紀州鉄道KR200形

紀州鉄道KR200形

和歌山県の御坊~西御坊を結ぶ紀州鉄道。2025年現在は2両の気動車が同社の運行を担っており、当ページではそのうちの1両であるKR205形を取り上げます。

総路線長はわずか2.7kmであり、メディアなどで「日本一短い私鉄」として扱われることもある紀州鉄道の本業は、実は不動産やリゾート開発。鉄道事業はあくまで社名に“鉄道”をつけるための側面が大きいらしく、和歌山県の路線を運行していながら本社は東京・日本橋という、全国的にも類を見ないタイプの鉄道会社です。

前置きが長くなりましたが、写真は御坊駅でのカット。信楽高原鉄道からの譲受車で、塗色は紀州鉄道への移籍後に赤とクリームのツートンカラーに変更されています。

モケット

(左)座席 (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日時:2025年11月

場所:紀州鉄道 御坊駅 車内

備考

取材時に、乗務員の方より「カーテンの展開は控えるように」との指示があったため、当サイト掲載の写真はカーテン類に直接触れずに撮影しています。

普通車 車内

車内に入ります。

信楽高原鉄道の最末期そのままで、紀州鉄道への移籍後に変わった点といえばカーテンが換装されている程度です。

座席

座席(左/上)と、座面部分のアップ(右/下)。

紀州鉄道としての乗車時間を考えれば、かけ心地は必要にして十分といったところでしょうか。モケットの波うちはやや見られるものの、内部のスプリングは思った以上にしっかりしていた印象でした。

長~いロングシートですが、私が調べた書籍の情報だとKR200形(の前身のSKR200形)は座席定員48名とのことでした。…ということは、ロングシート片側の定員は実に24人がけということになります。

優先座席

優先座席の全景(左/上)と、窓のシール(右/下)。

御坊寄りの最前部分は「優先座席」となっており、窓上にもその旨のシールが貼られていました。シールは紀州鉄道オリジナルのデザインですが、西日本の鉄道各社のピクトグラムと共通の内容になっているようです。

車内設備

天井(左/上)と荷物棚(右/下)のアップ。

KR200形(というか前身のSKR200形)はいわゆるレールバスの設計をベースに開発されたため、随所にバスと同一の部品が使われているのが特徴です。この写真からだけでも、カバーつきの照明・換気扇の丸い吹き出し口などに、“バスの要素”を垣間見ることができます。

座席下(左/上)と、つり革・窓まわりの様子(右/下)。

窓は下側が横引き式の開閉可能窓となっており、観光バスなどの窓と同じ部品のようです。鉄道車両での採用例はかなり珍しいように感じます。

その他の車内設備

運転席直後の様子(左/上)と、運賃箱まわりのアップ(右/下)。

「運賃箱はあるのに整理券発行機がない」というのも紀州鉄道の特徴で、支払時は乗車駅を運転士に自己申告します(→「備考」も参照)。運賃箱は両替式なので、事前に両替するなどしてジャストの金額を用意しておきましょう。

【備考:紀州鉄道の乗り方事情】

紀州鉄道は、途中の紀伊御坊駅を除いてすべて無人駅または切符の販売が行われていません。そのため、乗車時は基本的にこの運賃箱を使用することになります。

なお、支払い方法はいずれも現金のみであり、ICOCAやSuicaなどの交通系ICカード、クレジットカード、paypayなどには非対応です。

(参考)
御坊駅:JRの改札係員に「紀州鉄道に乗ります」と告げ、紀州鉄道を降りるときに支払う
紀伊御坊駅:事前にきっぷを購入して下車時に運転士に渡す
その他の駅:下車時に運賃箱で現金支払

乗降用ドア(左/上)と、「自動扉」の表記のアップ(右/下)。

ドアもバスの部品・ドアエンジンが採用されています。変わったところでは、ドア脇にある「業務用ブザー」。ワンマン運転ではおよそ使わないシロモノですが、現在まで残っていました。

概説

デビュー年:2017年4月15日(紀州鉄道のデビュー)

老朽化の著しかったキテツ1形の置換を目的として2017年にデビュー。

信楽高原鉄道で使用されていたSKR200形SKR205号車を譲り受けたもので、紀州鉄道ではKR205号車を名乗っている。車内はカーテンが換装されたほかは、ほぼ信楽高原鉄道時代のまま使用中。

紀州鉄道への移籍時は、信楽高原鉄道の塗色をそのまま流用していたが、2021年3月に赤とクリームのツートンカラーに変更されている。2025年現在、紀州鉄道全線で運用中。

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