しなの鉄道115系
北陸新幹線の開業に伴ってJR東日本から移管された旧・信越本線のうち、軽井沢~篠ノ井・長野~妙高高原を引き継いだしなの鉄道。車両は開業当初から一貫して、元JR東日本の115系が使用されています。
JR東日本エリアから115系が全廃された2018年以降は、東日本エリアで活躍する‟最後の115系”でした。
しなの鉄道に残る115系もすでに2019年から置換がスタートしており、2026年までに(観光用列車を除き)引退予定とのことです。当ページでは、最後の活躍を見せる同車の車内を見ていきましょう。
モケット
(左)座面 (中)床 (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2018年5月
撮影場所:しなの鉄道 北しなの線 長野駅 車内
備考
特にありません。
車内全景
車内の様子。
しなの鉄道の115系は、(北陸新幹線の金沢延伸に伴って最近移籍した一部編成を除き)ほぼこの内装で統一されていますが、これはJR東日本時代に内装のリニューアルを受けた車両が譲渡された経緯によるものです。
リニューアルでの変更点は、JR東日本時代に座席のバケット化、しなの鉄道移籍後の座席モケット変更・床のカラー変更くらいでしょうか。基本的には、製造時からの雰囲気がよく残っているといえるでしょう。
座席
ボックス席(左/上)と、ドア脇のロングシートの様子(右/下)。
ボックス席は、足元の台座はそのまま座席本体が完全に新しいもの(とは言っても更新されたのは既に20年以上前ですが)になっています。座面のバケット化が施されており、着座した時の座り心地に“配慮”されています。
ボックスシートのひじ掛け周りは妙に重厚なつくりですが、これは新潟や中央線系統の115系でも見られました。
車端部 一般席
車端部区画の全景(左/上)と、ロングシートのアップ(右/下)。
車端部のロングシートは5人がけです。一応こちらの座席もバケット構造なのですが、(特に背もたれが)パッと見でそう見えないのは経年によるものでしょうか。
車端部 優先席
優先席区画の全景(左/上)と、座席部分のアップ(右/下)。
優先席のモケットは、JR東日本時代に交換されたのかJR東日本の共通カラーリングとなっています。
フリースペース区画
フリースペースを備える車端部の全景(左/上)と、ドア脇優先席の様子(右/下)。
妙高高原寄りの先頭車両には、車いすやベビーカー利用者向けのフリースペースが備わっています。また、フリースペース向かいの2人がけ席は優先席・奥のクロスシート区画は一般席と、いろいろ詰め込まれているのが特徴です(笑)。
なお写真奥にはトイレがありましたが、しなの鉄道への移籍後は閉鎖。現在は「業務用室」となっています。
フリースペース(左/上)と、車端部のクロスシートのアップ(右/下)。
貫通扉わきのクロスシートが、扉の開口幅の都合で他の座席よりやや狭いのはお約束の仕様です。
運転台直後の区画
運転席直後の様子(左/上)と、ロングシート部分の様子(右/下)。
運転台のうしろには何やら大きな箱がドカンッと設置されていますが、これはATS-P(保安装置)とのこと。機器箱の色こそまわりに揃えられていますが、いかにも「後からつけました」感を感じずにはいられません(苦笑)。
その他の車内設備
天井の様子(左/上)と荷物棚の様子(右/下)。
冷房装置、照明、通気口などは中央に集約されており、すっきりまとまっている印象を受けます。
各座席に振られている座席番号プレート(左/上)と窓間のコートかけの様子(右/下)。
ドア脇のロングシート下に設けられている非常用ドアコックの様子(左/上)と通路の様子(右/下)。
ロングシートを横から撮影してみましたが、意外と座面が薄っぺらいのがお分かりいただけるかと思います。もちろん座り心地は…いや、やめておきましょう。
つり革・握り手
つり革はロングシート部分のみに配置されており(左/上)、セミクロスシート部分は握り手が設けられています(右/下)。
握り手は金属製ですが、黒の“何か”でコーティングされているようです。実際に触ってみた限りでも金属特有の冷たい感じはほとんどしませんでした。
乗降用ドア
乗降用ドア(左/上)と、ドア下の「あつい!」の表記(右/下)。
ドア下部分の床が、バリアフリーの一環で黄色く塗装されているなどの違いはありますが、こちらも昔ながらの雰囲気をそのまま残しています。
【番外】コカ・コーララッピング(2018~2020年)
車内の撮影を終えて、何気なく向かい側に停まっていた車両を見てビックリ。真っ赤な115系がホームに停まっていました。しなの鉄道のS11編成です。
この編成はJR時代(長野運転所N12編成)の1987~1990年に、コカ・コーラのラッピングを施されて運転されていました。これはその「復刻」塗装で、2018年3月に運行開始。2020年11月まで赤々とした車体を輝かせながら、他の車両に混じって活躍しました(→「備考」も参照)。
【備考:S11編成のその後】
その後、S11編成はしなの鉄道の通常カラーに一旦戻されるも、2023年7月からアニメ「Turkey ! 」のラッピングを施され、2024年9月現在も運行されています。
余談ですが、この編成は2017年にも「“イイヅナのリンゴ”」のラッピングを施された経歴があり、何かとラッピングと縁が深いようです。
概説
デビュー年:1997年10月
しなの鉄道115系は、しなの鉄道の開業時にJR東日本から譲渡された車両。移籍に伴い、塗色が変更されたほか、シートモケットの更新工事、ワンマン化改造などが施されている。
開業から20年以上に渡ってしなの鉄道全線で使用されてきたが、後継となる新型車両の導入が2018年3月に決定された。新型車両は2020年以降に運用を開始する予定で、老朽化の進む本系列は新型車両の導入に伴って姿を消す見込み。