アルピコ交通20100形

アルピコ交通20100形

長野県の松本~新島々を結ぶアルピコ交通の>>3000系の置換用として、2022年に登場したのがこの20100形です。東武鉄道の20000系の中間車を譲り受けて改造したもので、前面は本系列オリジナルの独特なデザインとなっているのが特徴です。

写真は、深夜の新島々駅に停車中の20100形。取材時に乗り合わせたのは、アルピコ交通の鉄道むすめ「渕東なぎさ」のラッピング編成でした。

地方私鉄ではあちこちで見かける鉄道むすめですが、アルピコ交通はなかなかに鉄道むすめ推しが凄いようです(笑)。さっそく車内を見ていきましょう。

モケット

(左)座席 (中)優先席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2025年12月

撮影場所:アルピコ交通 上高地線 新島々駅 車内

備考

特にありません。

車内全景

※ 新島々方・松本方の内装の違いについては後述

車内の全景。

アルピコ交通への移籍に伴い、車内は床材・化粧板(壁)・座席モケットなどの交換を実施。全体的に、東武時代よりも明るいカジュアルな雰囲気になりました。

座席モケットによる先入観(※後述)でしょうか、一見では東武らしくない雰囲気に見えないこともないですが、座席の仕切りや特徴的なスタンションポール(手すりの棒)かつての面影を垣間見ることができます。

座席

ドア間の座席(左/上)と、座面のアップ(右/下)。

ドア間の座席は10人がけとなっており、座った感じはやや固めでした。もっとも、アルピコ交通としての乗車時間では特段不満になるものではなさそうです。

ちなみにこの座席モケット、よく見ると>>京王8000系「大規模改修車」のそれと全く同じです。細部の特徴から、「座席自体は東武のモノを流用」「表面のモケットを張替」したものと思われ、よ~く見ると座面・背もたれの形状は両者で微妙に異なっています。

優先席

車端部は、フリースペースを併設した優先席区画となっています。全景(左/上)と、優先席のアップ(右/下)。

優先席のモケットも、>>京王8000系「大規模改修車」のそれと同一です。アルピコ交通20100形が移籍改造を行ったのは、実は京王グループの京王重機設備。京王8000系の大規模改修も同社によって行われており、その座席モケットが流用されたものと思われます。

変わってフリースぺース(左/上)と、ドアボタン・各種ピクトグラムなど(右/下)。

見慣れた車いすマーク・ベビーカーマークの隣には、なぜか自転車のピクトグラムが。アルピコ交通では、一部の列車で車内に自転車を持ち込めるサイクルトレインを実施(→「備考」)しており、ここはその際の自転車置き場も兼ねているようです。

【備考:アルピコ交通のサイクルトレイン事情】

アルピコ交通のサイクルトレインは、例年3~11月の平日・一部列車・一部区間で行われており、利用には事前の予約・決済が必要となります。

詳しくは>>公式サイト(※新しいタブが開きます)をご覧ください。

ワンマン機器

続いてワンマン機器を見ていきます。運転台直後の運賃箱(左/上)と、ドア脇の整理券発行機の様子(右/下)。

20100形は、全車がもともと中間車だった車両を先頭車に改造したものです。もっとも、アルピコ交通への移籍時に化粧板をすべて張替・統一したためか、「(先頭車化改造された車両にありがちな)先頭部だけ妙に新しい」雰囲気はあまり感じませんでした。

車内設備の違い

さて、この20100形は新島々方が元・東武20000型、松本方が元・東武20050型から改造されているため、若干ですが内装が異なっています。本項では、その違いについて簡単に見てみましょう。

まずは新島々方の車両(左/上)と、松本方の車両(右/下)のそれぞれ天井。見ての通り、ラインデリアの形状が両者で全く異なるのがお分かりいただけるかと思います。

続いて荷棚。例によって、新島々方(左/上)と松本方(右/下)です。

新島々方は網棚になっているのに対し、松本方はポール式の荷棚を採用。これは東武時代からの差異で、アルピコ交通への移籍後もそのままで使用されているということのようです。

【備考:20000型と20050型って…?】

この呼称は東武20000系の分類で、JRなどの車両でいうところの「番台区分」です。

東武20000系のうち、1988年から製造の初期グループは20000型、1992年からのマイナーチェンジ版は20050型と分類されていました。

※一部ファンサイトなどでは「20050系」とする表記もありますが、当サイトではアルピコ交通の公式サイトの記載に則り、20050型と表記しています。

その他の車内設備

座席下(左/上)と、つり革の様子(右/下)。

ところどころ赤いつり革が配されていますが、これは信州りんごをモチーフにしたものだそうです。

そのほか、写真奥にピンクのハート形つり革もありますが…これは何なのでしょう?軽く調べてみた限り、アルピコ交通の公式サイトでは特に案内されていませんでした。詳細ご存じの方は、ぜひご教示いただけますと幸いです。

天井のLCDモニタ(左/上)と、車両銘板などの様子(右/下)。

LCDモニタは路線バスなどでも見られるタイプで、表示の体裁などからレシップ製と思われます。

ドア

乗降用ドア(左/上)と、ドア上の駅名案内(右/下)。

概説

デビュー年:2022年

上高地線で使用されてきた3000系の置換用として、2022年にデビュー。

東武鉄道で余剰となっていた20000系(20000型・20500型)を譲り受けたもので、改造は京王重機設備が行った。新島々方の車両は20050型、松本方の車両は20000型であるため、天井や荷物棚などの形状がそれぞれ若干異なるのが特徴。

制御装置はVVVFインバーター制御で、アルピコ交通への移籍時にJR東日本のE129系と同一の機器に交換されている。また、内装も大幅にリニューアルされており、東武時代の面影はほぼない。座席モケットは京王8000形の大規模改修車と同一のものが採用されている。

2022年から2025年にかけて4編成が導入され、3000系を全て置き換えた。上高地線の全線で運用中。