【7/25 全項目公開開始】24系25形「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」 A寝台シングルデラックス

目次

・A寝台
B寝台ソロ
B寝台
館内設備
「ブルートレインあけぼの」へのアクセス

24系「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」

上野~青森を上越線・羽越本線・奥羽本線経由で結んだ「あけぼの」の客車を使用した宿泊施設が、この小坂鉄道レールパーク内「ブルートレインあけぼの」です。

ここの一番の‟売り”は、ブルートレインが走れる状態で保存されていること。週末を中心に乗車体験イベントが行われており、走るブルートレインに乗車できる唯一の施設となっています(→「備考」も参照)

写真は旧小坂駅のホームにたたずむ24系25形「あけぼの」の様子。2020年から4年間に渡る休業を経て、2024年4月から久しぶりに宿泊受付が再開されました。当ページでは紆余曲折を経ながらも、新たな一歩を踏み出した「ブルートレインあけぼの」の車内を見ていきます。

【備考:往復250m、でも走ります】

基本的に小坂鉄道レールパークのホームに停車している「ブルートレインあけぼの」ですが、ときおり小坂駅構内を‟走る”ブルートレインの乗車体験が行われています。

現在は特別運行・イベント時が中心で、乗車できるのは開放型B寝台のみ。2024年の営業再開後は事前予約による有料制(大人500円・子供250円)となりました。

‟走る”とは言ってもホーム~転線~車両展示場(ホーム突端)だけなので、往復250m程度・速度も10km/hくらいですが、「走るブルートレイン」が体験できるのはこの小坂が唯一です。

運行日は小坂鉄道レールパークの>>営業カレンダー(別ウィンドウが開きます)で案内されているので、宿泊時にはぜひ確認してみてください。

(さらに余談)
2020年の休業前は、この「走るブルートレイン」体験は宿泊者のみの特典となっていました。

モケット

(左)モケット (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2024年06月

撮影場所:24系25形「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」車内

備考

特にありません。

A寝台「シングルデラックス」 外観

「あけぼの」の最上位クラスであったA寝台「シングルデラックス」から見ていきます。

車両はスロネ24 551で、長らく「あけぼの」のシングルデラックスとして活躍してきた車両です。車体はえらくピカピカですが、2024年の営業再開を前に車体の修繕・塗装の塗り直しが行われたとのこと。私の取材時も、まるで新車のような輝きを放っていました。

【補足:スロネ24 551の車歴】

日 時内 容
1973/09/28開放型A寝台オロネ24 1として
富士重工で落成
向日町に配置
「あかつき」「彗星」などで運用
1975/03品 川へ転属
「はやぶさ」「富士」「出雲」などで運用
1976/10青 森へ転属
「ゆうづる」「日本海」などで運用
1980/10秋 田へ転属
「あけぼの」「出羽」「ゆうづる」で運用
1988/03/13青 森へ転属
「あけぼの」「日本海」「出羽」で運用
1991/03A寝台個室「シングルデラックス」に改造
スロネ24 551となる
改造後は「あけぼの」で運用
2014/03/13寝台特急「あけぼの」
定期運用終了 臨時化

2015/01/04臨時寝台特急「あけぼの」
実質的な最終運行日
2015/04/03 
2015/05/小坂鉄道レールパークに
他3両の客車とともに搬入
2015/10/31「ブルートレインあけぼの」として
宿泊営業開始
参考HP:https://www5.big.or.jp/~hagi/rail/lexp/24/

A寝台「シングルデラックス」 通路

通路に入ります。

通路まわりは現役時代から大きく変わった点はありませんが、保存車によくある火災探知機・非常ベルが設置(右/下)されているのが特徴です。

個室ドア(左/上)と、鍵部分のアップ(右/下)。

個室の鍵は、現役時代と同じくナンバーロック式。現在も施錠可能でした。

A寝台「シングルデラックス」 個室

「シングルデラックス」の全景。個室内も天井まわり(後述)を除き、現役時代ほぼそのままで保存されていると言っても過言ではありません。

「シングルデラックス」の寝台は、「寝台」「座席」と2形態に転換可能ですが、小坂鉄道レールパークでは「座席」が初期状態でセットされています。チェックインが17時と、やや早めの時間設定ゆえでしょうか。

