キハ47形「四国(徳島)」


松山・徳島の地域輸送を長年支えてきたJR四国のキハ40系列。すでに2025年以降の全廃が決まっており、徳島地区の鳴門線・高徳線・牟岐線(一部)が現在の、そして最後の活躍の場となっています。
写真は鳴門線・鳴門駅でのカット(→「備考」も参照)。では、さっそく車内を見ていきましょう。
【備考:鳴門線のキハ40系列事情】
鳴門線ではキハ40系列のほか、JR四国が設計・開発した新型の1500形も運用されています。
どちらが来るかは列車番号で識別でき、列車番号が900番台+Dはキハ40系列、4900番台+Dであれば1500形の運用になります。
列車番号入りの時刻表は、JR西日本の「>>おでかけネット」→「区間時刻表」で確認できるので、乗車・撮影時の参考にされてみてください(「おでかけネット 鳴門線 下り/上り」などと検索しても可)。
※もっとも当日の運行状況その他で使用車両が急に変わることもあるので、あくまで目安程度にお考えください。
モケット



(左)座席 (中)カーテン (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2025年2月
撮影場所:鳴門線 鳴門駅 車内
備考
説明の簡略化のため、基本構造は同一の「キハ40・47・48形」を総称して「キハ40系列」と呼称する場合があります。
車内全景

車内の全景。
JR四国のキハ47形は、デビュー当時から座席モケット換装・冷房化改造を除いてほとんど変わっていません。ご覧のように、デビュー時からの雰囲気をよく残した車内を現在まで残しています。
クロスシート


ボックスシートの様子。(左/上)が全景、(右/下)が座席単体のアップです。
ボックス席自体はほかのキハ40形でも見かけるタイプですが、経年のせいか近年は座席の”色あせ”がかなり進行しているようです。見てのとおり色合いが座席ごと・座面と背もたれで異なる‟つぎはぎ”状態が散見されました。
ドア脇 – ロングシート


ドア脇のロングシートは、スペースの関係で2人がけ(左/上)と3人がけ(右/下)が存在します。
ボックスシートと同じく、こちらも座席の色合いがだいぶ異なるのはもはや‟仕様”のようです(苦笑)。私が取材した編成では、鳴門寄りの車両がきれいめ(左/上)、徳島寄りの車両がつぎはぎ(右/下)でした。車両による個体差なのかもしれません。
車端部


車端部の様子。
車端部は、トイレ向かいを除いてロングシートとなっています。


車端部のボックス席を横から見た様子(左/上)と、貫通路扉わきの区画のアップ(右/下)。
一見おなじボックス席に見えますが、よく見ると貫通扉の関係で壁際の座席がやや狭くなっているのがお分かりいただけるかと思います(→「備考」も参照)。
【備考:JR四国キハ47形のモケット事情】
上の項の写真(左/上)・(右/下)は、あえて別の車両で撮影したものを比較用に載せています。
恐らくもとの色合いは(右/下)で、年季が入ってくると(左/上)のような色合いになる…ということのようです(苦笑)。


ボックス席とロングシートの間にあるゴミ箱(左/上)と、トイレを外から見た様子(右/下)。
ゴミ箱は、ロングシート1人分を潰したような位置に置いてあります。ゴミ箱は特に固定されておらず、そこそこ揺れるキハ47形で大丈夫なのか不安でしたが、乗車中に観察していた限りではとくに問題なさそうでした。
運転台直後 – ロングシート


運転台直後の座席は5人がけのロングシートとなっており(左/上)、座席のアップが(右/下)となります。
ロングシートは見ての通り、2人がけと3人がけを並べたもの。これはキハ47形共通の仕様です。
車内設備


天井を見上げた様子(左/上)と、扇風機のアップ(右/下)。
JR四国のキハ47形は、国鉄民営化後ほどなく冷房化改造が施行されています。同社に所属するキハ40系列の冷房は独立機関式の「FTUR-300」が搭載されており、天井に吹出口のダクトが2本通る構造が特徴です(→「備考」も参照)。
【備考:キハ40系列の冷房装置事情】
キハ40系列は、国鉄の民営化前後から全国的に順次冷房化改造が進められていました。当初は、冷房専用のエンジンを追設する独立機関式が主流で、当ページで取り上げるキハ47形もこの方式を採用しています。
この方式は、走行状況によらず冷房が一定・改造が比較的簡単などのメリットがありますが、他方で冷房専用のエンジンを搭載するため相対的に燃費が悪い・整備が煩雑などの弱点がありました。
これを受けて、1990年代中盤からは、走行用エンジンの出力をいくらか冷房にまわす機関直結式での冷房化改造(AU26J-Aなど)に移行しています。
(さらに備考)
機関直結式で冷房化改造を受けた車両は、同時に走行用エンジンもより高性能のモノに交換されている例がほとんどでした。これにより、従来の走行性能を維持しつつ空調もまかなえるというわけです。
余談ですが、JR西日本では一旦独立機関式で冷房化→エンジン換装などの延命工事時に空調も機関直結化と、冷房関係の改造を2回受けた車両も存在しました。


網棚(左/上)と、窓間のコートかけ・扇風機スイッチなど(右/下)。


窓まわり(左/上)と通路の様子(右/下)。
座席モケットの色あせは目につきやすいところですが、床のリノリウムやひじ掛けなどもだいぶ年季が入っているように見受けられます。
ドア


乗降用ドア(左/上)と、入口部分のステップ(右/下)。
キハ47形はキハ40系列の中で、唯一両開きのドアを備えています。
トイレ


トイレの全景(左/上)と、洗面台・便器まわりのアップ(右/下)。
トイレットペーパー受けは予備ロールが入るタイプに交換されていますが、それ以外はデビュー当時からのままのようです。見た目のわりに臭いは少ない(←失礼)ものの、どうにも各所の汚れが目立つように感じずにはいられませんでした。
概説
デビュー年:1977年(車両)
1950年代に製造されたキハ10系を初めとする通勤用気動車の後継として1977年にデビュー。1982年までに888両が製造され、日本全国の非電化区間で主に普通列車として用いられた。
基本は両運転台のキハ40系列、片運転台のキハ48形、両開きの乗降ドアを備えたキハ47系に大別されるが、製造後、各地へ転配されたことから必要に応じた改造を受ける車両も多く、番台区分は多岐に渡る。
JR四国のキハ40系列は、キハ47形・キハ40形2000番台が存在。国鉄時代の1980~1981年にかけて順次配備され、冷房化改造(~1988年)などを経て四国全線で運用された。1990年代中盤までに松山・徳島に配置が集約され、以後は同エリアでの運用が主体となっている。
2010年から後継の1500形による置換が開始され、松山地区では2016年に完全引退。以後は徳島地区の高徳線・鳴門線・牟岐線(徳島~桑野のみ)で運用されているが、徐々に数を減らしつつある。