【リメイク】700系新幹線「C編成」

目次

グリーン車
普通車
トイレ・洗面台※ 製作中

700系新幹線「C編成」

300系に対しては「車内環境の改善」、500系に対しては「コストパフォーマンスの改善」を目指し、JR東海とJR西日本が共同開発して登場したのが、この700系です。

JR東海だけで61編成976両が増備され、2000年代初頭の「のぞみ」の“顔”として君臨しました。N700系のデビュー後は「ひかり」「こだま」に転身し、同時に廃車がスタート。2020年3月で完全引退となっています。

さて、この700系は走行機器や保守性に当時最先端の技術を取り入れながらも、ところどころ“保守的”な一面が垣間見えるのが面白い車両でした。さっそく見ていきましょう。

モケット

(左)座席 (中)カーペット (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2019年8月26日

撮影場所:「こだま」696号 名古屋駅 車内

備考

特にありません。

8~10号車 グリーン車

グリーン車の全景。写真は禁煙の8~9号車です。

基本的な見付は300系から大差ありませんが、照明のカバーに円形抜きを施した半間接照明を初めて採用しているのが特徴です。500系以前より車内は明るく、どちらかというと(重厚というより)カジュアルな雰囲気の車内でした。

比較用に喫煙の10号車(左)と、車内を後ろから見た様子です。

喫煙車には、荷物棚の上に空気清浄機、デッキと客室の仕切部分に電気集じん機(→後述)がそれぞれあるのが禁煙車との違いです。

座席

座席の様子。写真(左/上)が禁煙席、(右/下)が喫煙席の様子となります。

座席の基本的な構造は300系から大きく変わっていませんが、付帯設備ではシートバックテーブルが100系ぶりに復活しました。付帯設備はこのほか読書灯・インアームテーブル・フットレストとなっており、当時の新幹線車両としては標準的な仕様となっています。

また、リクライニングは(300系・500系のボタン式ではなく)ひじ掛けのレバー式を採用していますが、これも100系以来の復活です。謎に保守的な座席ですが、これも700系“らしさ”かもしれません。

車端部の座席。例によって、禁煙席(左/上)と喫煙席(右/下)です。

掛け心地は、やや固めのクッションにゆったりとした横幅、加えて大型のヘッドレストによる個人のテリトリーの明確化と、無難に快適です。…というか無難すぎてあまり印象に残らなかったというのが率直なところです(苦笑)。

もっとも、東海道新幹線のメインターゲットは出張利用のサラリーマン。「無難」なのが、かえって理にかなっていたのかもしれません。

C25編成以降の、車端部のテーブル・コンセントのアップ。テーブル収納時(左/上)と展開時(右/下)です。

コンセントは一口のみなので、満席時は譲りあって使用する必要がありました。テーブルは引き出し式となっており、C25編成以降は写真のような大型テーブルとなっています(→「備考」も参照)

【備考:C24編成以前のテーブル事情】

コンセントのないC24以前の編成も、車端部のテーブルは写真のような引き出し式です。

ただ、テーブルはC25編成より小さく(ほぼ半分程度)、それゆえテーブルが収納されているユニットもやや小ぶりでした。

テーブル2種

シートバックテーブル(左/上)とインアームテーブル(右/下)のそれぞれアップ。

インアームテーブルは、700系から片面のみとなりました。これは「テーブルが2種類あるので使い分けてね」という割り切りかもしれませんが、実際のところはインアームテーブルのメンテナンスの手間を考慮した要素もありそうに感じます(→「備考」も参照)。

【余談:インアームテーブルは実は“脆い”?】

その昔、300系の最末期時代はインアームテーブルの中央が微妙にヘコんでしまい、使いにくくなっているのが散見されました。

これは単なる私の推測(というか妄想)でしかありませんが、両面のインアームテーブルは500系を最後に採用されていないあたりからも、“メンテに手間がかかった”というのはあながち間違ってはいないように感じます。

座席まわりの設備

座席を正面から見た様子(左/上)と、座席肩部の握り手(右/下)の様子。

握り手はC25編成以降からの設置で、それ以前の編成では設置されていませんでした。

フットレストを一番下まで下げた状態(左/上)と、参考までに座席を回転させたときの様子(右/下)。

禁煙車と喫煙車の違い:ひじ掛け部分

以後、禁煙車と喫煙車の設備の違いを軽くご紹介。まずはグリーン車のセンターアームレストです。禁煙車(左/上)と、喫煙車(右/下)。

喫煙車には、見ての通り引き出し式の灰皿がありました。このデザインも何だか古めかしい、1990年代初頭の車両に見られるようなデザインに感じます。

禁煙車と喫煙車の違い:デッキ・客室仕切扉部分

続いて、デッキと客室の仕切り部分。禁煙車(左/上)と、喫煙車(右/下)です。

喫煙車には、LED表示装置の左右に電気集塵器が配されています。特に満席時は、車内がかなり煙たくなることを見越した設備なのでしょう(笑)。

その他の車内全般

天井(左/上)と通路(右/下)の様子。

照明のルーバーに、一定間隔で円形の切り抜きを配すことで半間接照明としています。全体的に照度を上げながらも、電球色の照明として高級感との両立を図っているように感じます。

空調の吹き出し口(左/上)と荷物棚のアップ(右/下)。

読書灯を点灯した状態(左/上)と、窓まわりの様子(右/下)。

窓のかまち部分(窓枠の下)は幅を広げて簡易なテーブルとなっていますが、座席のひじかけはその直下にあります。

要するに、窓側のひじ掛けを使おうとすると「窓枠とひじ掛けの間にいわば“腕を押し込む”」ような恰好になってしまい、使い勝手はあまり良くありませんでした(→「備考」も参照)

【備考:N700系では改善されました】

なお、後継のN700系のグリーン車では(単に窓が小さくなっただけと言ってしまえばそれまでなのですが)これが改善されています。

おまけ

デッキ側から見たグリーン車の入り口(左/上)と、走行中のグリーン車車内の動画(右/下)。

動画は、取材時に車内が私だけの“貸し切り”だったので失敬して撮影したものです。写真では伝わり切らない、700系のグリーン車の車内をぜひご覧ください。

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概説

デビュー年:1997年

コストパフォーマンスと快適性の両立を目指し、300・500系の次の世代を担う標準車両としてJR東海・西日本が共同開発。1997年に試作車が登場し、1999年より営業運行がスタートした。

車体は300系と同様のアルミ合金製だが、セミアクティブサスペンションなどの500系の技術も取り入れて乗り心地を改良している。16両の固定編成で、300系の3両1組のユニットをさらに見直し、4両1組としたのが特徴。編成は16両で、博多寄りが1号車。グリーン車は8・9・10号車に連結されている。

16両編成の700系のうち、JR東海が保有していた編成は「C編成」、JR西日本の保有編成は「B編成」と名付けられていたが、運用上の区分は基本的になく、共通運用されていた。2004年12月までに、C編成は61編成976両が投入されている。

後継となるN700系の登場以降、徐々に廃車が進行。2012年3月に定期「のぞみ」運用がなくなり、2017年3月で「ひかり」からも撤退。再末期は一部の「こだま」で運用されるのみとなっていた。

2020年3月改正で完全に引退。引退後、名古屋のリニア・鉄道館に量産先行車だったC1編成の先頭車(723-9001)が保存されたが、量産車は全車解体されて現存しない。

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