東武6050系(野岩鉄道6050系・会津鉄道6050系)

東武6050系(野岩鉄道6050系・会津鉄道6050系)

東武鉄道の日光・鬼怒川地域というと特急「スペーシア」や「リバティ」が有名ですが、同エリアのローカル輸送を支えていたのがこの東武6050系です。

6050系は東武のほか、野岩鉄道・会津鉄道が同一仕様・内装の編成を保有。これらの編成は全て共通に運用され、南栗橋~東武日光・新藤原・会津田島を基本に活躍しました(→「備考」も参照)

2017年から廃車が始まり、22024年現在は野岩鉄道所有の編成鬼怒川温泉~会津高原尾瀬口の線内完結列車で運用されるのみとなっています。

【備考:6050系は東武鉄道のマルチプレイヤーだった】

6050系は南栗橋~東武日光・新藤原・会津田島のほか、

区間快速 浅草~東武日光・会津田島(2017年4月まで)
東武宇都宮線 普通列車(2001~2007年)
「スノーパル」(1986~2002年)
「尾瀬夜行」(1987~2001年)
快速急行「だいや」「おじか」(~1991年7月)
※ 浅草~東武日光・会津田島。同区間の特急を補完する「きりふり」号に近い列車


で運用された実績があります。種別も区間も幅広く、まさに‟マルチプレイヤー”な活躍と言えそうです。

モケット

(左)普通車 (中)カーテン (右)床

撮影日時・場所

撮影日:2017年9月8日

撮影場所:会津鉄道 会津荒海駅 車内

備考

東武・野岩鉄道・会津鉄道6050系それぞれ所属会社が異なるのみで内装は同一のため、当サイトでは一括して紹介します。

普通車 車内

車内の全景。

一応は、(ドア脇にロングシートを備えた)セミクロスシート」の分類に入るであろう車内ですが、赤系のモケットにカバー付き照明、つり革はドア前のみと、妙にゴージャスな仕上がりに感じます。

同車はローカル輸送のほかに‟長距離利用”も想定して設計されたそうで、いずれにしても東武の車両にしては珍しい内装と言えるでしょう。

座席

ボックス席(左/上)と、座席を正面から見た様子(右/下)。

座面と背もたれのクッションは、窓側と通路側で独立。背もたれにも角度が付けられているため、座り心地は存外悪くありません。

単なるボックス席”と言ってしまえば元も子もありませんが、私が会津田島~下今市(※取材当時)まで乗り通した時もそれほど疲れを感じませんでした。

ひじ掛け部分のアップ(左/上)と、窓際のテーブルのアップ(右/下)。

ひじ掛け先端部分には‟何かを撤去したような跡”がありますが、これはかつての灰皿。1993年以前は、新栃木以北のローカル区間に限り、車内で喫煙可能だった頃の名残です(~1993年3月)。

他方のテーブルは折りたたみ式。収納時は、テーブル先端にあるボタンを押すと元に戻ります。

ドア脇のロングシート。

一般席(左/上)と優先席(右/下)が存在します。優先席のモケットは、昔のシルバーシート時代からそのまま使用しているようです(→後述)

車端部 優先席

浅草寄り先頭車の車端部の様子。浅草寄りの車両は車端部が全て優先席となっており、全景(左/上)と座席のアップ(右/下)になります。

つり革は近年黄色いものに交換されており、この区画のみ三角形のつり革となっていました。

非常用ドアコック(左/上)と、優先席周りのピクトグラム類の様子(右/下)。

よく見ると、妻面に「お年寄り、からだの不自由な方の優先席」のプレートが。シルバーシートのロゴ、こんなところで健在でした(笑)。

運転台直後の区画

運転台直後の全景(左/上)と、乗務員室上の行先表示幕(右/下)。

乗務員室の行先表示幕は、見た限り外側の表示と連動して動くようです(→「備考」も参照)

【備考:なぜ車内に行先表示幕があるのか?】

2両で1編成の6050系は、かつて異なる行先の列車を併結して4・6両編成とし、途中駅で分割する「多層建て列車」に充当されることがありました。この行先表示幕は、その際の誤乗防止に設置されているものです。

2024年現在は分割併合がある運用はないものの、車内の行先表示幕は現役で稼働していました。現代よく見かけるような、LED表示装置やLCDモニタがなかった頃ならではの設備と言えそうです。

車内設備

天井(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。

照明はカバー付きですが、これはスキー客が多い(≒背の高い荷物が多い)沿線柄、蛍光灯の破損防止が目的とのこと。てっきり高級感の演出かと思いましたが、思った以上に切実な理由だったようです(笑)。

座席番号の表記(左/上)と、窓間のコートかけ(右/下)。

コートかけは、国鉄型の車両でもよく見かけるデザインです。共通の部品なのかもしれません。

フリースペース

東武日光・会津田島寄り先頭車の車端部(左/上)と、「くずもの入れ」のアップ。

この区画はフリースペースとなっています。フリースペース上には、なぜか荷物棚だけがありますねぇ(苦笑)。

トイレ

トイレ内部の全景(左/上)と、洗面台・鏡まわりの様子(右/下)。

無機質な銀色の便器足元のペダルを踏む流し台など、「列車便所」の風情を感じるレトロさです。トイレ自体は、至極清潔に維持されていました。

概説

デビュー年:1985年(6050系としてのデビュー年)

1985年に6000系の車体更新によりデビュー。

1960年代にデビューした6000系の車体更新を行って6050系としたグループと、完全に6050系として新製されたグループが存在するほか、直通運転先の野岩鉄道・会津鉄道が保有する6050系が存在する。

2012年11月に、2両編成2本が「スカイツリートレイン」に改修された。これらの編成は東武634型を名乗るが、これはスカイツリーの高さが634mであることに由来する。

2017年から廃車が始まり、2022年3月改正をもって東武鉄道(スカイツリートレインを除く)・会津鉄道所有車は引退した。2024年現在は、野岩鉄道所有の編成が鬼怒川温泉~会津高原尾瀬口のローカル輸送で運用されている。

タイトルとURLをコピーしました