小湊鐵道キハ200形

小湊鐵道キハ200形

小湊鐡道は良くも悪くも「車両がこの半世紀ずっと同じ」というのが最大の特徴で(笑)、国鉄キハ20系を小湊鐡道用にアレンジしたキハ200形が、1961年から一貫して活躍しています。いきなり本題に入ってしまいましたが、千葉県の五井~上総中野を結んでいるのが小湊鐡道です。

写真は寒空の下、上総中野駅に到着するキハ200形。このページでは、半世紀以上を小湊鐡道一筋で頑張り続けている同車の車内を見ていくことにしましょう。

モケット

(左)座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2018年11月12日

撮影場所:小湊鉄道 上総中野駅 車内 車内

備考

「小湊道」と表記されることもありますが、同社公式サイトでは全面的に「小湊道」と表記されていることから、当サイトではそちらに則っています。

車内全景

車内の全景。

デビュー時からの変化といえば、冷房装置が追加されたくらい。あとは完全に製造当時からの雰囲気がそのままに残っているようです。

座席

座席(左/上)と座面のアップ(右/下)。

キハ200形は片面2ドアですが、座席の中央部分に排気ガスの配管があることから、事実上2つのロングシートになっています。

掛け心地はよくも悪くも「古い車両の座席」ですが、内部のスプリングはそろそろ無理が来ているのかな…という座席もちらほら。今後が少し心配なところです。

座席下の様子(左/上)と座席両端の金属製ポール(右/下)。

車端部

運転台後ろの区画の全景(左/上)と、座席の様子(右/下)。

小湊鐡道では全列車に車掌が乗務しているため、運賃箱などのワンマン設備は特に設けられていません(→「備考」も参照)

【備考:小湊鐡道の優先席事情】

小湊鐡道では優先席は設けられておらず、全ての座席が同じオレンジ色のモケットに統一されています。

なお、一部の車両で青いモケットもあるようですが、こちらは撮影でき次第公開します。

車内設備

天井の様子(左/上)と冷房装置(右/下)。

キハ200形は全車非冷房でデビューしていますが、1990年代に一部を除いた全車が冷房化されています。鉄道車両ではあまり見かけないタイプの冷房ですが、どうやら本来はバス用のエアコンとのことです。

そのため、天井は通風孔と扇風機が並ぶ、デビュー当初からのすっきりした状態を維持。荷物棚の真上にありますが、形状が天井のカーブに合わせて工夫されているので、荷物スペースには存外干渉していませんでした。

荷物棚の様子(左/上)と通路の様子(右/下)。

荷物棚は金属ポール式の棚ですが、この車両がデビューした頃は「網棚」が全盛期だったような気がします。最近交換されたものなのでしょうか。

エンジンの排気ダクト(左/上)と、ドア脇の鏡(右/下)。

この鏡はどういった意図で設けられているのでしょう?

禁煙表記(左/上)とつり革の様子(右/下)。

「禁煙」プレートの下に、消された「五井-上総牛久間禁煙」の文字がうっすらと見えますが、これはかつて上総牛久~上総中野間では喫煙が可能だった時代の名残です。

一部の車両ではこのプレートの上から「全区間」のそれを新たにかぶせて対応していますが、私が取材したキハ208では上に貼られていたシールが剥がれたのか、かつての表記が見える状態になっていました。

ドア

ドアの様子(左/下)と、ステップ部分の足元灯(右/下)。

ドアの上半分に窓があるのはともかくとして、下にも小窓が設けられており、このあたりの仕様は国鉄キハ20形に則っていると見えます。

ドア上の沿線案内(左/上)と一部ドア脇にある非常通報機の様子(右/下)。

沿線案内は手作り感あふれるデザインですが、各駅ごとに多数の施設が紹介されており、けっこう見ごたえがあります。路線図の拡大写真は>>こちらからどうぞ。

おまけ

最後におまけとして、何枚か小湊鐡道に乗車した時の写真を紹介。

(左/上)は里見駅での交換の様子、(右/下)は運転台からの風景です。とても2010年代後半の鉄道写真とは思えない光景がそこにありました。

五井駅構内にある小湊鐡道の車両基地の様子(左)。一番奥に、えらく色あせたキハ200形がいるのに注目です。

これは休車となっているキハ209。休車に至った経緯は不明ですが、ネットをいろいろ調べた中で確実なのは「2002年の時点で既に休車だった」ということくらい。1997年に休車になったという情報もあり、いずれにしても30年近く“車庫のヌシ”として残存しています。

(右)はおまけで走行中の車内の様子。上総牛久~上総中野間は線形があまり良くないためか、車両がしばしばローリングするように揺れます。そのたびにつり革が一斉に揺れるのがあまりにも壮観だったので、動画で撮影してみました。

おまけ

デビュー年:1961年

小湊鐵道にて使用されてきた老朽車の取替えを目的として1961年にデビュー。
当時国鉄で使用されていたキハ20系をベースに、小湊鐵道の独自仕様を取り入れており、1977年まで合計14両が製造された。

車内はロングシートとなっており、路線長がそこまで長くないことからトイレなどの設備はない。製造当初は非冷房だったが、1990年代にキハ209・210を除く全車が冷房化された。

小湊鐵道全線で運用され、1両から4両まで需要に応じて編成長が変更されるが、基本は2両での運転が多い。このほか、1960年代に当時の国鉄千葉駅に臨時列車として入線した経歴がある。

1961年から2020年に至るまで一両の廃車もなく14両全車が在籍(但しキハ209は休車)していたが、2020年にキハ202が廃車となった。その後キハ203が廃車(2022年)されるなど、徐々に数を減らしつつある。

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