115系「新潟地区」N33・N40編成(青シート)
長年、新潟地区の普通列車で幅を利かせてきた115系ですが、最末期の2021年は3両編成7本の合計21両まで数を減らしていました。当ページでは、そんな最後の115系の中でも「最後の青モケット車」だった新潟車両センターのN33・N40を扱います。
新潟地区の115系は昔の「復刻塗装」が施されており、写真のN40編成はかつて70系に塗装されていた「初代・新潟色」をまとっていました。
【備考:115系を115系で置き換えた新潟】
新潟地区の115系は、2013年に大規模な入替・整理が行われています。
ことの発端は、長野地区への211系導入です。これで余剰の出た長野の115系が、2013~2014年にかけて順次新潟に転属。より古かった新潟の115系を一気に置き換えました。転属にあたっては、新潟でもしばらく使う前提だったゆえか、大半が>>長野で施されたリニューアル車となっています。
しかし、そのリニューアル車に紛れてなぜか2編成移籍してきたのがこの非リニューアル車。新潟ではN33・N40編成となり、2022年3月の引退まで活躍しました。
これらの編成は、(長野時代から)昔懐かしい青モケットの座席が残っていたのが特筆されます。全国的に見ても数少ない115系、さらに「原型に近い内装」を令和の時代まで残していた、非常に貴重な存在でした。
モケット
(左)座席 (中)床 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2019年3月25日
撮影場所:越後線 柏崎駅 車内
備考
・N40編成で撮影した写真をご紹介しますが、N33編成も同じ内装です。
・>>115系「新潟地区・(長野)リニューアル車」の項も併せてご覧ください。
車内全景
車内に入ります。
車内は灰皿の撤去が行われた以外、デビュー当時から大きく変わった点は見当たりません。青いモケット、アイスグリーンの化粧板、無機質なグレーの床が織りなす空間は、「ザ・国鉄型の車内」でした(→「余談」も参照)。
【余談:青モケットを追い求めた私の思い出】
新潟地区の115系は運用が固定されていたため、115系そのものに“狙って乗る”ことは比較的容易でした。しかし、この青モケットは7編成中2編成のみ。しかも当日にならないと運用が判明せず、非常に「狙いにくい座席」でした。
私は新潟を旅行していた際、ネットでこの編成の目撃情報があったので急きょ旅程を変更して取材した次第。ガラガラな便(=撮りやすい便)に入ってくれたのはラッキーでした。
座席 – クロスシート
座席の様子。ボックスシートを横から見たところ(左/上)と、座席を正面から見た様子(右/下)。
新潟地区に残っていた115系は全車が1000番台と、115系の中でも比較的後期ロットに属す車両です。初期ロットの車両と比較して、「ボックスシートのフレーム全体がやや分厚い」「座面部分が分厚い」「シートピッチが全体的に広い」などの改良が施されていました。
座席肩部の手かけ(左/上)と、窓開け用のラッチ(右/下)。
手すりのひんやりした触感と、長く握っていると手汗で手すりがヌルヌルしてくるあの独特な感覚は健在でした。
座席 – ドア脇2人がけロングシート
ドア脇は2人がけのロングシートとなっており、全景(左/上)と横から見た様子(右/下)です。
座面は完全なフラットと見せかけて、よく見ると微妙に傾斜がついており、少しでも快適に座れるよう工夫された作りになっているのが垣間見えます。
座席 – 車端部区画5人がけロングシート
車端部は5人がけのロングシート。青モケットとアイスグリーンの化粧板の組み合わせ、これこそが「国鉄型の車内」です。
座席は座面、背もたれとも2人がけ・3人がけを並べて5人がけとしています。115系は他の区画でも2人がけ、3人がけがあるので、それと規格を揃えて共通化しているということなのでしょう。
優先席 – 車端部区画5人がけロングシート
(越後線、信越本線を基準にした場合の)新潟寄りは優先席区画です。