A寝台「シングルデラックス」 ベッド

【寝台状態】

背もたれ部分を倒してベッド状態にした様子(左/上)とベッドメーキングした状態(右/下)。

ベッド幅は76cmB寝台+6cmですが、実際に横になってみると数値以上の広さを感じました。

【座席状態】

座席状態(左/上)と、通路側のひじかけ(右/下)。

通路側のひじかけは跳ね上げ式になっており、必要に応じて収納できます。

寝台上の小物置き場(左/上)と、枕灯・SOSボタン(右/下)の様子。

SOSボタンは、現在もSOSボタンとして機能するのかは不明です。さすがに何もないのに押すわけにはいきませんので…(苦笑)。

A寝台「シングルデラックス」 補助ベッド

補助ベッドの収納状態(左/上)と展開状態(右/下)。

「シングルデラックス」は各個室内に補助ベッドが設けられており、最大2名で利用できます。無論‟1名で利用してあえて上段で寝る”といったような使い方も可能なので、興味のある方はぜひ試してみてください(笑)。

補助ベッド部分のアップ(左/上)と、枕灯・BGMなどの操作盤(右/下)。

取材時、実際に横になって比較してみましたが、補助ベッドの方は詰め物がやや‟スカスカ”に感じました。あくまで‟補助”ベッドゆえなのかは知りませんが、寝心地ではやはり(下段)ベッドの方が勝るかなという印象です(→「備考」も参照)

【備考:補助ベッドは、引退後に‟日の目”を見た?】

現役時代の「シングルデラックス」は、読んで字のごとくシングル利用が多かったそうです。私が現役時代の「あけぼの」に乗車した限りでも、この補助ベッドは年数のわりに妙にきれいだったように記憶しています。

他方で小坂鉄道レールパークでは、(特に注意して見ていたわけではありませんが)家族連れやカップルで「シングルデラックス」に泊まる人を多く見かけました。

もしかしたらこの補助ベッド、小坂に来てからの方が意外と‟本領を発揮”しているのかもしれません。

寝台ハシゴ・コネクトドア

壁側には補助ベッドを使用する際のハシゴが収納されており(左/上)、それを設置した様子が(右/下)です。ハシゴはかなり重たいので、設置の際は慎重に扱いましょう。

ハシゴの裏には扉が設けられていますが、これは隣の部屋とのコネクトドア。双方の部屋から鍵を解除して開けると、4人部屋として使用できる仕組みです(→「備考」も参照)

【備考:小坂鉄道レールパークでのコネクトドア事情】

コネクトドアは1号室を除く各部屋に設置されており、「2-3号室」「4-5号室」…のようにつながっています。このドアのおかげで個室の防音は今一つであり、特に深夜帯は隣人のクシャミが普通に聞こえてきます。消灯時間後はなるべく静かにしましょう。

なお小坂鉄道レールパークの利用者向けリーフレットには、「コネクトドア」に関する記載はありませんでした。現在は使用されていないものと思われます。

天井周りと踏み台

天井(左/上)と、空調吹出口のアップ(右/下)。

空調は中央での一括設定となっており、天井からぶら下がっているヒモで吹出口を開閉して調整します。現役時・2016年の取材時とは吹出口のデザインが異なり、ヒモもなかったことから近年交換(2024年の営業再開時?)されたものと思われます。

個室の入口ドア上には、天井上のスペースを活用した荷物置き場も完備。「でも、ここまで荷物を持ちあげるの…?」と思った方は、次の写真をどうぞ(笑)。

寝台下には、荷物置き場に荷物を上げる際に使用できる踏み台がセットされています。

セットがセット状態(左/上)、取り出した状態が(右/下)。足が乗る面には透明のビニールシートが貼られていました。

その他の個室内設備

続いて「シングルデラックス」個室内の設備を見ていきます。洗面台(左/上)と、シンクを展開した様子(右/下)。

設備維持の観点から、小坂鉄道レールパークに移設されてからは使用禁止となっています。シンクはかなりガタついているものが多いので、展開する際は丁寧に扱いましょう。もっとも、ガタガタなのは現役時代からですが…(苦笑)。

