目次
・スイート(展望席)
・スイート(メゾネット)・デラックス
・ツイン
・コンパート
・ロビーカー・共用設備
・食堂車・食事の写真・その他
E26系「カシオペア」 – カシオペアスイート(展望席)
「北斗星」のさらなる高級路線化と近代化を狙って、先に登場していた「夢空間」の要素も取り入れつつ、次世代の寝台特急として1997年にデビューしたのがこのE26系です。
登場後は上野~札幌を結ぶ新設の寝台特急「カシオペア」に投入。1編成しかないために隔日運行となっており、検査期間中は運休となります。そうでなくても大人気だっただけに、「プラチナチケット」とも称されるほど「乗れない」列車でした。
北海道新幹線の開業に伴って、2016年で寝台特急「カシオペア」としての運行は終了。現在、E26系は「カシオペアクルーズ」として旅行会社のツアーで使用されています。当ページでは、そんなE26系の「カシオペア」時代の様子を見ていきましょう。
写真は上野~青森間を牽引していたEF510 500番台。この日はたまたま「北斗星」カラーのEF510が牽引していましたが、カシオペア色の機関車も存在しました。
ドア脇の様子(左)と、「カシオペア」のロゴ(右)。行先表示はLED式です(→補足)。
【補足】
寝台特急「カシオペア」時代は、一貫して上野~札幌で運用されていたE26系ですが、行先表示のデータには「北斗星」「エルム」の列車名も入っているようです。
また、行先も「小樽」「旭川」「トマム」などのほか、「網走」「稚内」「釧路」などが入っているとのこと。デビュー当時は上野~札幌に限らず、より広範囲での運用が想定されていたのかもしれません。
(※自動放送が対応しているかは不明)
撮影日時・場所
撮影日:2013年12月
撮影場所:上野駅 「カシオペア」号 車内
備考
・特にありません。
1号車 カシオペアスイート(展望室) 入口
ではさっそく室内へ。通路(左)と「展望スイート」への入口(右)の様子です。
運転台以外では珍しい「通路突き当たりの扉」。その先に、1室だけのプレミア空間が存在します。
1号車 カシオペアスイート(展望室) 車内
「カシオペアスイート」の展望室に入ります。車両の後部をいっぱいに使った室内はとても広々としており、一見では「列車の中」を全く感じさせない作りに感じます。
最後尾の3面ガラスには、展望室ならではの180度の眺望が展開。これはソファに座って眺めるもよし、あるいはベッドに横たわってやや遠巻きに臨むもよし。いずれにしても、この広大な眺望を一晩独り占めできるのは、他でもない「カシオペアスイート(展望室)の特権」です。
ちなみに寝台特急「カシオペア」時代、眺望が独り占めできるのは下り札幌行き(※青森~函館間を除く)のみで、上り札幌行きでは(進行方向が変わる青森~函館間を除いて)常に機関車が目の前にいる「機関車ビュー」でした。
客室を反対から見た様子(左/上)と、窓側のソファ(右/下)の様子。客室内は間接照明となっており、明るすぎない落ち着いた雰囲気です。
ベッド周り
ベッドのアップ。ベッド幅は85cmで、サイズ感としては所謂シングルベッドのそれに近いです。クッションは(シティホテルのそれと比較して)固めで、横になった時の沈み込みは浅めに感じました。
ベッド上には「カシオペア」のロゴ入りのアメニティキット(後述)と浴衣(紫色)が備わります。
ベッド上の窓まわり(左/上)とベッドサイドパネルのアップ(右/下)。室内照明やアラームなどは、全てこのパネルから操作できます。
リビングスペース
リビングスペースの全景(左/上)とソファ周りのアップ(右/下)。ソファはハの字型で、窓際には展開式のテーブルが設けられています。
リビングスペース脇には、食堂直結のインターホンとテレビ(※現在は撤去済)が(左/上)。テレビは地上波放送のほか、マップを表示して現在の走行位置を表示することもできました(後述)。
(右/下)はリビングスペースの天井の様子。こちらは半間接照明となっており、手元の明るさを確保しつつ高級感を演出しているように感じます。
リビングスペース部分のパネルの様子(左/上)。室内灯やダウンライトの操作のほか、「車内販売員がまいりました」のランプが備わっているのが特徴です。全室個室ゆえ、車内販売が来ても気づきにくい「カシオペア」ならではの仕様で、ランプ点灯とともに「ピピピピ」というアラームで車内販売を知らせていました(→補足)。
