キハ40系列「新潟地区 ロングシート車」
平成初期の生まれの私にとって、新潟駅といえば今でも「電車は115・485系、気動車はキハ40系列」の印象が強いのですが、2010年代に入っていずれの系列も一気に置換が進みました。キハ40系列も2020年3月の改正で完全引退となっています。このページでは、そんな新潟地区で活躍したキハ40系列のうち、ロングシートに換装された車両の内装を扱います。
分割民営化後、同地区のキハ40系列は通勤輸送を見据えて、一部の車両がロングシートに換装されました。運用はクロスシート車と特に区別されず、どちらが来るかは「当日のお楽しみ」でした。
写真は近年大規模にリニューアルされた、先進的な新潟駅構内にたたずむ様子。写真(左)、隣にさりげなく珍しい子が映っています(笑)。
モケット
(左)座席 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2019年12月12日
撮影場所:磐越西線 新潟駅 車内
備考
説明の簡略化のため、運転台やドアの形状に違いがありますが基本構造は同一であることから「キハ40・47・48形」を総称して「キハ40系列」と呼称する場合があります。
車内全景
では車内へ。ご覧の通り、ロングシートがデンッと並ぶだけ。非常にシンプルな空間です。
濃紺の座席モケットは国鉄時代からのそれですが、このロングシート化はJR分割民営化後に施行されたものです。同じロングシートのキハ40系列でも、南東北や秋田地区のそれは座席モケットが交換されていた例も多いのですが、新潟地区の本系列は最後までこの「濃紺モケット」を残していました。
座席
ロングシートの様子。まさに文字通り「ロング」なシートです(笑)。何人がけなのかはパッと見では全く分かりませんが、座面のクッションをよく見てみると手前から、それぞれ「3-3-2-2-2-2-2-2-3-3(人がけ)」となっており、24人がけとなっているようです(次項目の右写真も併せてご覧ください)。
もっとも、座面は写真(右)のように、特に着座位置が明確なわけではありません。取材した列車も、最初こそ立ち客がいるほどに混んでいましたが、24人ぎっちり座るということはなく、実質18~19人がけ程度で使用されていた印象でした。
あくまで“立ち客詰め込み”が主眼ならこれでいいのかもしれませんが、こんなに長いと(特に中央で)座りにくいのは正直否めません。着座位置の明確化も兼ねて、一定間隔で手すり(いわゆるスタンションポール)があっても良かったように感じます。
座席下(左/上)と窓(右/下)の様子。座席の脚は、金属製の妙にいかついものが採用されていまず。座席下はヒーターなどは特段なく、単なる空間になっています。
優先席
トイレ側の3人がけは優先席となっており、JR東日本の優先席共通モケットが張られています。トイレの真向かいとなる部分には、クロスシート時代は座席があったと思われますが、現在は機器室のようなハコが設けられています。
ハコの中にどのような機器が収まっているのかは知りませんが、(写真は撮れなかったものの)単なる立ち席スペースになっている車両も見かけたので、そもそもトイレの真向かいには座席を配さない方針だったのかもしれません。
フリースペース兼ジャンプシート
トイレと反対側のドア脇は、片側がフリースペース兼座席となっています。車いすやベビーカーの利用者がここを使用する際は、写真(右/下)のように座席を跳ね上げることができ、非常通報器などのスペースの関係かこの区画のみ2人がけとなっています。
跳ね上げた状態のアップ(左/上)と非常通報器(右/下)の様子。近年一気に広がった「ベビーカーマーク」もしっかり貼り付けられていました。
その他の車内設備
天井(左)と荷物棚(右)の様子。空調装置は左右に分散して配置されているため、天井真上は非常にすっきりとしています。
窓間に残る座席番号のプレート(左/上)とドア脇のごみ箱のアップ(右/下)。座席番号はクロスシート時代からそのまま残っており、存在しないはずの「通路側」の座席番号が表記されているのは愛嬌です(笑)。
天井の通風孔(左/上)と荷物棚上の非常用設備(右/下)の様子。非常用のハシゴなどが入っているものと思われます。
乗降用ドアとトイレ
ドアの様子(左/上)とトイレの様子(右/下)。トイレは床や足置きの部分がベージュ系の素材に交換されているものの、それ以外は昔ながらの“列車便所”の風合いをよく残しています。
概説
デビュー年:1977年(車両)
1950年代に製造されたキハ10系を初めとする通勤用気動車の後継として1977年にデビュー。1982年までに888両が製造され、日本全国の非電化区間で主に普通列車として用いられた。
基本は両運転台のキハ40系列、片運転台のキハ48形、両開きの乗降ドアを備えたキハ47系に大別されるが、製造後、各地へ転配されたことから必要に応じた改造を受ける車両も多く、番台区分は多岐に渡る。