伊予鉄道610系

伊予鉄道610系

伊予鉄道の高浜線・横河原線で運用される610系。車体は完全な新造ですが、足回りは京王5000系(主電動機・制御機)・東武2000系(台車)の廃車発生品が流用されており、雰囲気に似合わずレトロな走行音のする車両です。

伊予鉄道としては600系ぶり、実に38年ぶりの自社発注車となった610系ですが、あくまで「京王5000系の譲受だけではまかなえない分の補充」的な側面が強かったらしく、導入は2両2編成の4両で終了しました。

さて、写真は夜の高浜駅に停車中の様子。車体側面は、どことなく東武20000系のそれに似た雰囲気を感じます(→「備考」も参照)。さっそく車内を見ていきましょう。

【備考:610系の都市伝説】

車体側面が似ていることから、一部に「東武20000系の余った車体を流用した」という都市伝説があるようですが、これは>>伊予鉄道の公式YouTubeで否定されています。

実際には車体幅・車体のスソ絞りの有無・連結面の窓のサイズなどが東武20000系とは異なっており、完全に伊予鉄道向けに設計された車体です。

(さらに備考)
ただ、伊予鉄道も「東武20000系にそっくり」であることはYouTube内で認めています。

モケット

(左)座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2026年2月

撮影場所:高浜線 高浜駅 車内

備考

伊予鉄道では、高浜線・郡中線・横河原線を総称して「郊外線」と呼んでおり、当サイトでもその表現を用いる場合があります。

車内全景

車内の全景。

車内はやけにすっきりして見えますが、それもそのはずで座席まわりのスタンションポールが一切ありません。西日本エリアの車両は2000年代頃までスタンションポールを設置しない例(JR西日本207系、阪急など)が多かったのですが、本系列もそれに倣ったものでしょうか。

車体だけは確かに東武20000系に似ているとはいえ、車内に入ると「あぁ、西日本の車両だね」となるのが面白いところです。

座席

ドア間の10人がけ全景(左/上)と、座面のアップ(右/上)。

背もたれには着座位置を示すプリント、座面にはお尻の位置に合わせた縫い込みが入っており、これは1980年代後半~1990年代前半にかけて流行ったデザインです。

座面は経年からかヘナヘナした柔らかさですが、伊予鉄道としての乗車時間を考えればまぁ不満のあるものではありません。

高浜寄り 車端部

続いて高浜寄り車両の車端部を見ていきます。全景(左/上)と車端部の座席(右/下)。

車端部は3人がけとなっています。消火器はなぜかかなり高い位置に設置されていますが、これは610系の貫通路が1,000mmと広く、言うなれば「ここにしか設置できないから」でしょうか。

横河原寄り 車いすスペース

横河原寄り車両の車端部は、片側が車いすスペースとなっています。全景(左/上)と車いすスペースのアップ(右/下)。

610系は、伊予鉄道の鉄道車両としては初めて新造時から車いすスペースを導入しています。

車いす固定用器具のフタ(左/上)と非常通報器(右/下)の様子。

非常通報器の下には「SOSボタン」のピクトグラムもありますが、全国的に見かける汎用のそれとは体裁が微妙に異なっています。伊予鉄道オリジナルのデザインかもしれません。

サイクルトレイン 自転車持ち込みスペース

高浜寄りの先頭部分は、サイクルトレイン実施列車の「自転車持ち込みスペース」となっています。全景(左/上)と、ピクトグラムの様子(右/下)。

単にピクトグラムを貼っただけかと思いきや、床面には「ここからが自転車持ち込みスペースだよ」と言わんばかりのラインが引いてありました(左/上)。土日と祝日に設定されており、利用には通常の運賃に加えてサイクルトレイン利用券が必要です(→「備考」も参照)

【備考:伊予鉄道のサイクルトレインについて】

利用方法・条件など詳しくは>>伊予鉄道の公式サイトをご覧ください(新しいタブが開きます)

車内設備

天井(左/上)と荷物棚(右/下)の様子。

天井は空調の吹出口が左右に2本あるのみ(照明脇の黒いライン)で、ラインデリアなどはなくすっきりしています。

通路(左/上)とつり革の様子(右/下)。

通路上には、昨今ではあまり見かけなくなった点検用のフタが。610系がデビューした頃は、すでにフタのない車両が新造の主流でしたが、これは床下機器を旧型車から流用したゆえでしょうか。

座席下(左/上)と、運転台直後の様子(右/下)。

運転台後ろには窓が2つ、扉も窓つきとなっており、昼間であれば前面展望に恵まれそうです。あえてナナメ撮りなのは、こうしないと私自身が映り込んでしまうのでお許しください(笑)。

座席両端の仕切り(左/上)と、連結面の設備類など(右/下)。

ドア

乗降用ドアの全景(左/上)と、ドア上の液晶案内表示器(右/下)。

デビューからしばらくは2段式のLED表示装置が使用されていましたが、2020年ごろに現行のLCDモニタに交換されています。

概説

デビュー年:1995年

老朽化の進んでいた600系の置換用として1995年にデビュー。

伊予鉄道としては30年以上ぶりの自社発注車であり、車体は18m車体の片側3ドア。ステンレス車体、製造当初からシングルアーム式パンタグラフなど、外装は当時最先端の技術を取り入れている。他方で走行装置は、京王5000系(主電動機・制御機)・東武2000系(台車)の廃車発生品を活用した、旧来からの抵抗制御なのが特徴。

2両×2編成の合計4両が導入され、現在は横河原線・高浜線の直通運用に使用されている。2018年に新塗装化。