座席はJR東日本の共通モケット、つり革は黄色い大型のものに交換されており、ほとんど手を加えられていない内装の中で「JR東日本の優先席としての体裁」はしっかり整えてきています。
ロングシート 座面のアップ
座面のアップ。(左/上)が一般席、(右/下)が優先席区画です。
優先席 – トイレ脇区画
(越後線、信越本線を基準にした場合の)新潟寄り先頭車にはトイレが設けられています。
リニューアル車ではトイレ隣の3人がけ優先席を撤去してフリースペースとしていますが、こちらは非リニューアル車なのでそのまま残っているのが特徴です。
ちなみに「3人がけの優先席」が見られるのは、編成中でここが唯一だったりします。一般の方にはどうでもいいことなのでしょうが…(笑)。
向かい側の2人がけ優先席(左/上)とつり革のアップ(右/下)
座席とは何も関係ありませんが、3人がけ部分と2人がけ部分では、スペースの関係で戸袋窓の大きさが異なっています。ぜひ上の3人がけと比較してみてください。
運転台直後の区画
続いて運転台直後の区画(左/上)。
運転台側(写真左)は2人がけ、助手席側(写真右)は3人がけと変則的な仕様になっています。
3人がけの様子(左/上)と、おまけで取材中に見つけた「座面と背もたれがちぐはぐな座席」(右/下:→「備考」も参照)。
たまたま撮影したのが3両編成を2編成併結する運用だったのですが、運転台同士を繋いでいるホロから隙間風がけっこう入ってきて寒かったです。真冬は避けた方が無難かもしれません(苦笑)。
【備考:なぜ座面と背もたれが違う座席が…?】
上項の(右/下)の座席は、よく見ると座面のみリニューアル車のものになっていました。破損か汚損でもして、急遽取り替えようにもリニューアル車用の座席しかなかったということなのでしょう。
115系も引退が近い(のと既に在籍数が多くない)ためか、交換用の部品はけっこうギリギリで回していたと思われます。珍しいものが見られたので紹介してみました。
その他の車内設備
天井の様子(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。
荷物棚は本当の“網”棚で、こちらもデビュー当時からのものと思われます。
コートかけ(左/上)と床面の様子(右/下)。
床面のリノリウムも運行開始から特に変わっていないようで、老朽化による剥げや腐食が進行しているように見受けられます。
座席番号のプレート(左/上)と窓枠のテーブル(右/下)。
貫通扉周りの様子(左/上)と、行先方向幕の裏側に貼られていた対照表(右/下:→「備考」も参照)。
貫通扉は、昔ながらのアイスグリーンを最後まで残していました。余談ですが>>長野で施されたリニューアル車では、車内に面した側が白ベースの化粧板に交換されています。
【備考:新潟地区115系の行先字幕事情】
対照表には、信越本線・白新線・上越線・越後線・弥彦線などの幕が入っています。取材したN編成はワンマン非対応の車両なのですが、なぜかワンマン用の字幕も入っていました。
新潟所属の115系の字幕は(かつて存在したワンマン対応の弥彦線用Y編成を含めて)全車同じものを入れていたと推測できます。
トイレ
トイレの様子(左/上)と中の掲示(右/下)。
こちらもデビュー当時から変わっていないと思われます。トイレ内部の表記も懐かしい書体です。
乗降用ドア周り
乗降用ドア(左/上)の様子と、ドアレールのアップ(右/下)。
冬季は凍結防止のためにドアレールのヒーターが稼働するようで、安易に触れないための注意喚起がなされています。
おまけ
おまけで、先頭部のアップ(左/上)と、乗務員と清掃員の方の働く様子(右/下)。
現場の方々に支えられ、最後の活躍を見せる115系の姿がそこにありました。
車両概説
デビュー年:1964年(車両)
113系に耐寒・耐雪構造をつけて、寒冷地でも走行できるようにしたもの。かつてはJR東日本、JR東海、JR西日本などで幅広く使用されていたが、現在は後継車に代わりつつある。