造して2009年にデビュー。
車内は先頭車のセミクロスシート化やトイレの設置など、通勤型電車というよりは近郊型電車に近い改造が施されている。その他、長時間の駅停車を見据えたドアの3/4開閉装置や、制御装置の更新などが実施されている。改造にあたっては、比較的状態の良かった209系4次車以降が優先的に充てられたが、先頭車が多く必要となるため、先頭車のみ一部3次車以前からの車両も転用された。
2000番台と2100番台が存在し、2000番台はドアエンジンが空気式、2100番台は電気式という違いがあるが、それ以外の改造内容はほぼ同一。
2013年3月に211系が引退して以降は、房総地域の普通列車運用をE131系とともに引き受けている。