N700S系8000番台「かもめ」 指定席

目次

1~3号車 指定席
・3号車 車いす対応席・トイレ・洗面所
・4~6号車 自由席

N700S系8000番台「かもめ」 指定席

佐賀県の武雄温泉から、長崎県の長崎を結ぶ西九州新幹線。本来は新鳥栖から九州新幹線に接続して博多・大阪方面と直通するはずの路線ですが、さまざまな“オトナの事情”から現在は武雄温泉〜長崎のみの開業となっています。

そんな同線の輸送を担うのは、JR九州のN700S系8000番台。東海道・山陽新幹線用のN700S系を西九州新幹線仕様にアレンジした車両で、開業から一貫して「かもめ」の“”として君臨してきました。

この車両は、(JR九州のほかの車両と同じく)水戸岡鋭治氏がデザインを手がけているそうで、内外装とも本番台のオリジナル仕様が随所に見られる仕上がりとなっています。さっそく車内を見ていきましょう。

モケット

(左)1号車 (中)2号車 (右)3号車

撮影日時・場所

撮影日:2025年10月/11月

撮影場所:「かもめ」37/41号 武雄温泉駅 車内

備考

特にありません。

1号車 指定席

N700S系8000番台は、1~3号車(指定席)の座席モケットが、1両ごとに異なる車内を撮影する人泣かせな仕様になっています。というわけでまずは長崎側先頭の1号車の全景から。

1号車の座席モケットは「菊大柄」がコンセプトとのこと。グレーを基調としたシックなデザインの座席が2+2配置で展開しており、指定席として使用される1~3号車の中ではもっとも落ち着いたデザインに感じます。

車内を反対から見た様子(左)と、窓まわりの様子(右)。

座席や床材はN700S系8000番台オリジナルですが、天井・窓まわりは東海道・山陽新幹線用のN700S系と同一のようです。

1号車 指定席 座席

座席の様子。写真(左/上)が一般区画、(右/下)が荷物スペース直後の様子となります(→「備考」も参照)

座席自体は見ての通り、九州新幹線の800系のマイナーチェンジ版といった感じです。リクライニング角度は800系よりやや深めになり、背もたれのクッション性も高まっているなど、いわば800系から“正統進化”した座席と言えるでしょう。

付帯設備はインアームテーブル・コートかけ・コンセント(後述)マガジンポケットとシンプル。西九州新幹線としての(長くとも)30分という乗車時間を考慮すればこんなものでしょうか。

【備考:N700S系8000番台の車内配置について】

N700S系8000番台の車内は、車端部に大型荷物スペースに設置されています。

車内の前後に配置されているため、当サイト他ページで見られるような「車端部区画(壁際の座席)」の撮影が困難なことから、本項では荷物スペース直後の写真で代用します。

座席を正面から見た様子(左/上)と、窓間のコートかけ(右/下)。

座面は先端がやや盛り上がる構造となっており、リクライニング時に腰にかかる負担を軽減しています。

とは言っても、そもそもの座面・背もたれがかなり薄っぺらいので、座り心地に大きく寄与しているかと言えばまた別の話なのですが…(苦笑)。

2号車 指定席

続いて2号車の全景。

こちらは「獅子柄」をコンセプトとした、グリーン系の内装となっています。

2号車を反対から見た様子(左/上)と、通路の様子(右/下)。

西九州新幹線では開業当初、清掃の簡便化などを図って座席の枕カバーを省略していました。ただ、原因は不明ながらも後年(2022年冬頃~)ビニール製のシートカバー装着が始まり、現在は全車が枕カバー付きとなっています。

2号車 指定席 座席

2号車の一般席区画(左/上)と、荷物スペース直後の区画(右/下)。

テーブルは全席インアームテーブルのみとなっており、荷物スペースの仕切りにテーブルなどは特段ありません。

座席モケットは1~3号車で異なりますが、座席のソデ体(=両端のひじかけ)や背面のパネルはいずれも共通です。800系ではソデ体・パネルも色味が3パターンありましたが、このあたりはコストとの兼ね合いでしょうか。

座席を正面から見た様子(左/上)と、ソデ体まわりのアップ(右/下)。

800系では全体がゆるやかなカーブになっていたソデ体は、N700S系8000番台ではひじ掛け下で一気に曲げるスタイルに。着座スペースの拡大も図ったと思われ、800系から細かい改良が見られるのが面白いところです。

3号車 指定席

※ 車いす対応席・スペースは次ページで紹介(予定)です。

続いて3号車の全景。こちらは「唐草」がコンセプトの、ベージュ系を基調にした車内です。

この3号車は武雄温泉寄りに車いす対応区画があり、最寄りのデッキ・客室の仕切扉が幅広になっているほか、荷物スペースが長崎寄りに2か所となっているなど、他の号車と多少構造が異なるのが特徴です。

3号車を反対から見た様子(左/上)と、天井の様子(右/下)。

天井の構造はN700S系と同一ですが、この8000番台ではやや暖色寄りの照明が採用されています。

3号車 指定席 座席

3号車の一般席区画(左/上)と、荷物スペース直後の区画(右/下)。

そういえば荷物スペース直後の区画にはマガジンポケットがありませんが、いまのところ車内誌のたぐいがない西九州新幹線では問題ないということなのでしょうか…。

座席を正面から見た様子(左/上)と、座席肩部の握り手のアップ(右/下)。

センターアームレスト

センターアームレストのアップ(左/上)と、インアームテーブルを展開した様子(右/下)。

コンセントはアームレストの下部分に設置されており、1席1口が確保されています。リクライニングボタンはかなり手前側にあり、実のところの使い勝手はそう大したものではありません。

ラゲッジスペース

各車両には大型の荷物スペースが設けられています。全景(左/上)と、ラゲッジスペースのアップ(右/下)。

ラゲッジスペースはユニット式となっており、このユニット内に荷物を置くぶんには予約不要です。他方、座席とユニットの間は予約が必要な「特大荷物スペースつき座席」用の場所なので、間違えないよう注意しましょう。

荷物置き場のユニットと座席間にある「特大荷物スペース」の表記(左/上)と、3号車の荷物スペース(右/下)。

3号車は武雄温泉寄りが車いすスペースになっていることから、ラゲッジスペースは長崎寄りに2か所の設置となっています。

その他の車内設備

座席番号の表記(左/上)と、座席背面の様子(右/下)。

このページは3ページ構成です。以後製作中です。

目次

1~3号車 指定席
・3号車 車いす対応席・トイレ・洗面所
・4~6号車 自由席

概説

デビュー年:2020年

西九州新幹線向けのN700S系として2020年にデビュー。

西九州新幹線の専用車両ということで内外とも「九州らしいオンリーワンの車両」をデザインコンセプトにしている。編成は6両で長崎寄りが1号車。1~3号車までは指定席想定の2+2配置、4~6号車は自由席での運用を想定した2+3配置と、内装が異なるのが特徴。

ベースは既に登場していた東海道・山陽新幹線用のN700S系だが、本番台は6両編成を組む関係でユニットは3両1組となっている(他N700系は4両1組)。また、東海道新幹線への乗り入れを想定していないため、JR西日本・九州が保有するN700系7000・8000番台と同じく、車体傾斜装置は省略された。

西九州新幹線「かもめ」の開業と同時に運用を開始し、現在は武雄温泉~長崎の全線で運用されている。基本的に1~3号車は指定席であるが、早朝・深夜の新大村~長崎の区間便は全車自由席。

このページは3ページ構成です。以後製作中です。