14系・24系「はまなす」 ドリームカー・自由席

14系・24系「はまなす」カーペットカーB寝台/普通車

札幌駅でのカットを紹介。上り青森行きの場合、札幌駅の入線時刻は21:38頃です。出発まで時間的余裕があったためか、ドア付近で別れを惜しむ人、飲み物(主にビール)を調達に走る人、記念撮影する人などがホーム上をまばらに行き交っていました。

昔はこれが、ホームにおける「夜汽車」の日常的な光景だったのでしょう。

撮影日時・場所

撮影日:2011年8月・2016年2月

撮影場所:青森駅 「はまなす」号 車内

備考

特にありません。

5・6号車 ドリームカー(普通車指定席)

「はまなす」の普通車指定席は、別項で紹介した「カーペットカー」のほかに「ドリームカー」があります。

車内に入ります。座席は特急車(JR北海道キハ183系)の座席交換時に余剰となったグリーン車の座席が転用されています。どことなく車内が広く見えるのは、座席の高さが普通車のそれより若干低いからでしょうか。

一見は単なる「座席車」ですが、通路はカーペット敷き、荷物棚を交換して読書灯付きにするなど、全体的に“夜行列車仕様”なのが面白いところです。

ドリームカー(普通車指定席) 座席

座席の様子。一般区画(左/上)と車端部区画(右/下)です。

この座席、シルエットに見覚えのある方も多いと思いますが、国鉄時代の特急グリーン車で“定番”だった「R27」というモデルの座席です。さすがに作りが古いのでリクライニングは6段階(フリーストップではない)ですが、写真のようにかなり深くまで倒れます。

また、リクライニングと同時に座面も少し上がるため、フルリクライニングした時の感覚は「完全に横になった感覚」に近く、「普通車指定席」としては十分すぎる環境でした。付帯設備はフットレスト、サイドテーブル、読書灯になります。

末期はサイドテーブルを支える部分にガタが来て、テーブルが固定できない個体も散見されました(右/下)。元はといえば1970年代から使われてきた座席なので、経年的に無理が来ていたのかもしれません。

背もたれのアップ(左/上)とフットレスト(右/下)の様子。

モケット・詰め物とも丁寧にメンテナンスされていたようで、ヘタった着座感は全く感じませんでした。また、フットレストは3段階で高さ調節ができます。

読書灯の様子(左/上)と、女性専用席の枕カバーの様子(右/下)。

「はまなす」運用時、5号車の1~3列目までの座席は「女性専用席(女性及び同伴の小学生以下の人が利用可)となっており、枕カバーにも「女性席」の刺繍が入ったものが使われていました。

ドリームカー フリースペース

ドリームカーの車端部には見ての通り、スツールとテーブルを設けたフリースペースが設けられています。

元々は喫煙スペースとして使用されていたため、テーブル中央にはその跡が残っています。

普通車自由席 ①

最後に自由席の車内を見ていきます。自由席は、乗車券と急行券のみで利用でき、「はまなす」の中ではもっとも廉価で利用できるクラスでした。

座席は14系デビュー当初からの「R51」が、最後まで頑張っていました。別名を「簡易リクライニングシート」といい、こちらは国鉄時代の特急普通車“定番”だった座席になります。

「はまなす」の普通車自由席には大きく分けて2つの座席が存在しますが、まずは比較的メジャーな方から。R51をベースに、ひじ掛けのかさ上げ、詰め物の変更などが施された座席です。

詰め物の変更に伴い、座面、背もたれがバケット構造のような形に成形されているものの、末期はそれも崩れてヘナヘナした座り心地の個体が多かったように記憶しています。

普通車自由席 ②

そして、こちらが普通車自由席のまた別の例。

こちらはモケットや網袋が交換されている他は、ほぼ原型を保っているタイプです。また、座席台座部分がデビュー当時のままの「金網状」「グレー塗装」というのは、2010年代当時ですでに「激レア」であり、非常に貴重な座席でした(→「備考」も参照)

【補足:激レアの座席、でもそれは“絶望”への入口だったかも】

この座席を搭載した車両はそもそも少なかった上に、基本的に「検査・故障時の代車」「多客期の増結車」要員だったようです。14系客車がフルに動員される最繁忙期以外は、何かしら「(本来使われる客車の)代わり」として出てくることが多く、目にする機会はそう多くありませんでした。

ちなみにこの写真も、この車両がドリームカーの代車として登板した時に撮影しています。代わりにしてはあまりにも大きすぎる「格差」で、車内に入るなり度肝を抜かれたのは今でも忘れられない思い出です。

そもそもこんなことが発生してしまうのは、ドリームカーは5両のみの在籍だったことによるもの。青森行き・札幌行きでそれぞれ2両ずつ、合計4両が常時“拘束”されているため、予備車は1両しかありませんでした。

その1両も使用できない場合(すでに片一方の編成で使用中、あるいは検査中・故障中)に出てきたのが、この自由席用車両。同じ「普通席」である以上、料金は同一でした。

自販機・洗面台各種

デッキ・洗面台の様子。

一部デッキには飲料の自動販売機が設けられていました(左)。ドリンクは列車内の自動販売機にしてはバラエティがあり、また価格も街中のそれと同じ120~150円(当時)。存外使い勝手は良かったように記憶しています。

洗面台はデビュー当時からの仕様を残す車両(中)、プッシュ式水栓が導入されている車両(右/下)など車両によって個体差がありました。

このページは3ページ構成です。<<B寝台 編<<カーペットカー 編に戻る。

概説

デビュー年:1972年(車両)

寝台列車の主力車両。当初B寝台は3段式で登場したが、その後寝台列車の需要減少や設備改善のために、現在は全てが2段式になっている。

車体構造はその前に登場した14系とほぼ同様だが、1972年11月の北陸トンネル火災事故の教訓をきっかけに防火対策を強化したほか、電源は集中電源式が使用されている。

タイトルとURLをコピーしました