N2000系試作車「宇和海」(2424)

N2000系試作車「宇和海」(2424)

予讃線の松山~宇和島を結ぶ特急「宇和海」。車両は2000系またはN2000系が使用されていますが、N2000系の中でもちょっとした”変わり種”が存在します。

今回取り上げるN2000系試作車がそれで、2424・2458の2両が存在。前面は2000系の色違いながら、車体側面はどこかN2000系の要素を感じる、”折衷”なビジュアルなのが特徴です。

写真は松山駅で発車待ちのカット。試作車は量産車と1両単位で連結して共通に運用されており、取材時は松山方がこの試作車となっていました。

【備考:試作車の運用事情】

2424・2458の2両が存在するN2000系試作車ですが、両車は必ずしもペアで運用されているとは限りません

私も取材前はN2000系について予備知識が乏しく、ホームで何気なく撮っていて「あれ?前後で顔が違う…?」となったのは苦い思い出です(笑)。

モケット

(左)座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2026年2月

撮影場所:高浜線 高浜駅 車内

備考

N2000系の試作車には2424・2458の2両がありますが、両車はトイレの仕様・一部指定席など内装が異なるため、当ページでは取材した2424のみをタイトルに掲載しています。

車内全景

車内の全景。

内装は先代の2000系をそのまま受け継いだような感じで、いい意味で小ざっぱりした雰囲気です。この2424、一応はN2000系に分類されるようですが、こういった”折衷”的な装いは試作車らしさと言えるでしょう。

車内を反対から見た様子(左/上)と、天井を見上げた様子(右/下)。

座席の背面はバックシェルつき(後述)です。車内の化粧板と似た系統のカラーリングゆえか、反対から見るとよりいっそう殺風景感が…(苦笑)。

座席

というわけで座席の様子です。一般席(左/上)と車端部(右/上)の様子。

座席自体は、2000系に搭載されているものと同一です。このバックシェルは清掃や部品交換の便を図ったものと思われ、いっときJR四国の特急車両で”流行った”仕様でした。

付帯設備は背面テーブル・網ポケット・バータイプのフットレスト。シートピッチは980mmと、設備面は(1990年代中盤デビューの車両という基準で、になりますが)十分な水準に感じます。

座席をそれぞれ、正面(左/上)と背面(右/下)から見た様子。

このアングルだと分かりやすいですが、座席によっては下に機器箱(左/上)やあるほか、窓下にはダクト(窓下)があります。配管がどうしても増える気動車ゆえ仕方ないのかもしれませんが、足元のスペース性はもう一歩かなという印象でした。

宇和島寄り 車いす対応席(1A席)

宇和島寄りには車いすでの利用に対応した席があり、1A席がその区画となっています。外から見た入口(左/上)と車内の全景(右/下)。

1A席最寄りのドアは横幅がやや広めになっているほか、デッキとの仕切扉も両開きとして幅を確保しています。窓はなぜか右側だけですが…(笑)。

車いす対応席の全景(左/上)と、全展開状態(右/下)。

座席の基本的な仕様は共通となっており、それにひじ掛けの跳ね上げ機能などを付加したものとなっています。「優先席」のピクトグラムもありますが、これは自由席時の車いす優先を示したもののようです。

車内設備

荷棚(左/上)と座席番号表記(右/下)の様子。

荷棚は2000系の意匠をそのまま受け継いでいます。

通路(左/上)と、運転台直後のデッキ仕切扉(右/下)。

運転台直後の区画は前面展望の便を図って、仕切りは窓付きとなっています。デッキ・乗務員室の前後と、窓を都合3枚隔てることにはなりますが、ある程度は前面展望を拝むことができそうです。

【余談:同じJR四国のキハ185系の前面展望事情】

>>キハ185系(※3100番台の項)は乗務員室の車掌台側(進行方向)右側の仕切りが省略されており、前面展望は本系列よりやや見やすくなっています。

デッキ

デッキの全景(左/上)と、運転台直後の様子(右/下)。

乗降用ドアの窓は、2000系と同じ小窓です。

洗面台

続いて洗面台を見ていきます。全景(左/上)とシンク周りのアップ(右/下)。

2424には車いす対応席があることから、洗面台もそれに対応して横幅が広く取られた設計です。なお、トイレはなぜか一般用の洋式のみ(後述)となっており、車いす対応トイレは宇和島寄り車両のそれを利用することになります。

トイレ(一般用)

最後にトイレを見ていきます。全景(左/上)とベビーベッドを展開した状態(右/下)。

2424は、JR四国の特急車両としては初めて洋式トイレを導入した車両だったりします。現在は2021年に行われた改修工事により、JR四国の他の車両でも見られるようなそれに改装されていますが、ちょっとした”雑学”として紹介してみました(→「備考」も参照)

【備考:JR四国のトイレ事情】

JR四国は、鉄道車両への洋式トイレ導入を長年「地域性」を理由に見送ってきた経緯があります。

この2424は1995年デビューですが、翌1996年デビューの6000系はオール和式、2004年の8000系リニューアルでも一部トイレを和式のまま残すなど、謎の「和式」へのこだわりは徹底していました。

もっとも、2020年代に入ってさすがにそうも言っていられなくなったのか、>>キハ185系などでトイレの洋式化が進んでいます。

(さらに備考)
この「地域性」がいかなるものなのかについては、私が調べてみた限りで不明でした。詳細をご存じの方は、ぜひご教示いただけますと幸いです。

「ながす」やSOSボタン、トイレットペーパー類(左/上)と、ベビーチェア・手洗い台など(右/下)。

概説

デビュー年:1995年

高徳線の130km/h運転化を狙って、1995年にデビューした2000系の改良型試作車。2424・2458の2両が製造された。

基本は2000系を踏襲するが、2000系をベースに設計・開発された智頭急行線のHOT7000系の技術を”逆輸入”する形で同車の要素が多数取り入れられているのが特徴である。

登場当初は前面の貫通扉・ドアが赤く塗装され、従来の2000系と区別されていたが1998~1999年にかけて量産車と同一の塗装に変更されている。

長らく高知に配置され「うずしお」「南風」「しまんと」などで運用されてきたが、2021年3月に2424・2458とも松山に転属。2026年3月現在は「宇和海」でのみ使用されている。松山では必ずしもペアで運用されているわけではなく、量産車と完全に共通運用。