車内設備の操作パネル(左/上)と、姿見・コンセント(右/下)の様子。

操作パネルは、現在も使用できる照明関係のボタンを除き、透明のカバーがかかっています。鏡の脇に備わる2口コンセント現役時代からのもの。現在も通電しており、「シングルデラックス」では電源確保の心配はなさそうです(→補足)

【補足:個室内に電源があるのは「シングルデラックス」だけ】

ちなみに後述するB寝台「ソロ」にはコンセントがないため、電源確保が気になる場合は「シングルデラックス」を利用すると良いかもしれません。

個室内の靴ブラシ(左/上)と、コネクトドアのアップ(右/下)。

靴ブラシは、かつてのブルートレイン全盛期は「A寝台の定番」とも言えた設備でした。年季の入り方からして、恐らく現役時代からあったものと思われます。

デッキ

デッキを2アングルから。

デッキも「シングルデラックス」化に改修されており、アイボリーを基調とした明るい雰囲気になりました。「非常口」のピクトグラムや傘立ての設置が、保存車らしい設えと言えそうです。

配電盤のアップ(左/上)と、デッキと客室の仕切扉(右/下)。

一緒に保存されている電源車(次項)から給電を受けているため、配電盤が現役時代と同じように点灯しているのは特筆すべき点です。小坂鉄道レールパークだから見られる光景なので、訪れた際はぜひご覧になってみてください。

おまけ:「電源車」

おまけとして、電源車のカニ24 511を紹介。

スタッフの方に伺ったところ「当初から動態保存の計画があり、そのために電源車は必須だった」とのことでした。小坂の地でも「ブルートレインあけぼの」に電力を供給し続けており、いまや「唯一の現役電源車」となっています(→「余談」も参照)

【余談:電源車を保存する意外なメリット】

ブルートレインの電気系統は、電源車からの給電が前提の設計です。特に客車の空調装置を一般家庭用の電源で動作させるのは現実的に不可能なため、(電源車がない)他のブルートレイン施設では、空調を新設するなど大掛かりな工事を行っています。

しかし電源車がある「ブルートレインあけぼの」なら、客車の空調その他電気系統の設備はそのまま使用可能です。ここを訪れた時に初めて知った

電源車ごと持ってきて保存すれば、車内の改造が少なくて済む

というのは、本当に目からウロコでした。

側面の様子(左/上)と、小坂駅ホーム上での様子(右/下)。

小坂駅ホーム上では発電機を止めて、ホームに設置した電源コードから電力が供給されています。訪れた時はぜひ、主役の寝台車を盛り上げる“名脇役”の姿も見てあげてください。

このページは5ページ構成です。次は>>B寝台「ソロ」編です。

目次

・A寝台
B寝台ソロ
B寝台
館内設備
「ブルートレインあけぼの」へのアクセス

概説

デビュー年:2015年10月(小坂鉄道レールパークでの営業開始)

「ブルートレインあけぼの」とは、秋田県鹿角群小坂町に存在する「小坂鉄道レールパーク」の宿泊施設。かつて「あけぼの」として使用されていた寝台車3両と電源車1両を譲り受け、2015年10月より宿泊施設としての営業を開始した。

編成は4両で、開放型B寝台、B寝台「ソロ」、A寝台「シングルデラックス」及び電源車1両で組成。宿泊可能なのは「ソロ」「シングルデラックス」で、開放型B寝台は談話室兼食事スペースとして用いられている。

小坂鉄道レールパーク内の車両展示場(ホーム突端)に展示されているが、週末・繁忙期を中心に乗車体験イベントが行われている。小坂駅構内の往復250m程度ではあるが、実際に走る寝台車は本施設が唯一。

毛布、シーツは宿泊料金に含まれているほか、小坂鉄道レールパーク内にシャワー施設があり、宿泊者は無料で利用可能。

2020年以降、新型コロナウイルス及び客車老朽化を理由に営業を中止していたが、整備を経て2024年4月から再開。現在は基本的に土日のみの営業となっている。予約は電話受付のみ。車両保全のため冬季は休業となるほか、整備などで不定期に営業休止となる場合がある。

このページは5ページ構成です。次は>>B寝台「ソロ」編です。

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