また、(右/下)はリビングスペースとベッド間のカーテンを引いた様子。遮光カーテンとなっており、翌朝日が昇ってからもカーテンを引いたベッド側は十分睡眠できる暗さが確保できました。
【補足:私のどうでもいい思い出話】
この「車内販売員がまいりました」ランプですが、私が初めて乗車した時の状況は
・ランプ点灯とともに甲高いピピピピというアラームが鳴るが、初乗車中では何のブザーか分からず普通に焦る
・個室ドアの防音は完全ではないので、廊下を歩く車内販売員の声が個室内から聞こえ、ブザーにひとしきり驚いたあとランプに目をやってようやく状況を理解する
でした。ブザーではなく、人工音声などで「車内販売がまいりました」とアナウンスしても良かったように感じます。
(撤去済)テレビ
かつて「カシオペア」の各個室内にはご覧のようなテレビが設けられており、次駅案内(左/上)・リアルタイム走行位置(右/下)、その他一部地上波放送などが視聴できました。
この案内表示は1997年のデビュー当時のシステムだったようで、ご覧の通り解像度は低め&表示もカクカクと“時代を感じる仕様”です。なお「カシオペアクルーズ」への転用時にこのテレビは撤去され、現在はテレビの操作パネル部分にコンセントが設置されているとのこと。
収納スペース・ゴミ箱ほか
ベッドの向かいにはクローゼット、ゴミ箱、鏡、マガジンラックが備わります(左/上)。クローゼットの奥行きはコート一枚程度が限界ですが…(苦笑)。
鏡のアップ(左/上)。この鏡は外からの目隠しを兼ねており、鏡を横に引くと丸窓が(右/下)。「自然光の取り入れ」「鏡により室内を視覚上広く見せる」どちらも可能で、よく考えられた設備だなと感じます。
ウェルカムドリンク・モーニング
乗車後のウェルカムドリンク(左/上)と、翌朝のモーニングコーヒー(右/下)の様子。ウェルカムドリンクの内容は「小樽の白ワイン」「ウィスキー」「水(水割り用)」で、「北斗星」のロイヤルで提供されるものと同一です。
他方、モーニングコーヒーはコーヒーに加えて紅茶が選択できたほか、朝刊のサービスもありました。上り札幌行きで配られる朝刊は、写真では分かりにくいですが福島版です。新聞を福島駅で積み込んでいたのでしょう。
アメニティキット
リネン類の全景(左/上)とアメニティキットのアップ(右/下)。
アメニティキットに含まれるヘアトニック、ヘアリキッド、アフターシェイブローションはいずれも資生堂アウスレーゼのもの。また、ボディーソープ、リンスインシャンプー、専科の洗顔フォーム、パーフェクトホイップに至るまで、(歯ブラシとヘアブラシ以外は)全てアウスレーゼと資生堂で統一した高級品が提供されていました。
トイレ・洗面台
トイレと洗面台の様子。洗面台部分は通常は収納されており(左/上)、必要な時だけ展開して使う形になります(右/下)。
カミソリ用コンセント(左/上)とドライヤーの様子(右/下)。
ちなみに、かつてはこのカミソリ用コンセントが個室内で唯一のコンセントでした。1997年デビューから、すでに20年以上が経過した現在でも十分洗練された雰囲気の「カシオペア」ですが、こういった点はさすがに歴史の長さを感じるポイントです。
シャワー
変わってシャワールームの全景(左/上)。シャワー使用時は(右/下)のような保護棒を展開します。
シャワー床部分(左/上)と、シャワー設備類のアップ(右/下)。
お湯は18分間使うことができます。2人で18分は若干短い感じもしますが、カウンターが動くのは水またはお湯を出している間だけ。よほど出しっぱなしにしない限り、意外に事足りました。
切符類
乗車した証拠として(笑)切符の画像を紹介します。食堂車の予約券は、横長の120mm切符で発券されました。
このページは6ページ構成です。次は>>スイート(メゾネット)編です。
目次
・スイート(展望席)
・スイート(メゾネット)・デラックス
・ツイン
・コンパート
・ロビーカー・共用設備
・食堂車・食事の写真・その他
概説
デビュー年:1997年3月
上野~札幌間で運行されていた「北斗星」の近代化を図って1997年にデビュー。「快適空間を実現した寝台列車」をコンセプトに開発された。全車両がA寝台個室で構成されている。編成は12両。
長らく上野~札幌の「カシオペア」で運行されていたが、北海道新幹線の開業準備工事に伴って2016年3月で「カシオペア」の運行は終了した。現在は旅行会社のツアー「カシオペアクルーズ」で使用されている。